常用漢字だけでは大学の教科書は読めない

長崎市五島町の就学前教育(プレスクール)・学習塾の羅針塾では、日頃から国語教育の重要性を述べています。これは各界の知識層も警鐘を鳴らしていることですが、これからの日本を担っていく若者層の識字率・読解力の低下を憂う声が大きいのは、若者に責任があるわけでは有りません。

ロシアがウクライナに侵攻して国際的に安全保障の不安要因が彌増す中で、日本の円安など国力の低下は将来に不安を残します。何より国の基(もとい)は、国土の保全と人材の育成です。

偶然メルマガの記事の読者の意見を目にして、首肯する点があったのでご紹介します。

「宮崎正弘の国際情勢解題」令和四年(2022)4月11日(月曜日)壱 通巻第7295号の(読者の声4 SK老)

国語の破壊。マッカーサーは、当初、英語を日本の国語にすることを考えていたので、取り敢えず、日本語表記のローマ字化、漢字の使用制限をしました。当用漢字とは、当面は使用してもよい漢字という意味です。最終的にローマ字化は諦めましたが、当用漢字は常用漢字として今も残っています。

文明開化の時代、日本人は漢字を駆使して、非常に短期間で、欧米の文化・学術・芸術を日本語に翻訳し、全国民の啓蒙に役立てました。日清・日露の戦争に勝ち国際連盟の理事国になれたのは、この言語能力のお陰です。この時の翻訳語が中国・韓国の近代化に大いに貢献し、現在、彼らが使用している語彙の7割くらいは和製翻訳語と言われています。

この便利な知的道具である漢字の使用が制限された結果、日本人の言語能力は著しく低下し、1000年前どころか50年前の本すら読めなくなってしまいました。新聞には意味不明のカタカナ語やアルファベットが氾濫して、老人には理解不能です。

そもそも、現在の常用漢字は漢字使用の目安であって制限ではないはずなのに、「蔓延」を「まん延」と表記するのが当たり前となっています。「蔓延」なら、見ただけで解かる人は解りますが、「まん延」一語を見て、その意味を解する人は皆無でしょう。むしろ、英語のspreadを「スプレッド」と表記したほうがまだましです。

常用漢字だけでは大学の教科書は書けません。日本の平均的大学生のレベルが、国際比較で、著しく低いのは教科書が読めないからです。漢字はもともと象形文字なので、幼少期のほうが習得しやすいのです。成人(18歳)になってから、見たこともない漢字で表記された専門書を前に挫折する若者が多いのは、当然とはいえ、残念なことです。江戸時代の藩校教育と寺子屋教育が明治の奇跡的近代化を可能にし、戦前の教育が戦後の復興を成し遂げたのは間違いのない事実です。そして、現代日本の低迷は、占領下の教育改革の必然的結果であることも間違いありません。

歴史学者 アーノルド・J・トインビーは「滅亡する民族の共通点」として次の三つをあげています。
●自国の歴史を忘れた民族は滅びる
●すべての価値を物やお金に置き換え 心の価値を見失った民族は滅びる
●理想を失った民族は滅びる

この三つを一つにまとめれば「国語を失った民族は滅びる」でしょう。国語は、その民族の歴史、価値観、人生観の集大成です。「教育は国家百年の大計」とも言います。マッカーサーはそれを証明してくれたようです。

 

・・・如何でしょうか。

昭和二十七年(1952)に米国の占領から独立したにも関わらず、七十年経っても本来の日本を取り戻すことができていないことから、教育の世界では劣化がどんどん進み、意欲を持った若者が先生にならない(なれない)のが教育界の実情です。

一般の小学校・中学校では、常用漢字レベルの漢字学習しかできていない訳ですから、各家庭でしっかり漢字力・国語力を向上させる道を取らない限り、学力を向上させることはできません。

まして、本来のあるべき大学教育を通して、専門性の高い学問を習得しようとすれば、漢字力や語彙力がないレベルでは、とてもついていけません。

posted by at 19:28  |  塾長ブログ, 国語力ブログ

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