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言葉の数が少ない子どもは知能が低い 3

霊長類(霊長類、霊長目の哺乳類の総称。動物界で最も進化の程度が高いもの)の中でも人が一番知能程度が高いのは、言葉を持つからです。人以外の霊長類で比較的知能が高いチンパンジーやオランウータンは、個体其々で何らかのコミュニケーションを取りますが、言葉と言えるものではありません。

「言葉は経験から得るもの」(「子供が賢くなる75の方法」久野泰可著 幻冬社P.16)からの引用ですが、子育てのヒントがありますのでご紹介します。

言葉は経験から得るもの

コミュニケーションの基本は、言うまでもなく「言葉」です。多くの大人は言葉に対して「いつの間にか、自然に覚えていくもの」と思っていて、「子供が言葉を獲得すること」についてあまり深く考えていないのはないでしょうか。

子供は一歳半くらいから急速に言葉を獲得し始めます。この時期の子供は、様々な経験を通じて言葉を覚え、少しずつ使いこなすようになります。

この時重要なのは、「子供がどんな経験をして、どんな言葉を獲得していくか」につきます。

今、子供の耳には様々な「言葉」が飛び込んできます。その多くは、残念ながら実際にその場にいる人が発するものではなく、テレビやDVDなどのメディアではないでしょうか。その結果、幼いのに大人びた言葉遣いをしたり、難しい言葉を知っている子供に会うことがあります。

しかし、例えば「川」という言葉も、実際に川に入って流れに足を取られないよう踏ん張った経験や、葉っぱなどを流してその早さに驚いたことがある子供と、川の実体験をしたことのない子供では、言葉から来るイメージに大きな違いがあります。

あるいは、親が早朝出勤や深夜帰宅などで、「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」をいう機会がない子供は、「お帰りなさい」と言いながら家に帰ってくるなど、言葉の使い方を間違えている例がよく見られます。

このように、「単に言葉を知っている」ことよりも、「どんなときに使うのか」「その言葉が表現しているのはどのようなことか」を、様々な体験を通して身に付け、使いこなせるようになることが、幼児期にはとても重要です。

その為には、日常生活で様々な場面を経験して言葉を使うだけではなく、できるだけ様々な場所に行き、普段では出来ない体験をさせることが、生き生きとした言葉を使いこなせるようになる為に欠かせないのです。

・・・時、相手、場面に応じて、言葉を使いこなせるようになるには、お母さんやお父さん、家族が子供さんに適切に助言する必要があります。成長の過程で、経験から学んだ言葉は、しっかりと子供の心に根付いていきます。

言葉の数が少ない子供さんには、目をしっかり見つめながら、一つ一つ言葉を聞いて、返すことの繰り返しから始めます。興味を持つことは何か、伝えたいことは何か等、子供さんとの意思疎通の切っ掛け探しも大事な点です。

 

さて、幼児期から就学年齢に差し掛かると、小学校受験など子供さんにとっては、大きな転換点となる試練が有ります。ある意味大人になっていく一つの階段ですが、語彙力のある子供さんとそうでない子供さんでは、試験に対する取り組み方も、ストレスも異なってきます。

就学年齢になる以前から、コツコツ語彙力を高めていくと、なだらかな階段を登るようなものですから、楽しみながら学ぶことができていきます。興味のあることや、楽しめることは、知能が高ければ、子供さんは自ら進んで取り組み始めます。

posted by at 15:12  | 塾長ブログ, 国語力ブログ

言葉の数が少ない子どもは知能が低い 2

「言葉の数が少ない子どもは知能が低い 1」(https://rashinjyuku.com/wp/post-1627/)でご紹介しましたフランスの例は、「フランスで生まれてフランスで育った黒人の子どもの知能 は、まったくフランス人の子どもと変わらなかった」ということから、「フランス語で使われている言葉は、ボキャブラリーが豊かです。フラ ンスで生まれた子どもたちは、豊かな言葉を耳にして育ちます。だから 知能が高いのだ」という結論です。

ボキャブラリー=語彙力が豊富であるということは、想像力を豊かにし、当然、表現力をつけることができます。

幼児期の子どもに言葉を教えるのは、まず母親でしょう。母親の言葉 を通して、子どもの能力が育っていくのですから、お母さんの役割は非 常に大切です。母親が言葉の教育に熱心に取り組むことが、子どもの 将来に響いてきます。

・・・この言葉は、当ブログが再三再四強調していることです。

近年、子育て中のお母さん方の周りには、子育て経験の豊かな年配の女性(祖母、近所のおばあさん等)と接触する機会がないのが現状です。年代を超えての「井戸端会議」が、かっての日本の若いお母さん方を啓蒙していたのではないでしょうか。そういう場がないことが、現在のお母さん方の子育てへの不安や迷いを生み出しています。

お母さんは、年齢や月齢に応じた成長が平均以上であれば安心し、そうでなければ不安がるのはいつの時代も変わりがありません。子供の成長を客観的に測る物差しがあれば一番良いのですが、様々な根拠に基づく物差しを試してみて、自分なりの結論を導くしかありません。

たまたま見かけた論文をご紹介します。「言葉の発達の遅れで受診した3歳児の縦断的検討」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn1969/24/1/24_1_3/_pdfという論文の「言語発達リスト」は、一つの物差しを提供してくれます。引用してご紹介します。

はじめに

言葉の遅れは、精 神遅滞や自閉症などの全汎性の 発達障害に伴 う場合 と成長 とともに正常化するといわれ る発達性言語遅滞などに分類 される。近 年、幼年期 には言葉の遅 れのみと考え られていた例 でも、後 に学習障害がみられたとの報告もあり、言 葉の発達の遅れのある小児の知能 ・行動発達の長期 予後を検討することは重要である。

ただ、発 達の個人差は幼少児であればあるほど顕 著であ り、環 境的な要因も小児の発達に大きく影響 を与えるため、発 達遅滞の分類や予後 を3歳 の時点 で推定することは容易ではない。また、言 葉の発 達の遅れがある小児の両親 も、い つ ・どこに相談すべきか分 らず小児科 を受診する場合が多い。

 

上記画像は見にくいので、以下にご紹介します。(月齢・対人関係・発声活動の三段に分けて記載しています)

◯月齢       

・対人関係       

・発声活動

◯出生時

・—

うぶ声

◯0:1(一ヶ月)

一点凝視・顔全体で微笑

アーオーウーの声を出す ・泣き声に変化が出てきて原因が区別できる

◯0:3(三ヶ月)

・快で笑い不快で泣く・180°追視・話し声の方へ顔を向ける

・あやすと声を出して笑う・声かけだけで泣き止む

◯0:5(五ヶ月)

・笑いかけてくる・抱かれることを喜ぶ・360°追視

・人がいなくなると泣く・外からの刺激に対して笑顔や泣いて反応する

◯0:6(六ヶ月)

・人見知り・見知らぬ人には無言で、見慣れた人には声を出す

・反覆喃語(*)の出現・自分から声を出して呼び掛ける

◯0:9(九ヶ月)

・バイバイに反応して手を振る・名前を呼ばれると振り向く

・食べ物を見るとマンマンマンと言いながら手を出す・喃語をしゃべり続けながら手に持ったもので物で遊ぶ

◯0:12(十二ヶ月)

・行動抑制が可能になる(メンメで手を引っ込める)・知らせる指さしがある・母の後追いが出てくる

・有意味語を喋る(マンマ、ブーブー、パパ)・知っている場所に来るとアーアーといって教える

注(*)喃語(なんご:幼児期の、まだ言語とは言えない意味のない音声)

◯年齢

・言語理解

・言語表出

◯1:6(一歳六ヶ月)

・「新聞持ってきて」など言葉だけの簡単な言いつけに従いますか・「おめめは」「おくちは」と聞くと正しく指さすことができますか・自分から絵本を持ってきて読んでもらいたがり聞いていますか・絵本を見て「ワンワンどれ」と聞くと聞かれたものを指さしますか

・話しかけると真似してそれに似た音を繰り返しますか・自分の欲しいものを言葉で要求しますか・お母さんに「ママ」等と」呼びかけますか・自分から手を振りながら「バイバイ」と言いますか

◯2:0(二歳)

・母親の要求に従って父親を食事入浴等にさそうことができますか・絵本をみて靴、コップなど身辺のものを正しく指さしますか・台を持ってきて高いところからものを取りますか

・お母さんの言葉の一部を模倣しますか・友達の名前が言えますか・二つの言葉をつないで話しますか・簡単な質問に言葉でこたえられますか(「パパは?」「カイシャ」)・自分のことを名前で言いますか ・ここ、あれ、これ等の代名詞を使いますか・単語の数が200くらいありますか

◯2:6(二歳六ヶ月)

・二つの動作を含む簡単な命令に従えますか・机の上下がわかりますか・色の名前を正しく二色以上指さしますか・欲しいものがあっても「あとで」と言い聞かせると少しの間我慢ができますか・物の用途がわかりますか(水を飲むのに使うのどれ→コップ)

・「これなあに」と聞きたがりますか・名前を呼ばれると「はい」と返事しますか・「いくつ」と聞かれると答えますか・「アツイ」「イタイ」「イッパイ」「モット」などのうち使えるものがありますか・遊びながら絶えず喋っていることがありますか・色の名前が一つ以上言えますか

◯3:0(三歳)

・お話を何回も話してもらいたがり、聞いていたお話が途切れると催促しますか・言葉で表現しきれないと、動作で表現しようとしますか。

・お名前はと聞かれると姓名が言えますか・男の子、女の子が言えますか・オハヨウ、さようならが正しいときに使えますか・3〜4語文繋げて話せますか(パパ カイシャ イッチャッタ)・助詞を使って話ができますか(が、に、を、は)・日常的な身の回りの単語はほとんど言えますか(単語数1,000)

◯4:0(四歳)

・魚、果物のような抽象名詞を理解できますか・10までわかりますか・一般的な反対語がわかりますか(お父さんは大きい、子供は?)・自分の名前を読めますか

・童謡が歌えますか・接続詞を使えますか(そして)・自分の経験したことや見聞きしたことを話しますか・絵本を見ながら各ページの状況に当てはまることを話しますか・カ行、タ行がはっきり言えますか・4〜5語文がありますか・なぜ、どうしてと聞きますか

◯5:0(五歳)

・子供カルタをほとんど取れますか・数字を拾い読みしますか・大中小がわかりますか・上中下、前後がわかりますか

・自分の家の住所を正しく言えますか・自分の名前が書けますか・しりとり遊びができますか・なぞなぞができますか・30までの数の復唱ができますか

◯6:0(六歳)

・曜日がわかりますか・本の内容が話せますか・やさしい本は読めますか・新しい言葉を聞くと「なあに」とその意味を尋ねますか

・電話で役に立つ会話ができますか・幼児語をほとんど使いませんか・サ行、ラ行をはっきり言いますか

山田美佐子, 鈴木 榮. 小児科の言語外来の現況.小児科臨床1982; 35: 943-50.より引用)

 

 

・・・37年前の資料ですが、現在も役に立つ一つの物差しです。「言語理解」「言語表出」は、「正しく聞いて内容を理解すること」「正しい言葉で表現すること」です。

「一を聞いて十を知る」(*)とまではいかなくとも、「十を聞いて十を知る」ことができるよう、子供さんにはしっかりと力をつけて欲しいものです。

(*)(論語 公治長)(物事の一端を聞いただけで、その全体を理解するほど、聡明であること)

 

posted by at 18:12  | 塾長ブログ, 国語力ブログ

難関大学合格への鍵は幼児教育に有り

日本人の美点は、子弟の教育に誠実で熱心なことです。

これは代々繋いできた母から子への伝統です。恐らく、縄文時代から連綿と繋がってきた、大自然の中で、自然を正しく畏れ、謙虚に自然を活用してきた母の智慧がそうさせるように思います。

原日本人とも言える縄文人は、生きとし生けるものや、あらゆるものに精霊が宿ると考えていたようです。女性を象ったであろう土偶は、子孫繁栄を願う祭祀に用いられたものだと考えられています。子を産み、育てるにはお母さんの、命を賭けた日々の努力があってこそです。これは、現代に生きるお母さんがたも、縄文時代も変わることはありません。

日本人の心象に色濃く残る大自然は(朝日に始まり、目に映じる総ての自然現象)、日本人の氣質に大きく好影響を与え、それへの調和を重んじる自然観、価値観を与へました。

お母さんと一緒に見た朝の陽の光や、夕陽の壮大な赤い輝きを子供達は一生記憶していきます。

雲仙登山道に現れた仔兎

雲仙登山道に現れた仔兎

 

・・・突然飛び出した仔兎は、無邪気に車道を飛び跳ねました。慌てて車を路肩に止めて、記念撮影。毛が生え替わり、成獣になる過程の一コマです。

 

さて、話は変わって本題です。

お母さんの思いを受け継ぐことができるのはお腹を痛めた愛しい我が子です。

その子が、自らの死後も、しっかり生き抜いてくれることを願い、そのまた子孫も弥栄(いやさか:いよいよ栄えること)出来るようにする鍵は、幼児期の教育にあります。

「三つ子の魂百まで」という諺は、正に幼児期の躾、倫理観の醸成、教育が、子供の生まれ落ちたその時から始まることを示しています。

お母さんが感じる感動を、子供さんと共有できる家庭を築くことができれば、幼児期の教育は半ばを達成出来ます。

俗に言う「難関大学」への挑戦は、子供に立ち向かう勇気と努力を、幼児期につけることに鍵があるように思います。

当塾では、幼児教育に御理解を頂いているお母さん方には、「子供さんと一緒に、学び直しをして下さい」と、お話をします。それは、かってお母さん方が幼児期に受けたであろう、そのまたお母様方の思いを受け止めることに繋がります。つまり、「私のお母さんは、こんなにも苦労し、工夫し、努力を傾けてくれていた」のだということに氣付くことです。現在ある自分を愛情込めて育ててくれていたのだという事実に氣付けば、今の子育てに違和感なく愛情を注ぎ込め、苦労を厭わなくなれます。

「難関大学」への挑戦は、そこから始まります。

 

posted by at 15:34  | 塾長ブログ, 国語力ブログ

母国語の大切さ 

羅針塾の年長さん達は言葉の数が増え
伝え方を学び、私達の指示に的確に答えられるように
なってきました。

太い・細い
多い・少ない
長い・短い
違いは?
どちらが?

言い回しが似ていたり、感覚的に同じことだったり
と、いうことが無くなっていき
何を、どのように聞かれているかを判断できているように
感じています。
聞く力を磨き、伝える力・表現する力を
磨いているからだこそと考えています。

お母様たちには、読み聞かせをしっかりと行ってもらうこと。
的確な指示を出してもらうこと。
幼児扱いをしないこと。を徹底してもらっています。
一つ一つの積み重ねが語彙力に繋がっています。

「ハキハキ!元気!賢い子」

早期の英語教育を周りが推奨する中
羅針塾のお母様たちは、子供たちを賢くするために
しっかりとした母国語(日本語)の学びに
力を注いでくださいます。
私達が考える国語力。
母国語を使いこなし、語彙力を伸ばし
理解を深め考えること。
とても大事なことなのです。

読む・聞く・書く・伝える。

学びのはじめに要求されるのは英語からではなく
日本語から。
正しい学びを取り組んでいれば英語を取り組む学年に
なった時にしっかりと理解することができます。
語学に焦りは禁物。
あれもこれもではなく、母国語をしっかりと磨く。
グローバルな人間に育てたいのであれば必要なことだと
考えます。

世界に羽ばたいている偉人達は母国語の力が
しっかりとできています。
だからこそ、どんな言語でも読みこなし
理解をし表現をして活躍しているのだと考えます。

 

幼児漢字教育の奨め

幼児教育の要諦と常々考えているものが、「漢字教育」です。無論、小学校に上がってからの「漢字を書いて覚える」という暗記ではありません。何よりも「漢字の読み」ができることによって、語彙を増やすことが眼目です。

30年ほど前の書物ですが、「幼児はみんな天才」(石井勲著1988)に普遍的な意味合いを持つ提言がされていますので、引用してご紹介します。

幼児漢字教育の奨め    ソニー名誉会長 井深大(注)

ソニー創業者井深大(出典newswitch.jp)

ソニー創業者井深大(出典newswitch.jp)

石井先生が始められた、早い時期から幼児に漢字を与へる教育といふものが、如何に大きな意義があるかを、私は高く評価して居ります。

これは、今日の教育に対する大きなチャレソヂです。従って、「幼児に漢字を!」と提唱された時は、世間から受入れられなかったと思はれます。それらの軋轢を戦ひ抜いて来られたのが石井先生だと思ひます。

石井理論は、まだ高く評価されてゐないかも知れませんが、次の世代においては非常に大きな意味を持つのではないかと、私は痛感して 居ります。

私はパターン学習を提唱してゐます。パターンとは、世間では模様・図案・図形といふ狭い意味でしか執へてゐませんが、パターン学習とは「一瞥(いちべつ)学習」といふことなのです。例へば、新聞を読む時、全文を読まなくても、一瞥するだけで一応理解できる、といふのがさうです。マサチューセッツ工科大学で、全世界の文章を取上げて、どの国の文章が一番機能的であるかを測定した科学的な実験があります。それでは、漢字かな混り文が世界で最も読み易い形態である、と発表されてゐます。それは、文章を一瞬のうちに読んで、意味内容を把握することが出来るからです。

一昨年、中国に参りました時、略字化反対の声を耳にしましたが、その反対の根拠は多く感情論から出発したものでした。それで私は、石井先生の理論を披露して、「子供は画数の少ない漢字が覚え易いと皆様は思ってゐるやうですが、画数の少ない漢字は認識しにくく、画数の多い漢字ほど理解し易いものです」と教へてやりました。

漢字は画数が多ければ、子供は絶対に間違へないものです。コンピューターを使ふ場合でも、画数の多い漢字については間違ひが非常 に少ないのです。

初めは、表音文字の方が便利さでもコストの点でも有 利だと考へられてゐましたが、集積回路が出来まして、この数年間、年 ごとに集積度が高まり、漢字の画数の多いことの難点は全く解決してしまひました。従って、日本のコンピューターは、どこの国よりも大きな進 歩を見せ、ワープロも漢字で完全に処理できるやうになりました。

パターン学習と言へば、父母が毎日仏壇に手を合せてゐますと、幼 児も自然と手を合せるやうになりますが、これもパターン学習の一つでありまして、かうして子供に信仰心を植ゑつけることも大切な事だと思 ひます。

今日の教育においては、「心」であるとか「立派な人間」を作り出すやうな題目が、一つも設けられてゐません。明治以前は、儒教が中心となり、学問することは「人の道」を究めることと結び着いてゐました。明治以降、西欧の物質文明に魅せられ、「心を 養 ふ」とか「人間を作る」といふ根源的な問題を忘れて、物質文明を追及するやうになりました。その結果、今や日本は世界の富の 10 パーセント以上を占めるまでになりましたが、未だに「物(富)」だけを追求する教育が行はれてゐます。

私は、今は「人間を作る」ことが教育の主な問題点でなければならな い、と考へて居ります。そのためには、「零歳からのパターン教育」から出発しなければならない、と考へるものであります。

パターンは、「一瞥して解る」所に大きな特徴があるのであり、この「一瞥して解る」才能や感覚を養ふことは非常に大切な事である、と私は思ひます。

無批判に物事を受容れることは、理性が発達すると難しくなります。今の教育は、「丸暗記」と「理解して覚える」ことの両者を混同し、暗記させる時期に暗記させず、理窟ばかりを発達させ、そのため大切な事柄を暗記する機会を失ってゐる所に問題があります。石井式漢字教育は、 今の日本の教育を救ふものの一つであると確信して居ります。

注)井深大 (いぶか-まさる)明治41年4月11日生まれ(1908-1997) 昭和-平成時代の経営者。
昭和21年盛田昭夫と東京通信工業を設立し,25年社長。国産初のテープレコーダー,トランジスターラジオなどを商標「SONY」で輸出。33年社名をソニーに改称。独創的な技術開発を主導し,営業担当の盛田とのコンビで同社を「世界のソニー」にそだてた。46年会長。幼児開発協会理事長などもつとめた。平成4年文化勲章。平成9年12月19日死去。89歳。栃木県出身。早大卒。(出典 日本人名大辞典))

・・・パターン学習とは「一瞥(いちべつ)学習」、仏壇に手を合わせることもパターン学習、などわかりやすい表現で井深大さんは説明されています。

更に、幼児期に「一瞥して解る」才能や感覚を養ふことは非常に大切なことであると述べられます。

上記の著書が世に出てから三十年以上経ちますが、幼児教育や小学校教育が良い意味で進化しているのだろうかと疑問に思います。日本の多くの先人たちが残してきた教育の素晴らしさを継承していくことも大切です。

小学校三年生前後から理屈を言うようになってくると、暗記することに抵抗を示す子供さんが出てきます。何事にも素直に取り組むことができる年齢の内に、必要なことは暗記できる力をつけておくべきです。

三十年前に井深大氏が、「今の教育は、『丸暗記』と『理解して覚える』ことの両者を混同し、暗記させる時期に暗記させず、理窟ばかりを発達させ、そのため大切な事柄を暗記する機会を失ってゐる所に問題があります。」と懸念されている状況は、残念ながら現在も変っていません。

posted by at 17:32  | 塾長ブログ, 国語力ブログ
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