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子供の読書習慣が学力を決める 5

長崎市江戸町にある難関大学・医学部を目指す幼児教室・学習塾 羅針塾では、将来の日本を支える人になる為に、志を持って自ら学んで行く塾生を育てていきたいと考えています。

読書をする習慣をいかに幼少期につけていくかが、子供の学力向上に直結しています。

「致知」令和元年(2019)9月号からの引用の続きをご紹介いたします。

子供は本能的に言葉を欲している
土屋それから、これは僕がやってきた言葉の教育とも深く関係する問題ですが、最近愛着障碍の子がとても増えているんです。発達障碍しょうがいと症状がよく似ているのですが、赤ちゃんにとって母子密着が最も必要で母の愛語をたっぷりもらわなければならない時に、仕事などの都合で母子分離という養育環境に置かれ、しっかりした母と子の絆がつくれないところに原因があると言われています。
しかし、そういう子でも言葉の教育をやっていくと、薄紙をがすように徐々に徐々によくなっていくんですよ。先ほどからの川島君のお話から察するに、これはやっぱり語彙が増えてくることが大きいのではないかと思うのですが。
川島実はいま、読み聞かせのプロジェクトというのをやっていまして、読み聞かせをする際の親子の脳をそれぞれ測ってみたんです。すると驚いたことに、母親の脳は前頭葉ぜんとうようの真ん中の相手を思いやる領域、コミュニケーションを司る領域が一番働いていたんですよ。親にとって読み聞かせというのは、文章を読むというより、子供に高次のコミュニケーションを仕掛けて反応を読み取る脳活動が活発になっていることが分かりました。
ではその時に子供の脳はどうなっているかというと、話を理解する時に働く前頭葉ではなくて、辺縁系へんえんけいという感情を司る部位が活発に働いていたんです。
つまり幼い子への読み聞かせというのは、親が子供に心を寄せ、子供はそれを受けて感情を揺さぶられる、そういう作業だったことが脳科学で見えてきたんです。通常の文章を聴いている時の脳活動とは明らかに違う働きが見られるんですね。

土屋
母親による読み聞かせは、他人のそれと異なり、特別な意味があるに違いないと思っていましたので、実に興味深いお話です。

川島
山形県の長井市で、幼稚園児のいるご家庭に本を提供して実験しましてね。読み聞かせを受けている子供たちは、やはり言葉を扱う能力が伸びていました。しかし一番大きな効果は、親の子育てストレスがガクンと減るということだったんです。子供に読み聞かせをする時間が長ければ長いほど、それがデータにハッキリ現れるんですよ。
読み聞かせによって親子の愛着関係がしっかり結ばれるので、子供が親を引き付けるために悪さをしたり、親の理不尽な仕打ちを想像してビクビクしたりということがなくなるんです。
土屋先生がおっしゃるように、いまは愛着関係がきちっと結べていない親子が多いのが現状ですね。しかし、読み聞かせで親子の濃密な時間をつくれることが科学的に分かってきたことで、この問題に大きなくさびを一つ打ち込むことができると思うんです。土屋とても貴重なデータを導き出していただきました。
僕がある保育園で授業をした時のことです。キーワードを漢字で書いたカードを見せながら短いお話をしました。そして、お話の後で「これ何でしたっけ?」とカードを示すと、すべて読むことができるのです。この中に、いわゆる多動の子がいたとのことです。
午後の研修会で先生方がその子について「○○君が全く目立ちませんでした。皆と同じようにお話を聞き、カードを読んでいる。信じられません」と驚いていました。
その後も、言葉の時間を楽しみにしていて、きちんと席について、皆と一緒に音読をするとの報告を受けています。
実は、これはこの園に限らず、どこの園でも同じように見られる光景なのです。障碍のある子供でも、本能的に言葉を欲している。僕はそう感じるんです。

 

・・・「読み聞かせをする際の親子の脳」を計測するというプロジェクトはとても興味深い話です。

「つまり幼い子への読み聞かせというのは、親が子供に心を寄せ、子供はそれを受けて感情を揺さぶられる、そういう作業だったことが脳科学で見えてきた」ということです。

「母親の脳は前頭葉(ぜんとうよう)の真ん中の相手を思いやる領域」

「子供の脳は話を理解する時に働く前頭葉ではなくて、辺縁系(へんえんけい)という感情を司る部位」

正に母親の子供への愛情が子供の感情に大きく影響を与える、という昔からの考え方を証明しています。

赤ちゃん~幼児期に「母子分離」という養育環境に置かれた子供であっても、その後の「言葉の教育」によって補っていくことはできるとも言われています。

その為には、日頃から子供の言動に気を配り、親や先生方の言葉をしっかり理解しているか、それに対する子供の言葉の応答を確認する必要があります。

そして、毎日決まったスケジュールで読書をしっかりさせることです。その為の「素読」「音読」は極めて大事な習慣です。

posted by at 18:30  | 塾長ブログ, 国語力ブログ

子供の読書習慣が学力を決める 4

長崎市江戸町にある難関大学・医学部を目指す幼児教室・学習塾 羅針塾では、将来の日本を支える人になる為に、志を持って自ら学んで行く塾生を育てていきたいと考えています。

読書をする習慣をいかに幼少期につけていくかが、子供の学力向上に直結しています。

「致知」令和元年(2019)9月号からの引用の続きをご紹介いたします。

 

現代人に必要な縦軸の言葉

川島 具体的に、どんな指導をなさってこられたのですか。

土屋 文語文の素読、音読が中心でした。戦後の国語教育というのは、布の生地でいうと、横糸と縦糸の横糸だけで教育を施すようなものです。ですから縦糸の言葉に当たる文語文、僕は「縦軸の言葉」と呼んでいるんですけど、それをちゃんと学んでバランスを取らないと丈夫な生地ができないと考えたわけです。
最初に採り上げたのが徳冨健次郎(蘆花ろか)の『自然と人生』でした。結構難しいので最初は戸惑いもありましたけど、思い切ってやってみたら、子供たちがとても喜んでくれたんですよ。これは大きな自信につながりましたね。
例えば「立秋りっしゅう」という一文。

秋、今日立つ。芙蓉ふよう咲き、法師蝉ほうしぜみ鳴く。
赫々かくかくとして日熱するも、秋思已しゅうしすでに天地に入りぬ。

文語文特有のキリッとした味というか、格調高さがあって、声に出して読むと実に気分がいいじゃないですか。それから、戦前の国定教科書にもすごくいい詩があるんです。例えば「鳴門なると」。

阿波あわ淡路あわじの はざまの海は
此処ここぞ名に負ふ 鳴門の潮路しおじ
八重やえの高潮 かちどき揚げて
海の誇りの あるところ

こういう名文を模造紙に墨書して黒板に貼り、生徒たちと唱和したものです。それから「太平洋」。

波濤はとう千里 洋々と
東にうねり 西に寄せ
づる国の あかつき
雄々しく歌ふ 海の歌
黒潮こえて いざ行かん
我等の海よ 太平洋

気宇壮大きうそうだいでしょう。他にも高村光太郎の「最低にして最高の道」、宮澤賢治の「雨ニモマケズ」、土井晩翠ばんすいの「星落秋風五丈原ほしおつしゅうふうごじゅうげん」。さらには漢詩もやりました。日本人は文語文を1,000年以上使ってきたわけですから、遺伝子に刻み込まれていると思うんです。子供たちが喜んでくれたのは、きっと眠っていた文語文の遺伝子がスイッチ・オンになったからでしょうね。

川島 確かに文語文のリズムというのはとても心に響きますね。いま使っている口語体はそういうものに乏しいけれども、特に大正、明治後期の文学作品はリズム感がすごくあって、朗読を聞いても、自分で読んでも気持ちがいい。
僕が『脳を鍛える大人の音読ドリル』をつくった時も、リズム感がほしかったので、その頃の文学を選んだんですけど、土屋先生のお話を伺ってそれで正解だったのだと改めて思いました。

・・・「文語文の素読、音読」は、幼児期からの国語教育の根幹である。正にそこに全ての学問に励む力を育む基本があると言えます。

文語文(古典語。平安時代の言語に基づき、それ以後の時代の言語の要素をも多少加えた書き言葉。近世から明治前期の文章語を含めて言う。)を、「縦軸の言葉」と土屋先生は表現されています。大東亜戦争終結後八十年。戦後の日本の国語教育は、「日本らしさ」を骨抜きにするような教育であると言われているかのようです。

つまり、「戦後の国語教育というのは、布の生地でいうと、横糸と縦糸の横糸だけで教育を施すようなものです。ですから縦糸の言葉に当たる文語文、僕は『縦軸の言葉』と呼んでいるんです」、と。

文中の高村光太郎の「最低にして最高の道」をご紹介します。

最低にして最高の道

もう止さう。
ちひさな利慾とちひさな不平と、
ちひさなぐちとちひさな怒りと、
さういふうるさいけちなものは、
あゝ、きれいにもう止さう。
わたくし事のいざこざに
見にくい皺を縱によせて
この世を地獄に住むのは止さう。
こそこそと裏から裏へ
うす汚い企みをやるのは止さう。
この世の拔驅けはもう止さう。
さういふ事はともかく忘れて、
みんなと一緒に大きく生きよう。
見かけもかけ値もない裸のこころで
らくらくと、のびのびと、
あの空を仰いでわれらは生きよう。
泣くも笑ふもみんなと一緒に、
最低にして最高の道をゆかう。

注)この高村光太郎「最低にして最高の道」は、昭和21年8月6日発行の文部省教科書『中等國語一[後]』に掲載された詩です。『中等國語一[後]』の教科書は、昭和21年度の1年間だけしか使われませんでした。翌昭和22年には新制中学が発足して、新しい教科書が作られたからです。新しい教科書には、光太郎のこの詩は載りませんでした。

言わずもがなですが、昭和22年からの「新しい教科書」が戦前の国語教育を消し去り、改訂を繰り返しながら、現在までの貧弱な国語教育を継続しているのです。

posted by at 14:13  | 塾長ブログ, 国語力ブログ

子供の読書習慣が学力を決める 3

長崎市江戸町にある難関大学・医学部を目指す幼児教室・学習塾 羅針塾では、将来の日本を支える人になる為に、志を持って自ら学んで行く塾生を育てていきたいと考えています。

読書をする習慣をいかに幼少期につけていくかが、子供の学力向上に直結しています。

「致知」令和元年(2019)9月号からの引用の続きをご紹介いたします。

 

使命感を与えてくれた読書体験

土屋 そういうお話を伺うと、僕は冒頭にもお話ししたように、若い頃に恩師を通じて日本文化の神髄に触れるような作品にたくさん出逢ってきて本当によかったと改めて実感させられます。
その恩師は佐藤哲夫先生とおっしゃって、陸軍士官学校出身の大変な熱血漢で、自ら漢詩を詠み、和歌をつくり、剣魂歌心けんこんかしんを地で行く情の深い方でしてね。高校の時に「まほろばの会」という勉強会にお誘いをいただいて、名文を素読したり、和歌を詠んだり、名著の輪読をしたりしたことから、僕の中で日本文化への扉が開かれたのです。そこで採り上げられる本がとにかく難しいんですよ。保田與重郎やすだよじゅうろう、倉田百三ひゃくぞう、阿部次郎、内村鑑三かんぞうとか、そういうものに必死で食らいついていったのがよかったと思いますね。

川島 先生が読書への目を開かれたのは、その時だったのですね。

土屋 とても大きな体験でした。ただ最初の目覚めは、その前の小学校時代にあったように思います。
うちは田舎の旧家で、奥座敷のふすまには張継ちょうけいの「楓橋夜泊ふうきょうやはく」が墨で書かれているような家でした。とこの間には父が懇意にしていた植物学者・牧野富太郎博士の短歌も飾ってある、さらに離れの床の間には明治天皇の御製ぎょせいの掛け軸が飾ってある、そういう環境で育ったんです。ある時父にそれらの読み方を教えてもらい、声に出して読んでみるとなんだか気分がいい。それが音読への目覚めでしたね。
父は僕の勉強に一切口出しはしませんでしたけど、「本をよく読みなさい」ということは盛んに言っていました。ですから小学校5、6年になると書斎にあった文学全集を片っ端から引っ張り出して読むようになりました。昔の本は総ルビでしたから、僕にも読むことができたんです。

川島 やはりお若い頃からたくさん読んでこられたのですね。

土屋 もう一つ忘れられないのが、中学時代にラジオで聞いた『走れメロス』の朗読でした。誰の朗読だったかは覚えていませんが、それが実に上手くてね。親友セリヌンティウスの命を懸けて必死に走るメロス。その緊張感に思わず惹き込まれ、夢中になって応援する自分がいたのです。朗読の魅力を体で実感したんです。
そういう原体験があった上で、佐藤先生に出会ったわけです。先生は現代仮名遣いを「敗戦仮名遣い」と呼んでいらっしゃいましたけど(笑)、戦後の国語教育が大切な日本文化を損なう方向へ進んでいることを痛感して、これは絶対にちゃんとした日本語を伝えていかなければならないというのが私の使命感になったんです。

 

・・・土屋先生の読書体験は、育った家庭環境と、父上は勉強に一切口出しはせず「本をよく読みなさい」という助言が効果的であったと考えられます。父母双方、又は父、母どちらかが読書家であることは、子供を読書好きにする前提です。「本をよく読みなさい」というのは、親の読書経験とその効用を実感するからです。

又、人生の恩師と言える人との出会いは貴重です。

勉強会にお誘いをいただいて、名文を素読したり、和歌を詠んだり、名著の輪読をしたりしたこと。これらの経験は、多感な青春時代を過ごす上で大きく精神性が高まることになります。

この話を読むと、偉大な教育者であった森信三先生の言葉が思い浮かびます。

人間は一生のうち逢うべき人に必ず会える。
 しかも、一瞬早すぎず、一瞬遅すぎないときに。
 しかし、うちに求める心なくば、
 眼前にその人ありといえども、縁は生じず。』

 

posted by at 15:47  | 塾長ブログ, 国語力ブログ

子供の読書習慣が学力を決める 2

長崎市江戸町にある難関大学・医学部を目指す幼児教室・学習塾 羅針塾では、将来の日本を支える人になる為に、志を持って自ら学んで行く塾生を育てていきたいと考えています。

読書をする習慣をいかに幼少期につけていくかが、子供の学力向上に直結しています。

「致知」令和元年(2019)9月号からの引用の続きをご紹介致します。

 

本を読めば創造性も高まる

川島 脳科学的に見ても、読書を通じて語彙ごいを蓄えるというのはとても大事なことです。
実験で一番驚いたのが、いわゆるクリエイティビティ、何か新しいものを創り出す創造性は脳のどこから生まれてくるのかを調べたら、語彙を格納する部位と言葉を扱う部位が一番よく働いていたんです。それは言葉ではなく、イメージを膨らませて何かを生み出す時もそうなんですね。
ですから新しいものを創造する高次な活動も、すべてその人の語彙がもとになっているというのが実験を通じての僕の結論なんです。


土屋
 湯川秀樹博士の「創造性の発現には相当大量の語彙の蓄積が必要だ」との言葉に通じますね。

 

川島 きょうはせっかく土屋先生にお目にかかったので、新しいデータをご紹介しますと、僕は最近、脳を鍛えることをテーマに会社をつくりましてね。そこへある企業から「ホワイトカラーの創造性を伸ばしてほしい」というご依頼をいただいたんです。言われたことしかできない社員さんを何とかしてほしいと。
そこで僕が何をしたかというと、文庫本を2冊渡しただけです。これを1か月後までに読んでおいてくださいと。
1か月後に実験すると、ちゃんと読んでくれた社員さんは、見事にクリエイティビティが上がっていました。そのまま読書が習慣になって、課題の本以外にも読んできた人はもっとその伸びが顕著でした。しかし、さぼった社員さんは横ばいのままだったんです。
ですから、本を読めばクリエイティビティが高まるというのは既に証明済みなんですよ。

土屋 大いに納得できるお話です。ちなみに、その時はどんな本を提供されたのですか。

川島 何でもよかったんですけど、その時は井上靖の本をお渡ししました。
クリエイティビティというのはまさに語彙力であり、文章を読み、扱うところの脳から出てくるものですから、まず読書してもらうことでクリエイティビティが高まるだろうと。その上、普段使わない語彙が使われている少し古い本を読むとよりいい。ただ、明治や大正の文語文はいまの若い人は読めないので、口語に近い作品ということで井上靖を選んだんです。

 

・・・「何か新しいものを創り出す創造性は脳のどこから生まれてくるのか」

非常に興味ある分野です。脳科学の分野は著しく進歩し、年々歳々新しい発見や実験結果が発表されています。

「何か新しいものを創り出す創造性は脳のどこから生まれてくるのか」

その答えは「語彙を格納する部位と言葉を扱う部位が一番よく働いていた」、と。

そして、「新しいものを創造する高次な活動も、すべてその人の語彙がもとになっている。

創造的な活動は、すべてその人の語彙が元になっているという事実は、筆者も常々考えていたことと合致し、納得のいくものです。

幼少時の記憶として、母親に説明したくても、当時持っていた語彙の量では、なかなか説明できず、もどかしく思っていた記憶があります。結果、母親が意図を察して、「こういうことではないか」と言葉を補ってくれ、その場で「その言葉はそういう使い方をするのか」と得心し、まさに語彙を格納しました。

人が成長する際に、日々語彙を増やし、自らの考えを口に出し、使ってみて、正しい言葉の用い方を学んでいきます。これを幼少期から繰り返し繰り返し続けていく。

これを効果的に活用する術が、「読書」であるということです。

その為には、正しく「読む」力が必要であり、そして正しく「理解」する力が必要です。

湯川秀樹博士の「創造性の発現には相当大量の語彙の蓄積が必要だ」との言葉は、学問を志す者にとっては至言(しげん:物事の本質を適切に言い表した言葉)です。

 

posted by at 17:44  | 塾長ブログ, 国語力ブログ

子供の読書習慣が学力を決める 1

長崎市江戸町にある難関大学・医学部を目指す幼児教室・学習塾 羅針塾では、将来の日本を支える人になる為に、志を持って自ら学んで行く塾生を育てていきたいと考えています。

読書をする習慣をいかに幼少期につけていくかが、子供の学力向上に直結しています。そのことを理論的に説明し、その効用を説く対談が「致知」令和元年(2019)9月号に掲載されています。意義深いお話が続きますので何回かに分けて引用しつつご紹介します。

かねて指摘されてきた若者の読書離れに、便利な情報機器の普及なども相俟って一層拍車が掛かっている。しかし近年、脳科学の目覚ましい発達により読書の重要性が改めて注目を集め始めているという。長年にわたり独自の国語教育を実践してきた土屋秀宇氏(「母と子の美しい言葉の教育」推進協会会長)と、読書が脳に与える驚くべき効果を実証してきた川島隆太氏(東北大学加齢医学研究所所長)に、各々の体験を交え、子供の読書習慣を育むことの重要性を語り合っていただいた。

・・・小・中・高校生へのスマート・フォンの普及が、顕著な学力低下を招くか、については様々な意見が出ています。筆者は子供たちへの悪影響の前に、子供さんを抱える若いお母さん方がスマート・フォンを普段から手放さないことが一つの原因と考えています。母親が手放さない物を子供が欲しがるのは当然だからです。

読書をする子は楽々と平均点を超える   

(前略)

川島 脳っていうのは、新しいことをしたり、難しいことをしたりするとよく働くというのがこれまでの通念でした。ところが実験を通じて、脳は文章を読む時に見たこともないくらい活発に働いていることが分かったんです。そこで認知症の高齢者の方に文章を読んでいただく実験をしてみたら、薬を飲んでもよくならなかった方がよくなるという、奇跡のようなことが起こったんです。

土屋 僕はそれまで読書の大切さを確信してはいましたけど、残念ながら科学的な根拠はありませんでした。ひたすら実践を続けていく中で、子供たちの表情が明るくなったり、喜びが現れることを唯一の手がかりにやってきましたから、川島君に脳科学の観点から音読の効用を明らかにしていただいて100万の味方を得た思いでした。

川島 いまは仙台市の教育委員会と学術協定を結んでいて、市内の公立小中学校に通う7万人強の子供たちの学力データを10年近くにわたって追跡調査していましてね。そこからも読書習慣を持っている子の学力が明らかに高いというデータを得ているんです。
脳の測定をさせてもらうと、読書習慣を持っている子は脳の発達がとてもいい。大脳の言語半球の神経線維しんけいせんいという電線の連絡する部分、ここの発達がすごくよくなっていることが分かりました

(平成29年度に4万人の子供たちを対象に行った読書時間と成績の関係。読書時間が長いほど成績が高くなっている。※読書のために勉強や睡眠の時間を削ることは成績低下に繋がる可能性もある)

実際にどれだけ学力に差があるかと言いますと、読書をまったくしない子が平均点を超えるには、家で毎日2時間勉強して、かつ睡眠を6時間から8時間キチッととらなければなりません。ところが読書を毎日する子たちは、家での勉強時間が1時間もあれば十分で、あとはちゃんと睡眠さえとっていれば平均点を軽く超えるんです。さらに、毎日1時間以上読書する子たちは、宿題さえちゃんとしていれば、あとは適切な睡眠時間が確保されると楽々平均点を超える。それくらい、激烈な学力の差が生まれることが分かったんです。

・・・おそらく多くの人が、小学校五〜六年時にクラスで1番の子が読書好きだったことを覚えているのではないでしょうか。読書の習慣は幼少期から始まり、長ずるに従って大人が読むレベルの本に近づいていきますから、自然に多くの語彙を習得することになります。

よく「読み聞かせ」することを薦める例もありますが、読み聞かせはせいぜい三〜四歳ごろまでで、「素読」から「音読」に変えていった方が力がつくと考えます。

 

posted by at 17:34  | 塾長ブログ, 国語力ブログ
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