長崎市五島町の就学前教育(プレスクール)・学習塾の羅針塾では、中学校英語の得点格差が広がっている状況が全国的になっているのではないかと危惧しています。小学校英語で発音重視、talking(会話)中心の授業ばかりで、英語の単語を書いて覚えるということがなされていないと、spelling(綴り方)の力が全くつかないからです。
まさにそれを証明するかのような実例が紹介されている、都麦出版のメルマガ(つむぎNEWS)を引用してご紹介します。
私は時々,京都のある塾の先生と情報交換をしています。
先日はその先生から,塾のテキストで勉強した後のチェックテストの現物を見せていただきました。以下は中1生の10月末のテストの答案です。
まずは通知表の評価が「3」の生徒のものを紹介します。
「だれがあなたに英語を教えますか。」→ Who is teaches English to you ?
「だれがあの部屋にいますか。」「花子がいます。」→ Who is that room ? – It is Hanako.
「土曜日に(2語)」→ in Satodei次の英作文は,通知表の評価で「5」をとっている生徒のものです。
「いま,雨が降っています。」→ It is rains now.
「あなたは朝食に何を食べますか。」→ What are you eat for breakfast ?これらの答案を見て,皆様はいかがお考えでしょうか? 学校でも学び,優秀で熱心な先生が指導しても,生徒たちの英作文の出来はこのくらいです。
私はこの答案を見て,現在の中学英語の問題点は,次の2つだと考えています。
(1)中学生は今回の英語の改訂で,従来より倍近くの英単語の読み書きをマスターしなければならなくなった。従来「Saturday」などの単語は,中学1年の秋にゆとりをもって覚えればよかったが,今では小学校で登場する。しかしそれは音声のみでの登場である。そのため,発音は何となく覚えていても,スペルまでは書けないという状況が加速している。よって「土曜日 → Satodei」などとなる。→つまり現在の中学生は数多くの英単語の海の中で,溺れそうになっているような状況だと考えられます。
(2)今回の改訂では,基本的な英文法の解説やトレーニングはほとんどなされていない。よって,最近の中学生は「be動詞と一般動詞の使い分け」など,英文法の基本中の基本ができていない。よって,Who is teaches English to you ? などの英文を作ってしまう。
・・・恐らく、上記の話は京都の公立中学校の生徒さんの例ではないかと推察します。
文部科学省の英語の指導要領に基づいた教科書には、どれもしっかりと英語文法を説明したものはありません。正直なところ、教科書にしっかりと英文法を解説すべきところを、あやふやな説明で言葉を濁しているかのようです。小学校英語の「絵本的」な薄い内容の教科書の延長線上にあるかのようです。
筆者が、ある小学校の英語の授業を見学した時の印象は、授業では英語の力は付かない、でした。その学級の児童が全員参加して授業に集中していないこと。教科書の英文・英単語を繰り返し読む、繰り返し書く、といった授業運営はしていないこと。繰り返し英単語・英文を書いて覚えるという習慣付けがなされていないこと。・・・など、小学校で英語を学ばせることの無理が祟っているようです。
その結果、中学生で英単語のspelling(綴り方)の力が付かず、英作文でもスペルのミスが多発することになります。
学習指導要領に基づく英語教科書で学ぶべき英単語数はおおよそ次のようになっています。
2010年台 小学校 ー 中学校 1,200 高校 1,800 合計 3,000
2020年台 小学校600~700 中学校1,600~1,800 高校1,800 ~2,500 合計4,000~5,000
この数字を見ると、小学校からしっかりと英単語のspelling(綴り方)・意味を覚えておかないと、中学校の英語でつまづくというのが一目瞭然です。
小・中学校の英語でほぼ満点となるような力を付けることが、大学受験科目の英語を得意科目とする一里塚ではないかと思います。