長崎市五島町にある羅針塾 学習塾・幼児教室 https://rashinjyuku.com/wp では、塾生がそれぞれの学びをする前に、routine(ルーティン:決まった手順、決まっている所作)があります。正座、素読です。
正座は、正しい姿勢で座ること、およびその座り方。特に膝を揃えて畳んだ坐法(屈膝座法)のことです。世界の中で日常的に正座をすことができるのは日本人だけです。
当塾では、精神の統一と健康面を考えて、正座を取り入れています。
健康面での効用は、正座をすることによって良い姿勢を作り、その姿勢を身体に覚えさせることです。最近の子供さんの中には、椅子の生活に慣れすぎて猫背又は、前傾気味の子がいます。このような背筋の伸びていない悪い姿勢で成長期を過ごすと体の歪みがひどくなります。更に、猫背・前傾では、心臓、肺、消化器官を圧迫します。その結果、それらの働きを悪化させ、血流も悪くなります。そうすると、身長の伸びにも悪影響を与えます。
東洋医学の経絡からみると、正座をすることで伸びる身体の前面には胃腸の経絡があります。又、足首の硬さは腎臓の経絡と関係しますから、正座の姿勢で足首を伸ばすので、足首を柔らかくし、腎臓の働きを高めることにもなります。
1日の中で、時々正座をして良い姿勢を確認することで、身体の健全な発達を促すことができます。
素読は、「古典の原文を幾度となく繰り返して読み、それを書物を用いないで誤りなく言うことができるようになる学習法」のことです。その意味合いや内容はおいて、訓読の口調に慣れ、文章を暗唱するように音読するものです。歴史上中世以来盛んに用いられた教育法で「論語」「孟子」「大学」「中庸」の四書が用いられました。
因みに、日本人初のノーベル物理学賞受賞の湯川秀樹博士は、「子供の時に漢籍(漢文)に慣れ親しんだために、大人になって漢字の多い文章にあたっても抵抗がなかった。その後の読書を容易にしてくれた」と述べられました。
日本近代文学を代表する小説家、文化功労者である谷崎潤一郎氏は、「名文を暗誦するくらい繰り返し読むと、音に対する感覚が知らず識らずに鋭敏になり、文章感覚が磨かれる」と書かれています。
・・・「読書百遍、意自ずから通ず」と筆者も母から幼い時によく聞かされた諺です。今思うと、私の母も、その母や祖母から同じことを聞かされているわけです。判明している記録では、日本人は平安時代から幼児期の素読などを通して様々なことを学んできた民族なのです。