学力テストから見る英語教育の問題点

 毎年実施される全国学力テスト。各都道府県で小学校や中学校の学習の充実度を見る指標として筆者も毎年注目しています。教育現場の先生方は、常に創意工夫しながら児童生徒の学力向上を目指されているはずです。その意味でも、学力テストの結果は先生方の切磋琢磨の励みとなれば何よりです。

さて、国立教育政策研究所のホームページに平成31年度(令和元年度) 「全国学力・学習状況調査 報告書」

https://www.nier.go.jp/19chousakekkahoukoku/report/19middle/19meng/が有ります。詳細且つ克明に解答の分析がされています。

教科に関する調査の各問題の分析結果と課題」(2)中学校英語https://www.nier.go.jp/19chousakekkahoukoku/report/data/19meng_04.pdf 

から、当該英語の学力テストの出題の趣旨を抜き書きしてみました。「聞くこと,読むこと,書くこと」(大問題1〜10)「話すこと」(大問題1〜3)について(詳細は当該ホームページをご参照ください)。

出題の趣旨

◎聞くこと,読むこと,書くこと

1 英語を聞いて情報の詳細を理解することができるかどうかをみる。

2  まとまりのある英語を聞いて,話の概要を理解することができるかどうかをみる

まとまりのある英語を聞いて,必要な情報を理解することができるかどうかをみる。

聞いて把握した内容について,適切に応じることができるかどうかをみる。

英語を読んで情報の詳細を理解することができるかどうかをみる。

まとまりのある文章を読んで,話のあらすじを理解することができるかどうかをみる。

まとまりのある文章を読んで,説明文の大切な部分を理解することができるかどうかを みる。

書かれた内容に対して,自分の考えを示すことができるよう,話の内容や書き手の意見 などをとらえることができるかどうかをみる。

英語の基本的な語や文法事項等を理解して,正しく文を書くことができるかどうかをみ る。

10 与えられたテーマについて考えを整理し,文と文のつながりなどに注意してまとまりの ある文章を書くことができるかどうかをみる。

◎話すこと

基本的な表現を理解して正しく応答する

即興でやり取りをする

まとまりのある内容を話す

・・・英語の4技能「聞くこと,読むこと,書くこと」「話すこと」について、上記の「出題の趣旨」は、そのまんま母語である我が国の言葉で適切に応えることが出来ますか、ということです(強調!)。

幼い時から、日々言葉を覚え、文法を踏まえた用い方を習うことから始まって、正しく「聞く,読む,書く」「話す」を訓練しない限り、日本人としての「国語力」は身につきません。

それが出来て初めて外国語(英語など)に取り組まなければならないにも関わらず、早々と小学校に来年度から英語が教科となって導入されます。文部科学省のなんと誤った英語教育の施策でしょうか。同様に憂えるのは、英語を熟知したほど多いように感じます。

以下の産経新聞(2019.8.5)社説も早期の英語教育の愚を指摘しています。https://www.sankei.com/column/news/190805/clm1908050003-n1.html

主張】英語の学力テスト 「話す」土台の国語鍛えよ

 「話す」のが苦手で、基本的な文法も身についていない。全国学力テストで中学3年を対象に英語が初めて行われ、課題が明らかになった。

 基礎を大切にコミュニケーション能力の向上を図る、文部科学省のかけ声とは正反対の結果である。指導態勢などの厳しい検証が必要だろう。

 中3生は、小学校で英語に親しむ「外国語活動」の授業が導入された世代だ。

 ところが、英語の平均正答率をみると、「聞く」(68・3%)▽「読む」(56・2%)▽「書く」(46・4%)▽「話す」(30・8%)で、思うように会話力がついていないことが分かった。

 2人の会話のやりとりを踏まえ関連した質問を考える問いでは、正答率が1割台と低かった。将来の夢などを話す問題も、正答率は4割台にとどまった。

 さらに気がかりなのは「書く」などの分野で、三人称単数現在形(三単現)の動詞を間違える生徒が目立つなど基本的な文法が身についていない懸念があることだ。「話す」力の育成もうまくいかず基礎も身についていなければ、虻蜂(あぶはち)取らずの結果である。

 文科省は、英語教育の早期化に舵(かじ)を切り、来年度からは小学校で英語が教科となる。だが早くから学べば英語が話せるようになると思うのは安易だ。日々使う環境がなければ英語はすぐに忘れ、身につかないことは専門家も指摘している。授業時間が限られた学校教育では、まず基礎の習得に重きを置くことを明確にすべきだ。

文章の空欄に接続詞を入れる問いでは、「but」が正解なのに「because」と答えた生徒が目立った。そもそも、文章を理解する国語力に課題があるのではないか。

 コミュニケーションの基礎となるのは、相手の言葉をよく聞き、理解する読解力だ。これを支えるのは国語力である。あらゆる教科につながる知的基盤だ。それは日頃からの読書などを含め培われるものだ。英語早期化を焦り国語力育成が忘れられては困る。

 学力テストと合わせて行われた生活などの調査の分析から、新聞を読む習慣のある子供の方が、国語、算数・数学、英語とも正答率が高い傾向が顕著に出た。新聞は日々さまざまな情報を分かりやすくまとめる工夫をしている。学力向上に活用してほしい。

 

・・・「英語早期化を焦り国語力育成」を閑却(かんきゃく:いい加減にしておくこと)すると、一部の「できる」児童生徒とほとんどの「できない」児童生徒に分化すると愚考します。

それへの対策は、小学校の英語教育が始まる前に、日本語の語彙力をつけ、正しく「聞く,読む,書く」「話す」を訓練をすることです。

posted by at 12:45  |  国語力について, 塾長blog

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