長崎市五島町の幼児教室・学習塾の羅針塾では、『学び』の大前提として「国語教育」に力をいれています。
若いお母さん方の中には、英語教育を早く始めると、native(出生地の、自国の、その国に生まれた固有の)の発音が身につくから、これからの時代には必須である、と勘違いをされている例があります。
英語の早期教育の功罪はともかく、母語である日本語が大事であることは誰しも認めることでしょう。
その「大事」さの中身は、一般に日本語の会話、漢字の読み書きや意味合いを指している様です。我が国に住んでいれば、放っていても会話や発音、漢字の意味合いは年を経ると分かる様になります。ある意味、子供さんに会話力があれば、親御さん方が改めて「国語」を学ぶ意味合いや重要性に気付かず、「教科としての国語」に力を入れようとは考えません。
筆者自身が学んできた経緯を振り返ってみても、小・中学校と国語(現代国語)指導の良き教材とそれを活用する先生に学んだ記憶がありません。従って、国語(現代国語)の試験対策は、時間も手間もかけていませんでした。ところが、高校以上へ進学後に、自ら「国語」力の無さに気付かされることになりました。
自らの反省に立つと、現代国語の学びの浅さを補ってくれたのが、「古文」や「漢文」です。
「古文」は漢字仮名混じりなどで書かれていますが、読んでみても分かった様な分からない様な・・・また、「漢文」は漢字のみで綴られています。
つまり、読んで理解するにはしっかりと古典文法や漢文の文法を学ばない限りは、「古文」や「漢文」は理解不能なのです。「古文」・「漢文」の大部(たいぶ:ページ数の多い書物)の参考書をしっかり読み込んでいくことによって、古典・漢文が理解できる様になると、結果として現代国語の理解が進む様になりました。
そこに気付いて、改めて「国語(現代国語)」の文法や熟語などの意味合いをしっかり理解していくと、納得がいく様な結果が出せる様になりました。
日本人として母語である国語をしっかり学ぶことは、外国語の習得にも大いに役立ちます。英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語等々の外国語も、しっかりと理解するには文法が極めて大事ですし、文法は日本語で書かれています。同様に、幸いにも多くの外国語の文献は日本語に翻訳されているので、日本語の読解力があれば、学術的な文献も読むことができます。
2018年2月6日に当ブログのページに取り上げた(https://rashinjyuku.com/wp/post-1084/)「国家の品格」の著者藤原正彦氏(お茶の水女子大学名誉教授)は、「子供の勉強で大事なものは一に国語、二に国語、三・四がなくて五に算数」と述べられています。
つまり、数学者である藤原正彦氏が、「算数より国語が大事」と言っておられる訳は、「算数や数学は、論理立ててものごとを考える力を養うことには役立つが、日本人としての繊細で深い感性を養うには国語教育が欠かせない」からです。
話は変わって、
17歳の高校生棋士、藤井聡太新棋聖は、AI (人工知能)との共存期における棋士の可能性を問われて「将棋界の盤上の物語の価値は不変」と答えたそうです。
この「将棋界の盤上の物語の価値は不変」という言葉を、若干17歳の高校生が語れるのは、相当な分量の語彙と、それを用いることが出来る「国語力」が無いと語ることは出来ません。
次から次へと、日本の若者が各界で活躍しています。その代表格に、中卒の、日本棋院東京本院所属の囲碁棋士、九段、芝野虎丸(しばの とらまる)氏がいます。
2020年6月26日最年少で名人、王座、十段の3冠を達成。インタビューの中で、将棋の藤井聡太七段(当時)に言及し、「年も近い。藤井さんのダブルタイトル(棋聖、王位)挑戦のニュースは励みになった。自分も負けていられない。」と答えています。そして、同年7月16日、藤井聡太七段が史上最年少で棋聖のタイトルを獲得した際には、ツイッターで「藤井先生、おめでとうございます」と祝意を述べたそうです。
参照:柴野虎丸名人会見(https://www.youtube.com/watch?v=gJmxcUEJIBU)
これだけのコメントを語れる若者が存在する以上、日本の未来は明るいと思います。
何故か、日本の伝統的な将棋、囲碁の世界から若者のスーパー・スターが現れることが、ヒントの様です。改めて、親御さん方が古典や伝統的な世界を渉猟(広い範囲を探し求めること。沢山の書物をあさり読むこと)すると、子供さん達をより良き方向に導くことが出来ると考えます。