子供の成長の過程で、いつから、どの様に子供の「学び」を始めるか。突き詰めると、お母さんが身籠った時から始まっているのではないでしょうか。所謂、胎教(妊娠中に、妊婦が精神的安定と修養に努め、胎児に良い感化を与えること)という言葉が示す様に、お母さんがお腹の赤ちゃんのことを意識しながら「学ぶ」ことが端緒です。
石井勲先生著作「0歳から始める脳内開発ー石井式漢字教育」の「第四章 『漢字を教えない』のが漢字教育の基本」に、「テレビの「音」では脳は発達しない」という項目があります。引用してご紹介します。
テレビの「音」では脳は発達しない
子どもは、母親の言葉を通して言葉を頭の中に蓄積させていきます。 言葉をつかさどっているのは左の脳です。その他の音声は右の脳で聞 いていることは前にも述べました。ですから赤ちゃんに声をかけるとき は、それがちゃんと左の脳に響くように、赤ちゃんを見つめ、心をこめ て話しかけることが大切です。
母親の「声」は、ただの「音」とは違うということを認識してください。そ うすれば赤ちゃんはその声に応えてしゃべろうとし、脳の左の部分が 発達していきます。
小さい時からテレビで育った子どもは、母親の声にあまり反応しない し、声をかけても反応が鈍く、自分だけの世界に閉じこもりがちといわ れています。これはテレビの音は、人間がしゃべっていても、あくまで も機械の出す音だというところに理由があると思います。機械の音です から、声ではなくて単なる音と変わりありません。
その音は右の脳で処理されています。また、子どもがテレビに反応 して応えても、相手からは何も返ってこないのです。したがって右の脳 は発達しても、言葉脳である左側の発達は遅れています。それで言葉 に対する反応が悪くなっているのです。
言葉を覚えるまで、つまり子どもが三歳になるまでは、テレビは避け て欲しいという理由はここにあります。脳の神経細胞がもっとも発達する 大事な時期でもあるし、後から手遅れにならないよう、親として細心の 注意を払う必要があります。
最近、幼児向け教育ビデオを利用するお母さんが多いようです。た とえばおやつを食べるときは、テレビ画面から出る「いただきます」とい う音声に合わせて、幼児も□をそろえてしゃべります。挨拶のしかた、 食事などのしつけから、教育まで、まさにビデオがお母さんの代行をし ているのです。
しかし、幼児の視力が落ちたとか、失調をきたした例も少なくないよう です。やはりしつけはお母さんが直接行うべきで、いくら便利だからと いって、何もかもテレビに押しつけるようなことは望ましくないでしょう。
様々な幼児さんや小・中・高校生と話をしてみると、赤ちゃんから幼児になる過程で、どれくらいお母さんと目を見ながら話をしていたか、が学習能力に大きく影響を与えていると思います。論理的な話し方、語彙量などが一つの物差しです。
声掛けをするときに、目をみる、はっきりと返事をする、などが自然にできる子供さんは、必ず伸びていきます。