国語教育と辞書

国語辞典や漢字辞典などを日常的に引いていると、言葉や文字に対する感度が鋭くなります。塾生には意味のわからない言葉や漢字、自分の口で説明できないものは、辞書を引いて音読し、ノートに記すよう指導しています。

ある塾生(小1)が、「消息」を調べ、ノートに「便り」とだけ記しています。そこで、質問。

「便りとはどんな意味?」

「ん〜ん。」

「自分で説明できないなら、もう一度調べてみたら。」

素直に再度辞書を引き、「知らせ。あることのようすや成り行き。」とノートに記しました。

意味調べをするのは、低学年の子供にとってとても大事な学びの機会です。更に、漢字の読みが分からない時には、漢字辞典で調べます。国語辞典や漢字辞典を両方とも使いこなすことが出来るようになると、子供さんの語彙力は飛躍的に上がり始めます。

 

さて、石井勲先生著作「0歳から始める脳内開発ー石井式漢字教育」の「第四章 「漢字を教えない」のが漢字教育の基本」に、「『智慧』のある子に育てよう」という項目があります。引用してご紹介します。

「智慧」のある子に育てよう

「知」という字がありますが、口と矢でつくられています。「矢」は速い ことを意味するもので、昔は矢より速いものはなかったのです。光陰矢 の如しといったように、矢のように速いという形容が、昔からよく使われ ています。口から早く答えが出てくるということは、頭にその知識が十分 にあるということを示しているわけです。

」というものは、私たちの頭に入っている知識を総称した字なので す。しかし、この「知」の働きというものは、磨けばもっと偉大な働きをし ます。この「知」を磨いて、それ以上のものになったときに「」という字 になります。遂に、この「知」が使われないでいると、その機能が衰えて きます。その状態が「」です。つまり、これらは元は一つの言葉で、知、 智、痴の三つがなければ不完全なのです。ところが国語審議会は、当 用漢字を制定するときに「智」の字を削ってしまったのです。

「知」のある人間のことを知者といいます。言葉として知者といえば知 者智者痴者と三つが考えられるわけです。しかし、当用漢字が制定 された昭和22年以後、この智者という言葉はなくなってしまったのです。 ですから、今の日本には智者がいないのです。たとえいたとしても、そ れを表現することができません。漢字がなくなると正しい表現ができな くなるわけです。このように漢字というのは重要な働きをするのです。

教育は、知識を増やすのが目的ではありません。常用漢字の中には 「智」という字はないけれど、「智慧」というのは本当はこの字でなければならないのです。知識としてはないけれども、ものを解決する能力、 それが「智慧」です。そこへもって行かなければならないのですが、学 カテストとか入学試験は、知識だけを問題にしています。いかに知識の 多い人間を採用するかというのが、今の学校側の姿勢です。

知識というものは、頭の中に入れておく必要はありません。それを取 り出す方法さえ知っていればいいのです。いくら頭がよくても、詰め込 む知識には限界があります。機械的に知識を詰め込んでも、正確に簡 単にそれが引き出せなければ、何の意味もありません。

今は、智慧のある人がいないから、世の中がおかしくなっているので す。頼るのは知識ばかりで、知識を生かす方法、つまり智慧がないの です。

そもそも、現代の教育は、小学校から大学に至るまで詰め込み式に 知識を植えつけるだけです。ようやく知識偏重教育の弊害に気づいた のか、就職試験の際に、学歴を問わないとか、面接を重視するというと ころも出てきました。会社にとって大事なのは、知識の多い人間より智 慧のある人間です。

ポイント:「書く」ことは自分の思いを表現することなのですから、少なく とも小学校の中、高学年になってからやればいいのです。作文 教育も、小学校一年生からやるなどということは本当に無意味で す。

・・・「智慧」とは、「事の道理や筋道をわきまえ、正しく判断する心の働き。事に当たって適切に判断し、処置する能力。」

また、仏教的な意味合いでは、「空など仏教の真理に即して、正しく物事を認識し判断する能力。これによって執着や愛憎などの煩悩を消滅させることが出来る。六波羅蜜の一つ。般若。」

更に、哲学的には、「単なる学問的な知識や頭の良さではなく、人生経験や人格の完成を俟って初めて得られる人生の目的・物事の根本の相に関わる深い知識。叡智。ソフィア。」

とあります。

塾生それぞれの個性を見定めて、少しでも「智恵」を深めてもらえたらと念じつつ接している毎日です。

posted by at 08:35  |  国語力について, 塾長blog

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