幼児教育の世界で大人気なものの一つが幼児の英会話教室。Native speaker of English(英語を母語として話す人)に近ずけるためと喧伝されている節がありますが、そのまま鵜呑みにしては大変なことになる、と一言することが出来るお話をご紹介します。
石井勲先生著作「0歳から始める脳内開発ー石井式漢字教育」の「第一章 赤ちゃんの脳力アップは漢字から」に、「世界の学者が「漢字」に注目した」という項目があります。引用してご紹介します。以下の記事は1997年出版当時の記事ですから、その点をお含みおき下さい。
世界の学者が「漢字」に注目した
今から13年前に、当時先進五か国といわれた日本、アメリカ、イギリス、 フランス、西ドイツの五大国の学者が協力して、一つの共通知能テスト をつくりました。この中心になったのはイギリスのケンブリッジ大学教授 のリチャード・リン博士です。
その共通テストで五か国の子どもの知能を測定したところ、日本の子 どもの知能がズバ抜けて高いという結果が出ました。他の四か国の子 どもの平均知能指数は100だったのですが、日本の子どもは111でした。 知能指数で11もの差が出るのは大変なことだということで、イギリスの科 学専門紙『ネイチャー』に発表されました。ヨーロッパやアメリカの学者 は、どうして日本人の子どもの知能が高いのかと疑問を持ちました。日 本の子どもだけが飛び抜けて高いということは、日本特有の何かがある に違いないといろいろと考えた結果、「漢字」に行き着いたのです。そ して、どうして漢字が頭の働きをよくするかという研究に取り組んだので す。
角田忠信という方が書かれた『日本人の脳』という書物があります。こ れも『ネイチャー』に「日本人の脳」という論文として発表され、話題にな った本です。この本で、角田忠信さんは、日本人の脳は、世界のいず れの人間の脳とも違う構造を持っているということを発表したのです。日 本人の脳に限って、鳥の声や虫の声を左の脳で聞いているということを 突き止めたのです。
言語脳というのは左にあります。脳梗塞などで左の脳を損傷すると言 葉が不自由になります。また、たとえば、時計を出してこれは何時と聞 いても正確に答えられません。時計がどんな働きをするかということは わかりますが、時間を読み取ることができないのです。
このように言語は左脳でつかさどります。音楽やその他の音は右脳 で聞きます。つまり言語だけが左の脳で受け止めて、あとのすべての 音は右の脳が処理するのです。ところが、日本人の場合は言葉だけで はなく、鳥の声なども左の脳の一部で聞いていたのです。このことが脳 の発達を促したというのが、ヨーロッパやアメリカの学者の見解のようで す。ただし、これは日本語を母国語として話す日本人に限るようです。 日本人の両親の間に生まれた子どもでも、ヨーロッパで生まれてヨーロ ッパで育ち、英語やドイツ語を聞いて育つと違います。その場合、言葉 以外の音は、イギリス人やドイツ人と同じように右の脳で聞くのです。と すると、日本語が鳥の声や虫の声を左の脳で聞く脳をつくっていった わけです。
つまり日本語という言葉によって、日本人の脳はつくられるということ がはっきりと証明されたのです。こう考えると、子どものIQの差も含めて、 漢字が日本人の脳を他の民族と違うものにしたということになります。同 じ日本語でも、“かな”はアルファベットと同じで表音文字にすぎません から、漢字にその原因があると各国の学者が考えたわけです。
・・・「日本人の両親の間に生まれた子どもでも、ヨーロッパで生まれてヨーロ ッパで育ち、英語やドイツ語を聞いて育つと違います。その場合、言葉 以外の音は、イギリス人やドイツ人と同じように右の脳で聞くのです。と すると、日本語が鳥の声や虫の声を左の脳で聞く脳をつくっていった わけです。」
なかなか興味深い話です。
日本人の知的レベルの高さは、しっかり幼児期から「漢字」で学ぶことによって保つことができる、ということです。