幼児教室・学習塾では、塾生の国語力を如何に付けていくかに日頃から腐心しています。
母語であるから、放っておいても日本語は会話としては話せる様になります(レベルに如何を問わなければ)。これは、小学校にも導入され始めた英語も似たり寄ったりです。レベルを問わなければ、日常生活の会話は難しいものではありません。
「文化庁の令和元年度の国語に関する世論調査で『今の国語は乱れていないと思う』と答えた人が初めて3割を超えた。」と言う新聞記事が目につきました。
【主張】国語世論調査 「乱れていない」は本当か
(https://www.sankei.com/column/news/200928/clm2009280003-n1.html)(産経新聞 2020.9.28 )
言葉の乱れは常に指摘されてきた問題だが、近年SNS(会員制交流サイト)などの普及で表現が多様化し、言葉に対する意識が寛容になったことが背景にある。
一方で敬語が気になる人も増え、ネット時代の国語のあり方が問われる。
・・・と述べられている様に、会話レベルは時代や風潮によって、良し悪しや考え方は別として様々な言葉遣いや表現が表れてきます。
ところで、
そもそもの言葉の乱れの大本は、先の大戦後の米国占領下の日本での国語施策にあると筆者は考えます。
ある方から寄贈頂いた「国語大辞典」(小学館 昭和54年版)、今から40年ほど前のものに、戦後国語施策資料集が掲載されています。
これを紐解くと、
一、漢字に関する資料
当用漢字表(昭和21年)、当用漢字音訓表(昭和23年)、当用漢字字体表(昭和23年) 人名用漢字に関する資料
二、現代仮名遣いに関する資料
現代仮名遣い(昭和21年)
三、送り仮名に関する資料
送り仮名の付け方(昭和34年)
四、ローマ字に関する資料
ローマ字の綴方(昭和29年)
五、外来語に関する資料
外来語の表記について(昭和29年)
六、用語に関する資料
同音の漢字による書き換え(昭和31年)
「異字同訓」の漢字の用法(昭和47年)
七、敬語に関する資料
これからの敬語(昭和27年)
・・・などなど、本来学ぶべきである日本語を
「従来、我が国において用いられる漢字は、其の数が甚だ多く、其の用い方も複雑である為に、教育上また社会生活上、多くの不便があった。これを制限することは、国民の生活能率を上げ、文化水準を高める上に資するところが少なくない。」
との、内閣訓令第7号(昭和21年)によって、弱体化、骨抜き化された事実を忘れてはなりません。明らかに、米国占領期(昭和20年〜27年)に日本人の国語力を落とし始める端緒があるのです。