『大学』を素読する10

長崎市江戸町にある難関大学・医学部を目指す幼児教室・学習塾 羅針塾では、学びの初めは「素読」から始まります。「素読」がしっかりできると「音読」に進みます。

『大学』を素読するシリーズは10回目です。

所謂(いわゆる)國(くに)を治むるには、必ず先ずその家を齊(ととの)うとは、その家教う可からずして、能く人を教うる者は之れ無し。故に君子は家を出でずして、教えを國に成す。孝は君に事(つか)うる所以(ゆえん)なり。弟は長に事(つか)うる所以(ゆえん)なり。慈は衆を使う所以(ゆえん)なり。

(現代語訳) 「国を治むるには、必ず先ずその家を齊う」とあるのは、自分の家の者を教えることができないで広く人を教えることの出来るものはいない。だから君子は家に在っても国人を教えることが出来るのである。

例えば、家に在って我が親に孝行を尽くす心が君主によく事える本(もと)になるのである。兄や姉に従順であることが、世に出て年上や上司によく事える本になるのである。また妻子を慈しむ心は、民衆をよく使う本になるのである。

康こうに曰(い)わく、赤子を保(やす)んずるが如しと。心誠に之(これ)を求めば、中(あた)らずと雖(いえども)も遠からず、未だ子を養うを學(まな)びて后(のち)嫁ぐ者有らざるなり。

(現代語訳) 康こう(書経の一編)に「赤子を育てるようなものだ」とあるが、国を治めるに当たり一心になって政治に携わるならば、真中に的中しなくとも大きく間違うことはない。それはまだ我が子を育てることを十分経験してから嫁ぐ者が無いようなものだ。

一家仁なれば、一國仁に興り、一家譲なれば、一國譲に興(おこ)り、一家貪戻(たんれい)なれば、一國亂(らん)を作(おこ)す。その機此(かく)の如し、此(これ)を一言(いちげん)事(こと)をやぶり、一人(いちにん)國を定むと謂う。

(現代語訳) 一家の中が互いに仁の心を持って和やかに睦(むつみ)合えば、自ずから仁の気風が国中に満ちるようになる。一家の中で互いに譲り合えば自ら国中に我を捨てて互いに譲り合い、力を尽くす美風が興ってくる。然し、君主が貪欲で道理を無視して我儘(わがまま)であると、国中挙(こぞ)って乱を起こすようになる。このように治乱興亡のはずみは甚だ微妙なものである。これを昔の人が、一言の使いようで事を破り、一人の働きが国を安定させる原動力となると謂うのである。

・・・・・一言(いちげん)事(こと)をやぶり、一人(いちにん)國を定む 即ち、「一言の使いようで事を破り、一人の働きが国を安定させる原動力となる」とは、いつの時代にも通ずる言葉です。

小さい場面では、家族、友人知人間での一言。大きい場面では、国の元首の言葉です。日本では天皇陛下の勅語(ちょくご)や詔書(しょうしょ)など。

posted by at 17:24  |  塾長ブログ, 国語力ブログ

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