長崎市五島町の羅針塾 学習塾・幼児教室の資料
「幼學綱要」(明治二十年出版、昭和十年第十版)を写真でご紹介しています。
以下の写真の内容です。
幼學綱要 例言
一 此編専ラ幼童初學ノ爲二設ク。故二彜倫道徳ノ近切ナル者ヲ採リ。
先入主ト爲リテ。心術ノ基礎ヲ立テムコトヲ要ス。
一 編中掲グル所ノ經語ハ。其篇目ノ意義二的切ナル者ヲ以テ首トシ。
諸經ノ順序二拘ハラズ。
一 事實中。時二其圖ヲ挿ミ。以テ観感興起ノ一助ト爲ス。
一 篇目二十。未以テ要領ヲ盡ストセズ。此レ大綱ヲ擧ルノミ。
讀者類ヲ推シテ義ヲ廣メムコトヲ要ス。
驚くのは、「此編専ラ幼童初學ノ爲二設ク」(幼學綱要は専ら幼い子供、幼児の初学の為に設ける)としていることです。
現在の幼児の初学教育の内容と比較すると大きな差があります。明らかに現在のほうがレベルが低い。
幼學綱要は、古来からの教えを踏まえ、明治期の洋学の普及による軽佻浮薄を戒めるために「彜倫道徳」(人として常に守るべき道、道徳)を示すという崇高な精神が基軸としてあります。
幼児の初学期にしっかりと人格形成の「根っこ」を育てるという強い意志を感じます。
さて、
長年参照しているブログの国際派日本人養成講座(編集長・伊勢雅臣氏)http://blog.jog-net.jp のご紹介記事の続きです。
■4.「やり抜く力」
人格力の中でも、特に重要と考えられているのが、「やり抜く力」である。
ペンシルバニア大学のダックワース教授は、かつてニューヨークの公立中学校で教師をやっていた際に、成績は知能指数とはあまり関係ない、という事実に衝撃を受けた。
知能指数がそれほど高くなくとも成績の良い子がおり、逆に知能指数が高いのに成績が良くない子もいる。そこでダックワース教授は考えた。
中学1年の数学で習うレベル、たとえば平行四辺形の面積を出す、というような問題は、どんな生徒も十分な時間をかけて、一生懸命勉強すれば、解けるようになる。
だとしたら、成績の違いは、一つの問題に取り組み、それが解けるようになるまで「やり抜く力」の違いではないか、と。教授は、教師を辞めて大学院に行き、心理学者になって「やり抜く力」に関する研究を始めた。
「やり抜く力」を測定するアンケートを何千人もの高校生に行って、その力の高い高校生の方が、高校卒業まで辿り着く確率が高い事が分かった。同様に、ウエストポイント陸軍士官学校で士官候補生が厳しい訓練を受けて卒業できるかどうか、教育困難な地区で働く新米教師が学年末までやり遂げられるかどうか、販売店員がどれだけ売上げを上げられるか、などのケースでも、やはり「やり抜く力」の高い人間が成功していた。
教授は、「やり抜く力」を次のように定義している。
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やり抜く力とは、超長期目標に向けた情熱や忍耐力で、スタミナがあることでもあります。
やり抜く力は明けても暮れても自らの将来にこだわることです。
その週だけとか、その月だけではなく、何年もの間、一生懸命に取組み、その夢を実現することです。
やり抜く力は、短距離走ではなく、マラソンを走るように生きることです。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ダックワース教授のこの説明は、まさに教育勅語での「學ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發シ徳器ヲ成就シ(学問を怠らず、職業に専念し、知識を養い、人格をみがき)」の一節を彷彿とさせる。
「やり抜く力」とは、まさにわが国の教育伝統でも重視されてきた人格力の一つなのである。