長崎市江戸町にある難関大学・医学部を目指す幼児教室・学習塾 羅針塾では、将来の日本を支える人になる為に、志を持って自ら学んで行く塾生を育てていきたいと考えています。
読書をする習慣をいかに幼少期につけていくかが、子供の学力向上に直結しています。
「致知」令和元年(2019)9月号からの引用の続きをご紹介致します。
本を読めば創造性も高まる
川島 脳科学的に見ても、読書を通じて語彙を蓄えるというのはとても大事なことです。
実験で一番驚いたのが、いわゆるクリエイティビティ、何か新しいものを創り出す創造性は脳のどこから生まれてくるのかを調べたら、語彙を格納する部位と言葉を扱う部位が一番よく働いていたんです。それは言葉ではなく、イメージを膨らませて何かを生み出す時もそうなんですね。
ですから新しいものを創造する高次な活動も、すべてその人の語彙がもとになっているというのが実験を通じての僕の結論なんです。
土屋 湯川秀樹博士の「創造性の発現には相当大量の語彙の蓄積が必要だ」との言葉に通じますね。
川島 きょうはせっかく土屋先生にお目にかかったので、新しいデータをご紹介しますと、僕は最近、脳を鍛えることをテーマに会社をつくりましてね。そこへある企業から「ホワイトカラーの創造性を伸ばしてほしい」というご依頼をいただいたんです。言われたことしかできない社員さんを何とかしてほしいと。
そこで僕が何をしたかというと、文庫本を2冊渡しただけです。これを1か月後までに読んでおいてくださいと。
1か月後に実験すると、ちゃんと読んでくれた社員さんは、見事にクリエイティビティが上がっていました。そのまま読書が習慣になって、課題の本以外にも読んできた人はもっとその伸びが顕著でした。しかし、さぼった社員さんは横ばいのままだったんです。
ですから、本を読めばクリエイティビティが高まるというのは既に証明済みなんですよ。土屋 大いに納得できるお話です。ちなみに、その時はどんな本を提供されたのですか。
川島 何でもよかったんですけど、その時は井上靖の本をお渡ししました。
クリエイティビティというのはまさに語彙力であり、文章を読み、扱うところの脳から出てくるものですから、まず読書してもらうことでクリエイティビティが高まるだろうと。その上、普段使わない語彙が使われている少し古い本を読むとよりいい。ただ、明治や大正の文語文はいまの若い人は読めないので、口語に近い作品ということで井上靖を選んだんです。
・・・「何か新しいものを創り出す創造性は脳のどこから生まれてくるのか」
非常に興味ある分野です。脳科学の分野は著しく進歩し、年々歳々新しい発見や実験結果が発表されています。
「何か新しいものを創り出す創造性は脳のどこから生まれてくるのか」
その答えは「語彙を格納する部位と言葉を扱う部位が一番よく働いていた」、と。
そして、「新しいものを創造する高次な活動も、すべてその人の語彙がもとになっている。
創造的な活動は、すべてその人の語彙が元になっているという事実は、筆者も常々考えていたことと合致し、納得のいくものです。
幼少時の記憶として、母親に説明したくても、当時持っていた語彙の量では、なかなか説明できず、もどかしく思っていた記憶があります。結果、母親が意図を察して、「こういうことではないか」と言葉を補ってくれ、その場で「その言葉はそういう使い方をするのか」と得心し、まさに語彙を格納しました。
人が成長する際に、日々語彙を増やし、自らの考えを口に出し、使ってみて、正しい言葉の用い方を学んでいきます。これを幼少期から繰り返し繰り返し続けていく。
これを効果的に活用する術が、「読書」であるということです。
その為には、正しく「読む」力が必要であり、そして正しく「理解」する力が必要です。
湯川秀樹博士の「創造性の発現には相当大量の語彙の蓄積が必要だ」との言葉は、学問を志す者にとっては至言(しげん:物事の本質を適切に言い表した言葉)です。