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学力テストから見る英語教育の問題点

 毎年実施される全国学力テスト。各都道府県で小学校や中学校の学習の充実度を見る指標として筆者も毎年注目しています。教育現場の先生方は、常に創意工夫しながら児童生徒の学力向上を目指されているはずです。その意味でも、学力テストの結果は先生方の切磋琢磨の励みとなれば何よりです。

さて、国立教育政策研究所のホームページに平成31年度(令和元年度) 「全国学力・学習状況調査 報告書」

https://www.nier.go.jp/19chousakekkahoukoku/report/19middle/19meng/が有ります。詳細且つ克明に解答の分析がされています。

教科に関する調査の各問題の分析結果と課題」(2)中学校英語https://www.nier.go.jp/19chousakekkahoukoku/report/data/19meng_04.pdf 

から、当該英語の学力テストの出題の趣旨を抜き書きしてみました。「聞くこと,読むこと,書くこと」(大問題1〜10)「話すこと」(大問題1〜3)について(詳細は当該ホームページをご参照ください)。

出題の趣旨

◎聞くこと,読むこと,書くこと

1 英語を聞いて情報の詳細を理解することができるかどうかをみる。

2  まとまりのある英語を聞いて,話の概要を理解することができるかどうかをみる

まとまりのある英語を聞いて,必要な情報を理解することができるかどうかをみる。

聞いて把握した内容について,適切に応じることができるかどうかをみる。

英語を読んで情報の詳細を理解することができるかどうかをみる。

まとまりのある文章を読んで,話のあらすじを理解することができるかどうかをみる。

まとまりのある文章を読んで,説明文の大切な部分を理解することができるかどうかを みる。

書かれた内容に対して,自分の考えを示すことができるよう,話の内容や書き手の意見 などをとらえることができるかどうかをみる。

英語の基本的な語や文法事項等を理解して,正しく文を書くことができるかどうかをみ る。

10 与えられたテーマについて考えを整理し,文と文のつながりなどに注意してまとまりの ある文章を書くことができるかどうかをみる。

◎話すこと

基本的な表現を理解して正しく応答する

即興でやり取りをする

まとまりのある内容を話す

・・・英語の4技能「聞くこと,読むこと,書くこと」「話すこと」について、上記の「出題の趣旨」は、そのまんま母語である我が国の言葉で適切に応えることが出来ますか、ということです(強調!)。

幼い時から、日々言葉を覚え、文法を踏まえた用い方を習うことから始まって、正しく「聞く,読む,書く」「話す」を訓練しない限り、日本人としての「国語力」は身につきません。

それが出来て初めて外国語(英語など)に取り組まなければならないにも関わらず、早々と小学校に来年度から英語が教科となって導入されます。文部科学省のなんと誤った英語教育の施策でしょうか。同様に憂えるのは、英語を熟知したほど多いように感じます。

以下の産経新聞(2019.8.5)社説も早期の英語教育の愚を指摘しています。https://www.sankei.com/column/news/190805/clm1908050003-n1.html

主張】英語の学力テスト 「話す」土台の国語鍛えよ

 「話す」のが苦手で、基本的な文法も身についていない。全国学力テストで中学3年を対象に英語が初めて行われ、課題が明らかになった。

 基礎を大切にコミュニケーション能力の向上を図る、文部科学省のかけ声とは正反対の結果である。指導態勢などの厳しい検証が必要だろう。

 中3生は、小学校で英語に親しむ「外国語活動」の授業が導入された世代だ。

 ところが、英語の平均正答率をみると、「聞く」(68・3%)▽「読む」(56・2%)▽「書く」(46・4%)▽「話す」(30・8%)で、思うように会話力がついていないことが分かった。

 2人の会話のやりとりを踏まえ関連した質問を考える問いでは、正答率が1割台と低かった。将来の夢などを話す問題も、正答率は4割台にとどまった。

 さらに気がかりなのは「書く」などの分野で、三人称単数現在形(三単現)の動詞を間違える生徒が目立つなど基本的な文法が身についていない懸念があることだ。「話す」力の育成もうまくいかず基礎も身についていなければ、虻蜂(あぶはち)取らずの結果である。

 文科省は、英語教育の早期化に舵(かじ)を切り、来年度からは小学校で英語が教科となる。だが早くから学べば英語が話せるようになると思うのは安易だ。日々使う環境がなければ英語はすぐに忘れ、身につかないことは専門家も指摘している。授業時間が限られた学校教育では、まず基礎の習得に重きを置くことを明確にすべきだ。

文章の空欄に接続詞を入れる問いでは、「but」が正解なのに「because」と答えた生徒が目立った。そもそも、文章を理解する国語力に課題があるのではないか。

 コミュニケーションの基礎となるのは、相手の言葉をよく聞き、理解する読解力だ。これを支えるのは国語力である。あらゆる教科につながる知的基盤だ。それは日頃からの読書などを含め培われるものだ。英語早期化を焦り国語力育成が忘れられては困る。

 学力テストと合わせて行われた生活などの調査の分析から、新聞を読む習慣のある子供の方が、国語、算数・数学、英語とも正答率が高い傾向が顕著に出た。新聞は日々さまざまな情報を分かりやすくまとめる工夫をしている。学力向上に活用してほしい。

 

・・・「英語早期化を焦り国語力育成」を閑却(かんきゃく:いい加減にしておくこと)すると、一部の「できる」児童生徒とほとんどの「できない」児童生徒に分化すると愚考します。

それへの対策は、小学校の英語教育が始まる前に、日本語の語彙力をつけ、正しく「聞く,読む,書く」「話す」を訓練をすることです。

posted by at 12:45  | 塾長ブログ, 国語力ブログ

美しい日本語をブラジルの子供たちに伝えて60年

平成31年4月10日、天皇皇后両陛下の御成婚60年の佳き日に、「天皇陛下御即位三十年奉祝感謝の集い」が開催されました。その祝辞の中に、宮崎真優さん(ブラジル国サンパウロ市エタバ高校3年生)は日本語について以下のように述べています(一部引用)。http://www.houshuku.org/houshuku/tsudoi.html

(天皇陛下御即位奉祝委員会H.Pより引用)

私はブラジル人です。ブラジルを愛しています。そして、日本も私の中でずっと生きています。私は日本が大好きです。そして今、ブラジル人であり、日本人であることを誇りに思っています。

日本語ってとっても難しいですね。きびしい先生のお叱りを受け、「日本語はいやだ。」と思うこともありました。でも両親は日本語を絶対に止めさせてくれませんでした。そして、最近、私は日本語の深さと美しさに気付き初めるようになりました。漢字は一字一字に意味があり、その漢字を組み合わせると更に深い意味の熟語が成り立つことが面白くなってきました。日本語をとおして私は思いやりの心、優しさを学ばせていただいています。素朴で優しい心を持った医者になり、たくさんの人を助けたいです。また、日本とブラジルの架け橋になりたいと思っています。

羅針塾でよく引用させて頂く「国際派日本人養成講座」は日本の素晴らしさを様々な切り口で国内外に紹介されています。その最新の記事に、「川村真倫子先生〜美しい日本語をブラジルの子供に伝えて60年」があります。その中の一文に、「真優さんはブラジルの公学校『大志万(おおしまん)学院』で日本語を学んだ。『日本語の深さと美しさ』を教えてくれた『きびしい先生』とは、創立者・川村真倫子先生のことだろうか?」とあります。http://blog.jog-net.jp/201907/article_2.html

川村真倫子先生(国際派日本人養成講座H,Pから引用)

■3.「あまてらすおおみかみさまだ!」

「日本語には、よき地球人として生きる智恵のすべてがある」とは、川村先生が学校教育の現場で、子どもたちと共に喜び、笑い、悩みながら到達した真実だという。

__________
 私どもの学校では、日本で使われている国語の教科書を使用しています。そこにあるのは、美しく、正しい本来の日本語の姿です。ページを繰ると、美しいリズムがあり、音の流れがきこえ、夢のある情緒豊かな言葉が並んでいます。どのページにも、驚きがあり、感動があります。
この日本語に触れ、慣れていくうちに、非日系の子どもたちまでが、少しずつ内面から変化していくのです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 具体例を見てみよう。1953年に最初の日本語学校「松柏(しょうはく)塾」を開いた時に、戦前の国語教科書を使い始めた。戦後の外国人のための日本語教科書は文法をことさらに意識したり、ぎこちない日本語が入っていたりして、川村先生の目指す「美しい日本語」から遠ざかっていたと思えたからだ。周囲からは古臭いと揶揄されたが、こんな一節があった。

__________
「あさのひかり、おはよう! おはよう! みんなともだち」

 日本語の教科書は、まるで一つの映像を映し出すように、人としての大切なことを、子どもたちに優しく語りかけてくれます。・・・

 言葉を覚えながら、太陽の輝きや木々のたたずまい、水の流れを感じ、その生命と交わす挨拶を覚え、人と仲良くすることを覚える。日本の国語の教科書は、人生の生命そのものなのです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 こういう国語教科書で学んだ生徒の一人が、日本研修の際に伊勢神宮で早朝参拝を行った時、御社の後ろから朝陽があがっているのを見て、突然、「あまてらすおおみかみさまだ!」と声をあげた。

__________
 これにも大変驚きました。太陽が天照大神様だと、誰かが教えたわけではありません。神話の中で、子どもたちはその存在は知っておりましたが、それが太陽と結びついたのは、ブラジル人である彼らの豊かな感受性によるものでした。

 日本では、古くから天照大神を日の神として祀っています。日本人は太陽のことを、親しみを込めて「お天道様」と呼んできました。昔の子どもは、何か悪さをすると、「お天道様が見ているよ」と、叱られたものです。そこには、大自然をつかさどる天への敬意が込められています。その話をどこかで聞いたわけでもないのに、子どもたちは自らそれを感じたのです。
 伊勢神宮を包む、非常に静かな、美しい自然が語りかける言葉がこどもたちの心に届いたのだと思います。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

■4.「日本の神様は大宇宙なんだ。そして、日本人はすっぽり恵みの中に入っている」

 また別の年の研修旅行では、早朝参拝の帰り道に、鬱蒼と茂る杉の間から、霧の間を通って光の筋が差し込んできた。まさに天から降りてきた光の筋だった。子どもたちもその光に驚いた。その晩の反省会で、一人の生徒がこう言った。

__________
「今日、分かったよ。日本人の神様は大自然なんだね。日本の神様は大宇宙なんだ。そして、日本人はすっぽり恵みの中に入っている。日本の神様はすごい神様なんだ」
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 川村先生はこの発言に驚いた。彼らは一神教であるカトリックを信仰しているが、もの言わない自然が自分たちに語りかけてくる言葉を聞き取ったのである。

 川村先生は「どんな物にも、どんな道具にも、神様が宿っているから大切に」と教えていたが、カトリックで神様は一人と教わってきた彼らには意味が分からなかった。それが、この時の経験から「自然すべてが神様なのだ」と感じることができたという。

 サンマリノの駐日大使マンリオ・カデロ氏は日本滞在40年以上の間に多くの神社を参拝し、御自身はカトリック教徒だが、母国でヨーロッパ最初の神社を建てた。そこでは日本流のお祭りも開かれ、「神道が自然崇拝の営みであって、宗教と両立するものだ」という事が住民の間でも受け入れられつつあるという。

 それと同じ事を、ブラジルの高校生たちも感じとったのである。「あさのひかり、おはよう! おはよう! みんなともだち」とか、「お天道様」などという日本語を学んでいると、自然とこういう感性が育っていくのではないか。

・・・美しい日本語は、現在の日本語の教科書には見当たらない、といえば言い過ぎかもしれませんが。それほど、日本語の素晴らしさを伝える工夫がなされていないと感じるのは筆者だけでしょうか。

1953(昭和28)年、川村先生は実家の居間で日本語教育を始めた。その時、ひとつ心に決めていたことがあった。日本語の奥に秘められた優しさ、和やかさ、繊細さ、そういった美しい日本の心を伝えていきたい。したがって、堅苦しい日本語の文法は後回しにしてでも、日本語に触れる感動や喜びに満ち満ちた授業にしようと、決意していた。

 川村先生の日本語塾は、ブラジルや日本の多くの人々に支えられて、成長していった。この学校で「日本語の深さと美しさ」を学んだ生徒たちの代表が、冒頭に紹介した宮崎真優さんなのであった。

 

 

・・・国語教育の中で、「漢字は一字一字に意味があり、その漢字を組み合わせると更に深い意味の熟語が成り立つことが面白くなってきました。」と、塾生に言わしめることが出来るか、は私達の最初の関門です。

 

posted by at 17:00  | 塾長ブログ, 国語力ブログ

言葉の数が少ない子どもは知能が低い 3

霊長類(霊長類、霊長目の哺乳類の総称。動物界で最も進化の程度が高いもの)の中でも人が一番知能程度が高いのは、言葉を持つからです。人以外の霊長類で比較的知能が高いチンパンジーやオランウータンは、個体其々で何らかのコミュニケーションを取りますが、言葉と言えるものではありません。

「言葉は経験から得るもの」(「子供が賢くなる75の方法」久野泰可著 幻冬社P.16)からの引用ですが、子育てのヒントがありますのでご紹介します。

言葉は経験から得るもの

コミュニケーションの基本は、言うまでもなく「言葉」です。多くの大人は言葉に対して「いつの間にか、自然に覚えていくもの」と思っていて、「子供が言葉を獲得すること」についてあまり深く考えていないのはないでしょうか。

子供は一歳半くらいから急速に言葉を獲得し始めます。この時期の子供は、様々な経験を通じて言葉を覚え、少しずつ使いこなすようになります。

この時重要なのは、「子供がどんな経験をして、どんな言葉を獲得していくか」につきます。

今、子供の耳には様々な「言葉」が飛び込んできます。その多くは、残念ながら実際にその場にいる人が発するものではなく、テレビやDVDなどのメディアではないでしょうか。その結果、幼いのに大人びた言葉遣いをしたり、難しい言葉を知っている子供に会うことがあります。

しかし、例えば「川」という言葉も、実際に川に入って流れに足を取られないよう踏ん張った経験や、葉っぱなどを流してその早さに驚いたことがある子供と、川の実体験をしたことのない子供では、言葉から来るイメージに大きな違いがあります。

あるいは、親が早朝出勤や深夜帰宅などで、「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」をいう機会がない子供は、「お帰りなさい」と言いながら家に帰ってくるなど、言葉の使い方を間違えている例がよく見られます。

このように、「単に言葉を知っている」ことよりも、「どんなときに使うのか」「その言葉が表現しているのはどのようなことか」を、様々な体験を通して身に付け、使いこなせるようになることが、幼児期にはとても重要です。

その為には、日常生活で様々な場面を経験して言葉を使うだけではなく、できるだけ様々な場所に行き、普段では出来ない体験をさせることが、生き生きとした言葉を使いこなせるようになる為に欠かせないのです。

・・・時、相手、場面に応じて、言葉を使いこなせるようになるには、お母さんやお父さん、家族が子供さんに適切に助言する必要があります。成長の過程で、経験から学んだ言葉は、しっかりと子供の心に根付いていきます。

言葉の数が少ない子供さんには、目をしっかり見つめながら、一つ一つ言葉を聞いて、返すことの繰り返しから始めます。興味を持つことは何か、伝えたいことは何か等、子供さんとの意思疎通の切っ掛け探しも大事な点です。

 

さて、幼児期から就学年齢に差し掛かると、小学校受験など子供さんにとっては、大きな転換点となる試練が有ります。ある意味大人になっていく一つの階段ですが、語彙力のある子供さんとそうでない子供さんでは、試験に対する取り組み方も、ストレスも異なってきます。

就学年齢になる以前から、コツコツ語彙力を高めていくと、なだらかな階段を登るようなものですから、楽しみながら学ぶことができていきます。興味のあることや、楽しめることは、知能が高ければ、子供さんは自ら進んで取り組み始めます。

posted by at 15:12  | 塾長ブログ, 国語力ブログ

言葉の数が少ない子どもは知能が低い 2

「言葉の数が少ない子どもは知能が低い 1」(https://rashinjyuku.com/wp/post-1627/)でご紹介しましたフランスの例は、「フランスで生まれてフランスで育った黒人の子どもの知能 は、まったくフランス人の子どもと変わらなかった」ということから、「フランス語で使われている言葉は、ボキャブラリーが豊かです。フラ ンスで生まれた子どもたちは、豊かな言葉を耳にして育ちます。だから 知能が高いのだ」という結論です。

ボキャブラリー=語彙力が豊富であるということは、想像力を豊かにし、当然、表現力をつけることができます。

幼児期の子どもに言葉を教えるのは、まず母親でしょう。母親の言葉 を通して、子どもの能力が育っていくのですから、お母さんの役割は非 常に大切です。母親が言葉の教育に熱心に取り組むことが、子どもの 将来に響いてきます。

・・・この言葉は、当ブログが再三再四強調していることです。

近年、子育て中のお母さん方の周りには、子育て経験の豊かな年配の女性(祖母、近所のおばあさん等)と接触する機会がないのが現状です。年代を超えての「井戸端会議」が、かっての日本の若いお母さん方を啓蒙していたのではないでしょうか。そういう場がないことが、現在のお母さん方の子育てへの不安や迷いを生み出しています。

お母さんは、年齢や月齢に応じた成長が平均以上であれば安心し、そうでなければ不安がるのはいつの時代も変わりがありません。子供の成長を客観的に測る物差しがあれば一番良いのですが、様々な根拠に基づく物差しを試してみて、自分なりの結論を導くしかありません。

たまたま見かけた論文をご紹介します。「言葉の発達の遅れで受診した3歳児の縦断的検討」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn1969/24/1/24_1_3/_pdfという論文の「言語発達リスト」は、一つの物差しを提供してくれます。引用してご紹介します。

はじめに

言葉の遅れは、精 神遅滞や自閉症などの全汎性の 発達障害に伴 う場合 と成長 とともに正常化するといわれ る発達性言語遅滞などに分類 される。近 年、幼年期 には言葉の遅 れのみと考え られていた例 でも、後 に学習障害がみられたとの報告もあり、言 葉の発達の遅れのある小児の知能 ・行動発達の長期 予後を検討することは重要である。

ただ、発 達の個人差は幼少児であればあるほど顕 著であ り、環 境的な要因も小児の発達に大きく影響 を与えるため、発 達遅滞の分類や予後 を3歳 の時点 で推定することは容易ではない。また、言 葉の発 達の遅れがある小児の両親 も、い つ ・どこに相談すべきか分 らず小児科 を受診する場合が多い。

 

上記画像は見にくいので、以下にご紹介します。(月齢・対人関係・発声活動の三段に分けて記載しています)

◯月齢       

・対人関係       

・発声活動

◯出生時

・—

うぶ声

◯0:1(一ヶ月)

一点凝視・顔全体で微笑

アーオーウーの声を出す ・泣き声に変化が出てきて原因が区別できる

◯0:3(三ヶ月)

・快で笑い不快で泣く・180°追視・話し声の方へ顔を向ける

・あやすと声を出して笑う・声かけだけで泣き止む

◯0:5(五ヶ月)

・笑いかけてくる・抱かれることを喜ぶ・360°追視

・人がいなくなると泣く・外からの刺激に対して笑顔や泣いて反応する

◯0:6(六ヶ月)

・人見知り・見知らぬ人には無言で、見慣れた人には声を出す

・反覆喃語(*)の出現・自分から声を出して呼び掛ける

◯0:9(九ヶ月)

・バイバイに反応して手を振る・名前を呼ばれると振り向く

・食べ物を見るとマンマンマンと言いながら手を出す・喃語をしゃべり続けながら手に持ったもので物で遊ぶ

◯0:12(十二ヶ月)

・行動抑制が可能になる(メンメで手を引っ込める)・知らせる指さしがある・母の後追いが出てくる

・有意味語を喋る(マンマ、ブーブー、パパ)・知っている場所に来るとアーアーといって教える

注(*)喃語(なんご:幼児期の、まだ言語とは言えない意味のない音声)

◯年齢

・言語理解

・言語表出

◯1:6(一歳六ヶ月)

・「新聞持ってきて」など言葉だけの簡単な言いつけに従いますか・「おめめは」「おくちは」と聞くと正しく指さすことができますか・自分から絵本を持ってきて読んでもらいたがり聞いていますか・絵本を見て「ワンワンどれ」と聞くと聞かれたものを指さしますか

・話しかけると真似してそれに似た音を繰り返しますか・自分の欲しいものを言葉で要求しますか・お母さんに「ママ」等と」呼びかけますか・自分から手を振りながら「バイバイ」と言いますか

◯2:0(二歳)

・母親の要求に従って父親を食事入浴等にさそうことができますか・絵本をみて靴、コップなど身辺のものを正しく指さしますか・台を持ってきて高いところからものを取りますか

・お母さんの言葉の一部を模倣しますか・友達の名前が言えますか・二つの言葉をつないで話しますか・簡単な質問に言葉でこたえられますか(「パパは?」「カイシャ」)・自分のことを名前で言いますか ・ここ、あれ、これ等の代名詞を使いますか・単語の数が200くらいありますか

◯2:6(二歳六ヶ月)

・二つの動作を含む簡単な命令に従えますか・机の上下がわかりますか・色の名前を正しく二色以上指さしますか・欲しいものがあっても「あとで」と言い聞かせると少しの間我慢ができますか・物の用途がわかりますか(水を飲むのに使うのどれ→コップ)

・「これなあに」と聞きたがりますか・名前を呼ばれると「はい」と返事しますか・「いくつ」と聞かれると答えますか・「アツイ」「イタイ」「イッパイ」「モット」などのうち使えるものがありますか・遊びながら絶えず喋っていることがありますか・色の名前が一つ以上言えますか

◯3:0(三歳)

・お話を何回も話してもらいたがり、聞いていたお話が途切れると催促しますか・言葉で表現しきれないと、動作で表現しようとしますか。

・お名前はと聞かれると姓名が言えますか・男の子、女の子が言えますか・オハヨウ、さようならが正しいときに使えますか・3〜4語文繋げて話せますか(パパ カイシャ イッチャッタ)・助詞を使って話ができますか(が、に、を、は)・日常的な身の回りの単語はほとんど言えますか(単語数1,000)

◯4:0(四歳)

・魚、果物のような抽象名詞を理解できますか・10までわかりますか・一般的な反対語がわかりますか(お父さんは大きい、子供は?)・自分の名前を読めますか

・童謡が歌えますか・接続詞を使えますか(そして)・自分の経験したことや見聞きしたことを話しますか・絵本を見ながら各ページの状況に当てはまることを話しますか・カ行、タ行がはっきり言えますか・4〜5語文がありますか・なぜ、どうしてと聞きますか

◯5:0(五歳)

・子供カルタをほとんど取れますか・数字を拾い読みしますか・大中小がわかりますか・上中下、前後がわかりますか

・自分の家の住所を正しく言えますか・自分の名前が書けますか・しりとり遊びができますか・なぞなぞができますか・30までの数の復唱ができますか

◯6:0(六歳)

・曜日がわかりますか・本の内容が話せますか・やさしい本は読めますか・新しい言葉を聞くと「なあに」とその意味を尋ねますか

・電話で役に立つ会話ができますか・幼児語をほとんど使いませんか・サ行、ラ行をはっきり言いますか

山田美佐子, 鈴木 榮. 小児科の言語外来の現況.小児科臨床1982; 35: 943-50.より引用)

 

 

・・・37年前の資料ですが、現在も役に立つ一つの物差しです。「言語理解」「言語表出」は、「正しく聞いて内容を理解すること」「正しい言葉で表現すること」です。

「一を聞いて十を知る」(*)とまではいかなくとも、「十を聞いて十を知る」ことができるよう、子供さんにはしっかりと力をつけて欲しいものです。

(*)(論語 公治長)(物事の一端を聞いただけで、その全体を理解するほど、聡明であること)

 

posted by at 18:12  | 塾長ブログ, 国語力ブログ

難関大学合格への鍵は幼児教育に有り

日本人の美点は、子弟の教育に誠実で熱心なことです。

これは代々繋いできた母から子への伝統です。恐らく、縄文時代から連綿と繋がってきた、大自然の中で、自然を正しく畏れ、謙虚に自然を活用してきた母の智慧がそうさせるように思います。

原日本人とも言える縄文人は、生きとし生けるものや、あらゆるものに精霊が宿ると考えていたようです。女性を象ったであろう土偶は、子孫繁栄を願う祭祀に用いられたものだと考えられています。子を産み、育てるにはお母さんの、命を賭けた日々の努力があってこそです。これは、現代に生きるお母さんがたも、縄文時代も変わることはありません。

日本人の心象に色濃く残る大自然は(朝日に始まり、目に映じる総ての自然現象)、日本人の氣質に大きく好影響を与え、それへの調和を重んじる自然観、価値観を与へました。

お母さんと一緒に見た朝の陽の光や、夕陽の壮大な赤い輝きを子供達は一生記憶していきます。

雲仙登山道に現れた仔兎

雲仙登山道に現れた仔兎

 

・・・突然飛び出した仔兎は、無邪気に車道を飛び跳ねました。慌てて車を路肩に止めて、記念撮影。毛が生え替わり、成獣になる過程の一コマです。

 

さて、話は変わって本題です。

お母さんの思いを受け継ぐことができるのはお腹を痛めた愛しい我が子です。

その子が、自らの死後も、しっかり生き抜いてくれることを願い、そのまた子孫も弥栄(いやさか:いよいよ栄えること)出来るようにする鍵は、幼児期の教育にあります。

「三つ子の魂百まで」という諺は、正に幼児期の躾、倫理観の醸成、教育が、子供の生まれ落ちたその時から始まることを示しています。

お母さんが感じる感動を、子供さんと共有できる家庭を築くことができれば、幼児期の教育は半ばを達成出来ます。

俗に言う「難関大学」への挑戦は、子供に立ち向かう勇気と努力を、幼児期につけることに鍵があるように思います。

当塾では、幼児教育に御理解を頂いているお母さん方には、「子供さんと一緒に、学び直しをして下さい」と、お話をします。それは、かってお母さん方が幼児期に受けたであろう、そのまたお母様方の思いを受け止めることに繋がります。つまり、「私のお母さんは、こんなにも苦労し、工夫し、努力を傾けてくれていた」のだということに氣付くことです。現在ある自分を愛情込めて育ててくれていたのだという事実に氣付けば、今の子育てに違和感なく愛情を注ぎ込め、苦労を厭わなくなれます。

「難関大学」への挑戦は、そこから始まります。

 

posted by at 15:34  | 塾長ブログ, 国語力ブログ
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