幼児教室・学習塾の羅針塾では、これからの日本を支える子供達に、大きな自信を与え、学ぶ意義を理解し、個々人が精進できるようにするためには、日本の歴史や偉人・先人の行いを学ぶことが必要であると考えます。
当ブログでは、「教科書に載らない歴史上の人物」シリーズを少しづつ書いておりますが、本来は小学校の教科書に掲載されるべきではないかと筆者が思う、日本の偉人を取り上げております。
第29回でご紹介するのは、財界にあって日本人を叱咤激励した出光佐三氏です。
出光佐三氏は、昭和56年(1981)に逝去されますが、昭和天皇が「出光佐三、逝く」と、
「国のため ひとよつらぬき 尽くしたる きみまた去りぬ さびしと思ふ」
と詠まれています。
天皇陛下が一国民の逝去を惜しまれて歌を詠まれることは非常に稀なことですから、出光佐三を如何に評価されていたかが偲ばれます。
その出光佐三氏が、「日本人にかえれ」(出光佐三著 昭和四十六年)に、以下の文言を記しています。
序 青年に望む
私は二十六年前の終戦二日後に、社員一同に対し次のような訓示をした。
玉音を拝して
十五日恐れ多くも玉音を拝し御詔勅を賜り涙の止まるを知らず、いい表すべき適当なる言葉を持ち合わせませぬ。
万事は御詔勅に尽きている。陛下は限りなき御仁慈を垂れ給いて赤子を救わせ給うたのである。しかも国民の心中をお察し遊ばして、五内も為に裂くと仰せられました。恐懼の極みであります。最後に今後われらの進むべき道を明らかにお示し遊ばし、神州の不滅を信じ国体の精華を発揚せよ、と仰せられ、人重くして道遠きを念い総力を将来の建設に傾け道義を篤くして志操を堅くせよ、と仰せられている。われわれは朝夕奉読し聖旨に答え奉るのみであります。
私はこの際店員諸君に三つのことを申し上げます。
一、愚痴を止めよ
二、世界無比の三千年の歴史を見直せ
三、そして今から建設にかかれ
愚痴は泣き声である。亡国の声である。婦女子の言であり、断じて男子の採らざるところである。ただ昨日までの敵の長所を研究し取り入れ、己の短所を猛省し、すべてをシッカリと肚の中に畳み込んで大国民の態度を失うな。
三千年の歴史を見直してその偉大なる積極的国民性と広大無限の包容力と恐るべき咀嚼力とを強く信じ安心して悠容迫らず堂々として再建設に進まねばならぬ。
そして国体の精華を発揮し、世界平和に貢献せよ。 (後略)
昭和二十年八月十七日
・・・終戦二日後に、社員に対して檄を飛ばす(自分の主張を述べて行動への決起を促すこと)気合が尋常ではありません。正に、「艱難汝を玉にす*」を実践しています。
*人は困難や苦労を乗り越えることによって、初めて立派な人間に成長するということ。