幼児教育・学習塾の羅針塾では、子供さんの教育に関心の高いお母さん方から様々なご相談があります。
その中の一つは、「習い事」(英会話教室・ピアノ教室・体操教室・水泳教室・バレー教室・珠算教室・書道教室などなど)と「学び」(学習)との兼ね合いです。
多くのお母さん方は、子供さんの様々な将来の可能性について良かれと思い、いくつもの「習い事」をさせています。当然、費用も時間(送り迎えを含む)も掛かります。
小学校へ就学すると、それらの「習い事」と「学び」(学習)との干渉が始まります。分かりやすく申しますと、時間・費用が「あちらを立てれば、こちらが立たず」の状態になってしまうからです。
そこで、何を最優先にするかで問題解決に至ります。
さて、令和二年(2020)から小学校英語教育が本格化しています。
ところが、驚くべきことが教育の現場では起きています。(https://bilingualscience.com/english/深刻化する学校教員不足-〜小学校英語教育に与え/)
文部科学省(2018)の調査によると、2017年度始業日時点で、過去に小・中学校で教員不足が発生したことのある都道府県・政令都市(北海道、茨城県、埼玉県、千葉県、愛知県、福岡県、大分県、鹿児島県、大阪市、北九州市、福岡市)のほぼ全自治体において、実際に配置されている教員数が配置されるべき人数に達しておらず(小学校は全11自治体で計316人不足、中学校は10自治体で計254人不足)、問題が解決していないことが明らかになりました。
人口が多い首都圏や政令都市も教員不足の地域に含まれていることから、地域の過疎化のみが原因だとは考えられません。
・・・シンプルな物言いをすれば、教育への「情熱」が強い人でなければ、勤務状況やストレスを乗り越えて、教育に携わることが出来ないというのが今の学校現場です。
小学校での英語教育は、このような状況の中で早期化や教科化、授業数の増加が行われようとしているのです。
教科ごとに担任がいる中学校や高校と異なり、小学校では、基本的には、学級担任が外国語活動または教科としての外国語授業を主に担当します。
しかしながら、そのような小学校教員のうち、英語の教員免許状(中・高等学校)を所有している割合はわずか5.4%です(文部科学省, 2018c)。
国内のほぼすべての教育委員会が教員の英語力や英語指導力向上のための研修を行ってはいますが、英語教育に関する専門的な知識や経験がない現役教員にとっては研修参加や授業準備などの業務負担が増えることになります。
また、ALT(外国人講師や留学生、英語が堪能な地域人材などの外国語指導助手)の活用は増えていますが、小学校5・6年生の英語の授業の約6割でしかまだ活用されていません。
また、大学4年生のTOEIC平均スコアを見ると(以下グラフ参照)、英語力の高い学生が「英語教育」に興味をもつとは限りません。
さらに、職種別に見ると、海外(679点)、法務(628点)、財務(595点)、広報(593点)、マーケティング(582点)、経営(578点)、教育(578点)の順で平均スコアが高いことから、「英語力が高い人」=「英語を教える仕事に就く人」ではないこともわかります。
もし、「英語を教えたい」と考えたとしても、英語教育に関わる民間企業が数多くあり、前述のような教員の労働環境問題が解決されないままで保護者からの小学校英語教育への期待が高まる中、「小学校で英語を教えたい」と決意する学生が増えることは考えにくいのではないでしょうか。
(中略)
小学校における英語教育は、学習指導要領やカリキュラム、指導方法などにばかり注目が集まりますが、それらをいくら改定・改善しても、肝心の「教える人」がいなければ、その効果に期待はできません。
今後、「小学校で英語を教えたい人」をいかに増やすかは、小学校英語教育にとって極めて重要な課題になるのではないでしょうか。
・・・英語教育のできる小学校教員の確保が全国的にできていない中で、敢えて「小学校の英語導入」、更に「英語の教科化」を文部科学省が行うことは小学校の教育の質に禍根を残すと思います。
子供さんをお持ちのご家庭では、学校任せで良いのだろうかという不安を抱えながら、「英語の教科化」への対応をせざるを得ません。