画期的なアンモニア合成

食料を得るための農作に不可欠な肥料の原料であるアンモニア合成について、日本人の研究者が画期的な研究をしていることを紹介した産経新聞の記事(産経抄4月26日)https://special.sankei.com/f/sankeisyo/article/20190426/0001.htmlが目に入りました。引用してご紹介します。

「空気からパンを作る」という言葉がある。空気中の窒素から、農作に欠かせない肥料の原料となるアンモニアを合成することを意味する。1898年、英科学者のクルックスによる大英学術協会での演説が、「20世紀最大の発明」を生むきっかけとなった。

 ▼当時の欧州は、肥料の原料を南米チリから輸入する硝石に頼りきっていた。危機感を強めるクルックスは、空気中の窒素を固定化する技術の開発を呼びかけた。それに応えたのが、後にノーベル賞を受賞するドイツ人化学者、フリッツ・ハーバーとカール・ボッシュである。

 ▼高温高圧の環境で、窒素と水素を原料にアンモニアを合成する。2人の名前をとった「ハーバー・ボッシュ法」によるアンモニアの生産量の急増が、20世紀の人口爆発を支えてきた。その恩恵を一番被ったのは、毛沢東の「大躍進」政策の下、史上最悪の大飢饉(ききん)を経験した中国だろう。ニクソン米大統領の歴史的な北京訪問後、中国が最初に注文したのが、ハーバー・ボッシュ法による最新式の窒素生産工場だったという(『大気を変える錬金術』)。

 ▼ただ、400度以上の高温と100気圧超という過酷な条件を必要とし、さらに原料の水素を化石燃料から精製するため、膨大なエネルギーが費やされる。温室効果ガスの二酸化炭素を排出する問題もあった。

 ▼その解決法の一つを示したのが、東京大学の西林仁昭(よしあき)教授の研究チームである。水と窒素を使う簡単な合成法を世界で初めて開発した。熱や圧力を加える必要がなく、二酸化炭素もほぼ出さない。

 ▼アンモニアから取り出せる水素は、次世代エネルギーとしても期待が高まっている。「空気と水から燃料を作る」技術が、日本から生まれるかもしれない。

・・・地球上の人口爆発を支えることができるかは食料を生み出す農業にかかっています。「常温常圧の温和な条件下で進行する触媒的なアンモニア合成反応の開発」(東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻エネルギー資源創成 西林研究室)http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/nishiba/research.htmlによって、様々な効用をもたらす可能性があります。今後の更なる研究と実用化が待たれます。「

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