小雨混じりの早朝、信号を待つ先に佇む人がありました。
横断舗道を渡り終えると、佐世保までの道筋を尋ねられました。
錫杖の長さの杖をつき、リュックを背負い、野母崎の寺から歩いて来たとのこと。
午前七時ですから、西山トンネル口まで何時に出発して来られたことやら。
佐世保まで雨混じりの中を歩いて行くのは並大抵のことではありません。
十五分ほどの立ち話。
曰く、
長野県から徒歩で西日本を行脚中とのこと。
故郷から新潟県に出て、日本海側を徒歩で移動。
鹿児島まで行き、北上して肥前国長崎に(64日目)。
母上の介護と見送りの後に、思い立っての巡礼の旅。
別れ際に、「南無 観世音菩薩」と合掌して頂きました
・・・無事故郷に戻られんことを、と念じつつ後ろ姿を見送りました。