長崎市五島町の幼児教室・学習塾の羅針塾では、語彙力や漢字力の上がってきた塾生には、折を見て塾長の勧める大人が読む様な一般書も読ませます。年齢の如何を問わず、理解力があるので若干の説明をすると得心出来るからです。
さて、
国際政治、経済の舞台裏を独自情報で解析。また、中国ウォッチャーの第一人者で知る人ぞ知る宮崎正弘氏の新刊「こう読み直せ!日本の歴史」(WAC)から、興味深い記事(p.18〜)を引用してご紹介します。
日本の縄文時代は「世界五代文明の一つ」
歴史教科書が一顧だにしなかったしなかった先史時代が日本にあった。
縄文以前、日本には四万年前から旧石器人が生活していた事実は近年の考古学の発達で客観的・科学的に証明され、それまで歴史学者が否定していた旧石器時代が日本にあったことは北関東で「岩宿遺跡」(群馬県みどり市)が発見されたことで裏付けられた。
日本の「考古学」は比較的新しい学問であり、ようやく明治時代から始まった分野である。
従来の歴史解釈では「縄文時代」とは弥生時代との区分けに使われただけの名称に過ぎず、世界史と並列してみれば縄文時代は「石器時代」のこと。まったく文明の香りが希薄な時代とみられていた。
ところが近年、次々と日本列島の随所で発見された縄文遺跡からは夥しい土器とともに土偶が出土した。歴史解釈を塗り替えるほどの画期的な発掘が続いた。土器は無数、土偶も今では一万八千点を数える。
思想家として世界に大きな影響を与えた社会人類学者、レヴィ・ストロースは、縄文は「独自の文明」だと日本の歴史家が思いつきもしなかった見解を遺した。「世界五代文明の一つ」だというのだ。
・・・日本の歴史教科書は、縄文・弥生時代の記述が何十年も変わらず、狩猟と米作の区別で時代を分け、内容に興味や関心を持てないものです。
そもそも我が国の歴史に児童・生徒が関心を寄せない様に記述しているのではないか、と疑っているのは筆者だけでは無いと思います。
何故なら、大人の女性に歴史が好きかと問うと、殆どが好きではないと答え、それが学校での歴史授業と試験に原因があるからです。
しかし、俗に「歴女(れきじょ:歴史に興味や関心の高い女性)」といわれる女性陣が、各地の神社・仏閣、歴史的な遺跡などで熱心に渉猟している姿をみると、本来男女を問わず我が国の歴史的な事跡を辿ることに関心があり、歴史に興味を持っていることが分かります。
縄文時代に作られ、世界史的にみても最高芸術と言われる土器、土偶、仮面などはフランスやスペインで発見された同時代の壁画にまったく引けを取らず、また縄文前期の太陽信仰からくるストーンサークルや副葬品、祭器なども世界の考古学者、歴史学者ばかりか芸術家を驚かせた。
秋田の山奥で発見されたストーンサークル(環状列石)は、マルタなどの巨石神殿や、英国のストーンヘンジなどと同時期の遺跡であり、謎に満ちた神秘性を共有する。
縄文の芸術的価値の再発見は岡本太郎らによってもなされた。縄文土偶の豊かな表情、凛々しさ、奥ゆかしいデザインの卓越性は、たとえば映画「スター・ウォーズ」の想像力にまで繋がる。漫画の多くのキャラクターの原型ではないかと思うほどに創造性が豊かなのである。縄文土器の表情をみるとある意味ではポケモンのピカチュウではないか。
・・・我が国の歴史を児童・生徒に語る為には、世界との比較、現代に繋がる関連性など、興味を持てる授業にしなければ、子供達は眠たい時間を耐えることになります。
さらに重要な事実は、縄文中期に日本の伝統文化の中枢にある天皇制の原型が誕生したことである。
「国宝」と指定されたヴィーナス土偶*、合掌(がっしょう)土偶*、仮面の女神*、中空土偶*等を観察すると、副葬品として使われたかもしれないが、集落の長(おさ)が大集落を統合し、やがて地方の王となり、弥生期には大王スメラミコトとなっていったことに並行している。自然信仰、太陽信仰はアマテラスオオミカミ(天照大神)に通じる。したがって縄文中期に天皇制の原型が誕生していたことは確実である。
神武天皇の誕生までにも文明の利器ばかりか国語という重要な言語の形成に最低千年の長い歴史が刻まれていたことになる。
神話が伝承されたということ自体が言葉の確立と共通性、その創成から成熟までに長い年月を経ているのだ。
*注:ヴィーナス土偶 国宝土偶(縄文のヴィーナス)茅野市尖石縄文考古館HP https://www.city.chino.lg.jp/site/togariishi/1755.html
*合掌(がっしょう)土偶
八戸市HP
https://www.city.hachinohe.aomori.jp/bunka_sports/bunka/zekawajomonnosato_hakkutsuchosa/9917.html
*仮面の女神
*中空土偶 Akarennga(アカレンガ)HP