言葉の数が少ない子どもは知能が低い 2

「言葉の数が少ない子どもは知能が低い 1」(http://rashinjyuku.com/wp/post-1627/)でご紹介しましたフランスの例は、「フランスで生まれてフランスで育った黒人の子どもの知能 は、まったくフランス人の子どもと変わらなかった」ということから、「フランス語で使われている言葉は、ボキャブラリーが豊かです。フラ ンスで生まれた子どもたちは、豊かな言葉を耳にして育ちます。だから 知能が高いのだ」という結論です。

ボキャブラリー=語彙力が豊富であるということは、想像力を豊かにし、当然、表現力をつけることができます。

幼児期の子どもに言葉を教えるのは、まず母親でしょう。母親の言葉 を通して、子どもの能力が育っていくのですから、お母さんの役割は非 常に大切です。母親が言葉の教育に熱心に取り組むことが、子どもの 将来に響いてきます。

・・・この言葉は、当ブログが再三再四強調していることです。

近年、子育て中のお母さん方の周りには、子育て経験の豊かな年配の女性(祖母、近所のおばあさん等)と接触する機会がないのが現状です。年代を超えての「井戸端会議」が、かっての日本の若いお母さん方を啓蒙していたのではないでしょうか。そういう場がないことが、現在のお母さん方の子育てへの不安や迷いを生み出しています。

お母さんは、年齢や月齢に応じた成長が平均以上であれば安心し、そうでなければ不安がるのはいつの時代も変わりがありません。子供の成長を客観的に測る物差しがあれば一番良いのですが、様々な根拠に基づく物差しを試してみて、自分なりの結論を導くしかありません。

たまたま見かけた論文をご紹介します。「言葉の発達の遅れで受診した3歳児の縦断的検討」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn1969/24/1/24_1_3/_pdfという論文の「言語発達リスト」は、一つの物差しを提供してくれます。引用してご紹介します。

はじめに

言葉の遅れは、精 神遅滞や自閉症などの全汎性の 発達障害に伴 う場合 と成長 とともに正常化するといわれ る発達性言語遅滞などに分類 される。近 年、幼年期 には言葉の遅 れのみと考え られていた例 でも、後 に学習障害がみられたとの報告もあり、言 葉の発達の遅れのある小児の知能 ・行動発達の長期 予後を検討することは重要である。

ただ、発 達の個人差は幼少児であればあるほど顕 著であ り、環 境的な要因も小児の発達に大きく影響 を与えるため、発 達遅滞の分類や予後 を3歳 の時点 で推定することは容易ではない。また、言 葉の発 達の遅れがある小児の両親 も、い つ ・どこに相談すべきか分 らず小児科 を受診する場合が多い。

 

上記画像は見にくいので、以下にご紹介します。(月齢・対人関係・発声活動の三段に分けて記載しています)

◯月齢       

・対人関係       

・発声活動

◯出生時

・—

うぶ声

◯0:1(一ヶ月)

一点凝視・顔全体で微笑

アーオーウーの声を出す ・泣き声に変化が出てきて原因が区別できる

◯0:3(三ヶ月)

・快で笑い不快で泣く・180°追視・話し声の方へ顔を向ける

・あやすと声を出して笑う・声かけだけで泣き止む

◯0:5(五ヶ月)

・笑いかけてくる・抱かれることを喜ぶ・360°追視

・人がいなくなると泣く・外からの刺激に対して笑顔や泣いて反応する

◯0:6(六ヶ月)

・人見知り・見知らぬ人には無言で、見慣れた人には声を出す

・反覆喃語(*)の出現・自分から声を出して呼び掛ける

◯0:9(九ヶ月)

・バイバイに反応して手を振る・名前を呼ばれると振り向く

・食べ物を見るとマンマンマンと言いながら手を出す・喃語をしゃべり続けながら手に持ったもので物で遊ぶ

◯0:12(十二ヶ月)

・行動抑制が可能になる(メンメで手を引っ込める)・知らせる指さしがある・母の後追いが出てくる

・有意味語を喋る(マンマ、ブーブー、パパ)・知っている場所に来るとアーアーといって教える

注(*)喃語(なんご:幼児期の、まだ言語とは言えない意味のない音声)

◯年齢

・言語理解

・言語表出

◯1:6(一歳六ヶ月)

・「新聞持ってきて」など言葉だけの簡単な言いつけに従いますか・「おめめは」「おくちは」と聞くと正しく指さすことができますか・自分から絵本を持ってきて読んでもらいたがり聞いていますか・絵本を見て「ワンワンどれ」と聞くと聞かれたものを指さしますか

・話しかけると真似してそれに似た音を繰り返しますか・自分の欲しいものを言葉で要求しますか・お母さんに「ママ」等と」呼びかけますか・自分から手を振りながら「バイバイ」と言いますか

◯2:0(二歳)

・母親の要求に従って父親を食事入浴等にさそうことができますか・絵本をみて靴、コップなど身辺のものを正しく指さしますか・台を持ってきて高いところからものを取りますか

・お母さんの言葉の一部を模倣しますか・友達の名前が言えますか・二つの言葉をつないで話しますか・簡単な質問に言葉でこたえられますか(「パパは?」「カイシャ」)・自分のことを名前で言いますか ・ここ、あれ、これ等の代名詞を使いますか・単語の数が200くらいありますか

◯2:6(二歳六ヶ月)

・二つの動作を含む簡単な命令に従えますか・机の上下がわかりますか・色の名前を正しく二色以上指さしますか・欲しいものがあっても「あとで」と言い聞かせると少しの間我慢ができますか・物の用途がわかりますか(水を飲むのに使うのどれ→コップ)

・「これなあに」と聞きたがりますか・名前を呼ばれると「はい」と返事しますか・「いくつ」と聞かれると答えますか・「アツイ」「イタイ」「イッパイ」「モット」などのうち使えるものがありますか・遊びながら絶えず喋っていることがありますか・色の名前が一つ以上言えますか

◯3:0(三歳)

・お話を何回も話してもらいたがり、聞いていたお話が途切れると催促しますか・言葉で表現しきれないと、動作で表現しようとしますか。

・お名前はと聞かれると姓名が言えますか・男の子、女の子が言えますか・オハヨウ、さようならが正しいときに使えますか・3〜4語文繋げて話せますか(パパ カイシャ イッチャッタ)・助詞を使って話ができますか(が、に、を、は)・日常的な身の回りの単語はほとんど言えますか(単語数1,000)

◯4:0(四歳)

・魚、果物のような抽象名詞を理解できますか・10までわかりますか・一般的な反対語がわかりますか(お父さんは大きい、子供は?)・自分の名前を読めますか

・童謡が歌えますか・接続詞を使えますか(そして)・自分の経験したことや見聞きしたことを話しますか・絵本を見ながら各ページの状況に当てはまることを話しますか・カ行、タ行がはっきり言えますか・4〜5語文がありますか・なぜ、どうしてと聞きますか

◯5:0(五歳)

・子供カルタをほとんど取れますか・数字を拾い読みしますか・大中小がわかりますか・上中下、前後がわかりますか

・自分の家の住所を正しく言えますか・自分の名前が書けますか・しりとり遊びができますか・なぞなぞができますか・30までの数の復唱ができますか

◯6:0(六歳)

・曜日がわかりますか・本の内容が話せますか・やさしい本は読めますか・新しい言葉を聞くと「なあに」とその意味を尋ねますか

・電話で役に立つ会話ができますか・幼児語をほとんど使いませんか・サ行、ラ行をはっきり言いますか

山田美佐子, 鈴木 榮. 小児科の言語外来の現況.小児科臨床1982; 35: 943-50.より引用)

 

 

・・・37年前の資料ですが、現在も役に立つ一つの物差しです。「言語理解」「言語表出」は、「正しく聞いて内容を理解すること」「正しい言葉で表現すること」です。

「一を聞いて十を知る」(*)とまではいかなくとも、「十を聞いて十を知る」ことができるよう、子供さんにはしっかりと力をつけて欲しいものです。

(*)(論語 公治長)(物事の一端を聞いただけで、その全体を理解するほど、聡明であること)

 

posted by at 18:12  |  国語力について, 塾長blog

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