小学校入試で行動観察が行われる理由

所謂高学歴の成人男子が一流企業に就職し、一定期間勤務して人間関係の問題で休職してのち離職・転職に至るという例を、筆者はいくつか聞きました。個々の例には様々な原因があるのでしょうが、一般的には、職場での人間関係の齟齬、つまり意思疎通ができていないことからくる相互理解の不備に原因があります。

平たく言えば、子供同士なら喧嘩をして仲直り出来るのに、大人になるとそれが出来ない、ということです。

大人の世界の話が、実は小学校入試で「行動観察」がなぜ行われるのか、に繋がります。

「『考える力』を伸ばす AI時代に生きる幼児教育」久野泰可著(集英社新書)p.162からの引用です。

小学校入試でなぜ「行動観察」が行われるのか

行動観察とは、出されたテーマにしたがって他者とともに行動する様子を見る集団テストです。出題は。「床に散らばっているたくさんの積み木をみんなで箱に片付けてください」とか「みんなで積み木を高く積み上げてください」といった単純なものもあります。

 そこで試験官は、受験者の問題に対する立ち居振る舞いを採点するのです。他人の存在を無視し自己主張ばかりする子、試験官の指示や他の子の話がうまく聞けない子、みんなとの相談に加われない子など、さまざまな生の姿が浮かび上がります。

学校は、ペーパーテストの能力プラス、学校生活を送るうえで周りのことも考えて行動できる子供、他の人の話も聞いて自分の意見を発信できる子ども、みんなと相談して集団行動ができる子どもを求めるようになってきました。

 数値化できないこういった隠れた能力が生み出すユニークな発想力、行動力こそが、AI時代に求められている価値の一つだろうと思われます。「非認知能力」を評価する姿勢は豊かな人間力を社会に活かすための新しい価値基準になろうとしています。

「5歳までの教育が人の一生を左右する」とも言えるヘックマン教授の研究は、これからの時代は、「学力」と言われてきた数値化できる「認知能力」だけでなく、協調性・忍耐力・計画力・表現力・意欲といった、客観的な点数では表せない「非認知能力」が子どもの成長には大事であり、人生における成功は、そうしたスキルの有無に影響されるとも読みとれます。そうした人材を発見し育てようという流れの中で、センター試験の改革や、東大・京大のOA入試導入があるのです。

これまで、小学校入試で「行動観察」がなぜ行われてきたのか、客観的に評価できない行動観察をなぜ合否判定に絡ませるのか、と思ってきた関係者も多かったはずです。しかし、「遊べない子は伸びない」とおっしゃった校長先生や、研究の結果、「非認知能力」が大事だと指摘したヘックマン教授の考えをふまえれば、こういった小学校入試は実に意味のある試験方法だということがわかります。

・・・ペーパーテストは出来るのに(仕事はできるのに)、人間関係づくりが苦手。所謂「口下手」で言いたいことが言えない、など大昔からいたはずです。目まぐるしく変わりゆく現在では、協調性・忍耐力・計画力・表現力・意欲など、他の人との関係性をうまく築くことが出来るか、を問われています。

しかし、本来なら適材適所という言葉通り、十人十色の人々をいかに活かすかに専心すべきです。要領は悪くてもやり方を覚えるとコツコツと仕事をやり遂げる、飲み込みは早いが仕事にムラがある、といった長所短所は裏表です。現在の社会が要求する人材が全てではないことは日本人なら気付いているはずですが、如何。

posted by at 08:51  |  塾長blog

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