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国語力無くんば

長崎市五島町にある羅針塾 学習塾・幼児教室 https://rashinjyuku.com/wp では、筆者が新年度に際し三重県伊勢の神宮に昇殿参拝し塾生の「学業成就祈願」をして参ります。神宮とは、「お伊勢さん」「大神宮さん」と親しく呼ばれる伊勢神宮の正式な名称です。日本全国には約八万五千社の神社があるそうですが、その頂点または大本とも言えるところです。http://www.isejingu.or.jp

さて、「お伊勢さん」にお参りしていたときに目についた記事のご紹介です。産経新聞(2018.4.10)社説(「主張」)からの引用です。

 

学校の英語 土台の国語力を忘れるな

英語教育の改革が進められている。大学入試センター試験に代わる新共通テストの英語で民間の検定試験が使われる。小学校高学年の英語の教科化も決まっている。

 いくら勉強しても「話せない」という学校英語を見直し、会話力などを重視するものだ。

 英語の能力はむろん重要である。だが、コミュニケーションの基礎となる読解力、国語力の育成を忘れないでもらいたい。土台を疎(おろそ)かにして、内容のある会話は望めない。

 大学入試の新共通テストで民間検定試験を活用するのは「読む・聞く」に加え、「書く・話す」の4技能を評価するためだ。

 入試センターは要件に合った英検やTOEICなど、7事業者23試験を認定した。英検は2次で面接試験を受ける従来型でなく、受験生向けの新方式が採用された。民間検定の成績が入試センターを通し大学側に提供される。

 2020年度導入の新共通テストで、英語は23年度までマークシート式の試験と併用し、24年度から民間検定に全面移行する。

 留学やビジネスなど目的も難易度も異なる検定の使用に対し依然戸惑いがある。文部科学省は各検定を国際評価基準に当てはめ6段階で示しているが、合否判定の材料としてなじむのか疑問だ。

 国立大学協会は一定以上のスコアを出願資格とするなどガイドラインを示しているが、東京大学のように合否判定には使わないとする大学もある。

 中学や高校では早速、民間検定の受検を勧める動きもある。学校教育が民間頼みで、その対策に偏っては本末転倒である。慎重に進めてもらいたい。

 小学校では英語に親しむ授業が導入されているが、20年度からは5、6年生で正式教科となる。

 英語の入試改革とあいまって、小学校から英会話教室に通うなどの動きも過熱気味だ。英語教育の早期化は、専門家の間でも是非の議論が続いている。指導法なども十分検証されていない。

 文科省調査で中高生の英語力は相変わらず目標に達していない。教える教師の英語力も十分ではない。英語だけによる授業も進められているが、英文法の理解などが深まらないといわれる。

 思考の土台は国語力だとの理系の学者からの指摘もうなずける。土台を欠いては何も築けない。

・・・文科省は「英語教育の改革」とは銘打っていますが、様々な識者が再々疑問を呈しているように、上記の記事も懸念を表明しています。意思を伝達する基本である日本語の力をしっかり身に付けない限り、「英語教育の改革」は砂上の楼閣となるのは必至でしょう。戦後の文部行政の歴史を見る限り、教育改革と名のつくもので成功例と評されるものがどれほどあるのだろうかと疑問に思ってしまいます。

 

posted by at 00:04  | 塾長ブログ

中高生の英語力

長崎市五島町にある羅針塾 学習塾・幼児教室 https://rashinjyuku.com/wp では、入学・進級などで新しいスタートを切る塾生が新しい友人や先生方と良いご縁が出来ることを願っています。

さて、中学・高校生の英語力を文部科学省が調査した記事が目に付きました。産経新聞(2018.4.6)の記事(http://www.sankei.com/life/news/180406/lif1804060035-n1.html)から引用してご紹介します。

中高生英語力、基準到達4割 上昇傾向も国の目標に届かず 文科省調査 

 文部科学省は6日、全国の公立中学・高校の生徒の英語力を調べた平成29年度英語教育実施状況調査の結果を公表した。中3生で「英検3級程度以上」は前年度より4・6ポイント増の40・7%、高3生で「英検準2級程度以上」の生徒も2・9ポイント増の39・3%となったが、政府が同年度までにそれぞれを50%にする目標は達成できなかった。

 調査結果には、中3で英検3級、高3で準2級以上を取得した生徒のほか、取得していなくても定期テストの結果などを基に教員の裁量で「相当の力がある」と認めたものも含まれる。準2級は「高校中級のレベル」、3級は「中学卒業のレベル」とされる。

 中3で到達割合が最も高いのは福井県の62・8%で、さいたま市の58・9%、横浜市の54・0%が続いた。高3でも福井県が52・4%でトップだった。

 今回の結果について、福井県教育委員会の担当者は「各学校がコミュニケーション重視の英語授業を数十年継続してきたことが背景にある」と指摘。その上でALT(外国語指導助手)の活用や高校入試での英検加点制度、英検受検料の補助など生徒の英語学習に向けた環境整備の改善も奏功しているという。

 中3の到達割合が30・5%と低迷した島根県教委の担当者は「教員による生徒の英語力判定にばらつきが出た」と説明。高校生対象の英語セミナーを中学生にも拡大するなどして英語力の底上げを図るとした。

 英語教員の英語力も調査され、大学中級程度とされる英検準1級かそれに相当する資格を持つ割合は、中学で前年度比1・6ポイント増の33・6%、高校で3・2ポイント増の65・4%だった。ただ、中学で50%以上、高校で75%以上という政府目標には及ばなかった。

 また文科省は同日、全国の中3、高3それぞれ6万人を対象に「読む・聞く・書く・話す」の4技能ごとの到達状況をみた別の英語力調査の結果も公表。中高でいずれの技能も50%に届かず、特に高3では「話す」「書く」の到達割合が2割を切り、発信力に課題が浮かんだ。

生徒の英語力の状況(平成29年度)

 

・・・文部科学省が、中学三年生で英検3級(「中学卒業のレベル」)程度、高校三年生で英検準2級(「高校中級のレベル」程度を、それぞれ50%にしたいという平成29年度の目標を達成できなかったという。文科省が様々教育について指導し、旗振りをしていますが、教育の現場や生徒の学力は「笛吹けども踊らず」(注)のようです。筆者の感覚的には、長崎県の数字は中学生や高校生で英語の力がついている、又は得意科目としているという割合に近いのではないかと思える上記の結果です。非英語圏の日本では、英語を「話す」「書く」の技能は、余程意識して学習しないと身につかないというのが実情です。

(注)躍らせようとして笛を吹いても、誰も踊り出さないという意から、人に何かをさせようとしてあれこれと準備を整えても、相手がそれに応じないことをいう。
『新約聖書・マタイ伝・十一章』に「僕たちは君たちのために笛を吹いたのに踊ってくれなかった。葬式の歌を歌ったのに、悲しんでくれなかった」とあるのに基づく。(「故事ことわざ辞典」http://kotowaza-allguide.com/hu/fuefukedomoodorazu.htmlより)

posted by at 09:00  | 塾長ブログ

勉強のコツ

長崎市五島町にある羅針塾 学習塾・幼児教室 https://rashinjyuku.com/wp では、春期講習も最終日となり、塾生も一所懸命に学習やお楽しみに取り組みました。

「ちょっとした勉強のコツ」外山滋比古著(みくに出版)という読んで楽しい著作があります。勉強の骨(物事の核心)を掴むか否か、は長い人生で考えると、大きな差を生み出す素です。その中の一節から引用してご紹介します。

朝飯前

かってある人が、ヨーロッパからオーストラリアへ移住した。ヨーロッパには長く厳しい冬があるけれども、オーストラリアでは常夏のように年中、何か花が咲いている。それを見てこの移住者は養蜂業を始めようと思いついた。こんなに花があるのなら、さぞ蜜が沢山取れるだろうと考えたのである。

早速ヨーロッパから優秀な蜜蜂を輸入して、仕事は始まった。最初の年は大成功だったが、二年目には収穫が激減、それから年々大きく減り続け、やがてほとんど蜜を集めなくなってしまった。おかしいと思って調べて貰ったら、いつも花があるからだという意外なことがわかった。ヨーロッパで働き蜂といわれるほどに勤勉であったのは、花のなくなる冬があるからだったのである。年中花のある恵まれたところに移って、蜂はハングリーでなくなってしまったらしい。

それは蜂の話、人間は別だ、とは言い切れないようである。人間も概して、厳しい環境におかれた方がよく働く。欧米の人たちは、雪の降る国でないと、文化、文明は栄えないと信じているようだ。寒いところの人間は、温暖なところで生活する人に比べると、おしなべて勤勉で努力する。それがやがて社会の繁栄に結び付く、そう考えるのである。悪条件のもとでは、ハングリーにならずにはいられない。ハングリーならよく働くというわけだ。

一人一人についても同じことが言える。いまアメリカで最も優秀な学生は、ベトナムやカンボジアからボート・ピープルとしてアメリカへ渡った 難民家族の子女である、と言われる。ハーヴァード、イエール、プリンストンなどの名門大学へすいすい入学する。ハーヴァードなどでは定員の二十パーセントを超えて問題になったほど。

ベトナム、カンボジアからの難民が秀才、才媛だけを連れて行ったわけではあるまい。物心ともに不自由、不如意な環境で育ったために、石に齧りついても、といった勉強をした。ハングリーだったからこそ、目覚ましく学力を伸ばしたのである。

誰でも難民のような境遇になれるわけではなく、そういったハングリーな生き方をするのも困難である。しかし、特に厳しい暮らし方をするのではなくても、腹をすかせていれば、おのずとハングリーになることができる。仕事をしようと思ったら、満腹、飽食はいけない。

テレビやラジオのアナウンサーは、放送する何時間も前から食べ物を口に入れない。胃にものが入っていると、言い間違い、読み違いが多くなる。神経を張り詰めた仕事をするに空腹でなくてはいけないのを経験で知っている。ハングリーの状態が良いのである。逆に言うなら、ものを食べたあとは、精神を集中させることは避けるのが賢明だということになる。昔の人も、親が死んでも食休み、と言った。

また動物の話になるが、ライオンに芸、例えば、火の輪をくぐらせるというようなことを仕込むのは、空腹時に限るという。火の輪の向こうに肉の切れ端をぶら下げておく。くぐったらそれを与える。腹をすかせたライオンは肉切れが欲しくて火の輪をくぐる。満腹のライオンは首を縦に振ることすら大義がる。

学校の授業で、昼の食事の後は居眠りが多い。これは体が食休みを要求している証拠である。こういう時間の勉強はあまり効果がない。

ハングリーであるには、1日の早い時間ほどよいようだ。一番よいのは朝ということになる。頭の仕事にとって、朝は金の時間である。ただし食事をするとたちまち鉄の時間になる。昼食前は銀の時間。食後は鉛の時間になるが、夕方の腹の空いているときはまた銀の時間がやってくる。夕食後は鉛の時間を通りこして、夜の十時以後ともなれば石の時間である。夜型などと称してそんな時間になってから頭を使っていれば、石頭になっても不思議ではなかろう。

つまり、頭を使うのは、朝、しかも食事の前がベストだということになる。その時間なら心身共に快適でハングリーな状態にある。ここで朝飯前ということばがあるのを思い合わせる。

この言葉は、今では、朝食を食べる前に仕上げられる仕事というところから、ごく簡単なことの意味になっている。しかし、もとの心は、朝、ものを食べる前は心身爽快・きわめて能率が良いから、たとえ厄介なことでもさっさと片付けられる、というところから出ているに違いない。

前の晩に、どうしてもうまくいかなかったことが、一夜明けてから、朝食前にしてみると、あっけないほど簡単にできてしまう。そういうことを経験した人は少なくないはずである。

朝食前の時間は、よほど早起きをしない限り、ほんのわずかしかとれない。それを伸ばす工夫として、私はかって、朝食をおくらせ、昼食といっしょにすることを考えて実行した。これだと午前中がすべて朝食前になる。医者は健康のために朝食をとれと教えるが、頭をうまく使うのに朝昼の食事を合併させるのは名案である。英語のブランチは朝食と昼食を兼ねた食事である。朝食前の時間を大切にする人たちが考えたことに違いない。

・・・学習の効率を上げたいと考える人ならば、必ず考えたであろうことの一つが、食事と眠気のコントロールではないでしょうか。筆者の母がよく問わず語りで言っていた言葉が、「腹の皮が突っ張れば、目の皮が緩む」、つまりお腹いっぱい食べると、瞼が重くなって眠くなる、ということです。一般に、若いときはいつまででも眠っていたいというほどよく寝ます。勉学に励まないといけない試験前などは、さあ頑張る為に腹ごしらえ、と思うと必ず眠気を催してしまった苦い経験を持つ人は多いと思います。育ち盛りの時期に、空腹で学習に取り組むというのは至難の技ですね。

posted by at 19:12  | 塾長ブログ

文部科学省の幼稚園教育要領について

長崎市五島町にある羅針塾 学習塾・幼児教室 https://rashinjyuku.com/wp では、文部科学省の進めようとしている教育改革に留意しつつ、日々塾生と努力をしています。

さて、文部科学省は、幼稚園教育要領の解説書を公表したという記事が目につきました。産経新聞(2018.4.4)の「幼稚園でどんな力を育てる?4月からの新教育要領」からの引用です。http://www.sankei.com/life/news/180404/lif1804040001-n1.html

文部科学省は、幼稚園教育要領の解説書を公表しました。

 2018年度から全面実施される新しい幼稚園教育要領の考え方などを解説したものですが、幼稚園と小学校とのつながりを重視して、幼稚園修了時までに子どもたちにどんな力を身に付けさせるべきかという「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を説明しています。保護者が知っておくべきポイントは何でしょうか。

「資質・能力」は幼稚園も同じ

 「小1プロブレム」と言われるように、遊びを通して学ぶ幼稚園から、教科の授業が中心となる小学校に上がる段階で、戸惑う子どもたちは少なくありません。最近では「スタートカリキュラム」と呼ばれる子どもの発達の変化に合わせたカリキュラムを作成する小学校も増えています。小中学校などの次期学習指導要領は、知識偏重から思考力などの育成を重視する方向に転換しようとしていますが、幼稚園はどうなのでしょうか。

(1)知識・技能(2)思考力・判断力・表現力等(3)学びに向かう力・人間性等…という三つの柱で資質・能力を身に付けさせるという基本的な考え方は幼稚園でも同じですが、(1)と(2)には「~の基礎」を付けています。これについて解説書は、知識・技能の基礎を「豊かな体験を通じて、幼児が自ら感じたり、気付いたり、分かったり、できるようになったりすること」と説明。思考力・判断力・表現力等の基礎は、「気付いたことや、できるようになったことなどを使い、考えたり、試したり、工夫したり、表現したりすること」としています。こちらのほうが、保護者もイメージしやすいのではないのでしょうか。

教え込みとは無縁

 そして、これらの資質・能力を身に付けた「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を例示して、教員が一人ひとりの子どもたちに必要な支援をしていくよう求めています。

具体的には、「健康な心と体」「自立心」「協同性」「道徳性・は、規範意識の芽生え」「社会生活との関わり」「思考力の芽生え」「自然との関わり・生命尊重」「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」「言葉による伝え合い」「豊かな感性と表現」の10項目です。

 たとえば「思考力の芽生え」は、遊びや体験の中から「それぞれの幼児の考えを受け止め、そのことを言葉にして幼児たちに伝えながら、更なる考えを引き出していくこと」や「他の幼児との意見や考えの違いに気付き、物事をいろいろな面から考えられるようにすること」などとしています。

 また、「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」では、遊びの中で人数を数えたりするなど具体的な指導方法を示すと同時に、「正確な知識を獲得することを目的にするのではないことに十分留意する必要がある」と注文を付けています。

 小学校に上がるまでに、きちんと学習態度や生活習慣、学力を身に付けさせておきたいと思う保護者は多いことでしょう。しかし、小学校との接続を重視する幼稚園教育要領解説が求める「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は、文字や数字を覚えておくことではなく、さまざまなことに興味・関心を持ち、自分と異なる人間と付き合う基礎を身に付けることのようです。

・・・この記事では、「小学校との接続を重視する幼稚園教育要領解説が求める「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」文字や数字を覚えておくことではなく、さまざまなことに興味・関心を持ち、自分と異なる人間と付き合う基礎を身に付けることのようです。」と結論付けていますが、そのためのアプローチがまさに難題です。様々なことに興味・関心を持たせるためには、その為に必要な言葉の量と質を身に付けさせる必要があります。「言うは易く行うは難し」と考えるのは、筆者だけではないと思います。

posted by at 18:05  | 塾長ブログ

優れた授業

長崎市五島町にある羅針塾 学習塾・幼児教室 https://rashinjyuku.com/wp では、小学校からは学校の「授業」をしっかり学ぶことが何よりも大事だと考えています。近年の一部の風潮に、受験の為に学校での授業や教科書を大事にしなくてもよい、といったことが行われている例があります。これは学校の先生方に「授業力」がないことが原因とも言われています。戦後の日本の教育する力を貶める施策(米国主導)である師範学校の廃止は、七〇年経過すると、大きなマイナスとなって日本の教育に影を落としています。

さて、日本の教育界で長年教鞭をとられ、、教育の技術を法則化する運動をされている向山洋一先生の記事が目につきました。産経新聞(2018.4.4)の「優れた授業は努力からうまれる お手本を見て学び、何年もかけて」からの引用です。http://www.sankei.com/life/news/180404/lif1804040006-n1.html

授業の上手(うま)い教師がいる。下手な教師もいる。下手な教師は上手くなるように努力しなければならない。上手い教師のお手本を見て学び、やってみる。問題点を指摘され修正する。簡単な道のりではない。何年もかかる。誰だってそうやって上達していくのだ。

 ところが、校内研でも教委の研修でも、「授業の上手さ」について、ほとんど検討されていないという。指導主事や管理職が主に指摘するのは「『めあて』と『振り返り』を板書したか」「1時間の学習の流れを構造的に板書したか」といったことだ。しかも形式的すぎる。例外を認めない。ベテラン教師でも従うよう指示される。板書の仕方が全クラスで統一されていることを誇らしげに保護者に語る校長もいる。形だけは同じだが、子供をひきつけるエネルギーがその授業にはない。

 授業によって子供たちが熱中したのか、学力は上がったのかが大切である。その大切な点を見ていないのだ。

 私は、授業は上手い方であったと思う。全国からの参加者が千人以上になる公開研を幾度も経験してきた。筑波大付属、広島大付属、新潟大付属などでの公開授業をしてきた。著作も数多く著してきた。しかし、「めあてと振り返り」を板書したことは一度もない。「構造的な板書」もしていない。

それでも(だからこそ)、子供たちの学力は上がった。教室のすべての子が熱中して学習に取り組んだ。教師の力量とは「めあてと振り返りの板書」といった形式的なことにあるのではない。熱中する授業をするところにある。新しい学習指導要領では子供たちの「主体的・対話的で深い学び」が重視される。討論的な授業が期待される。この方針がすべての教室で生かされることを願う。

 授業の力量を上げ、子供たちを引きつけるためには原則的なことを学ぶことがまず必要だ。

 『授業の腕をあげる法則』という私の本は、教育書では史上最も売れたベストセラーでありロングセラーである。三十数年前に出版され、毎年数回増刷されこれまでに50万冊以上が先生方の手に渡っていった。この本の中で私は、授業の原則を10カ条にして示した。例えば「指示するときはその意味を説明しなさい」「一時に一事を指示しなさい」「発問・指示は短く限定して述べなさい」といったことである。

 次のような原則に基づく授業行為が必要なのである。

 (1)授業の導入でどのように子供たちを引きつけていたか。

 (2)教師の発問は子供たちをどのように思考させていたか。

 (3)指示は全員の子供をまきこみ、適切に活動させていたか。

 (4)授業のリズム・テンポ、時間配分等は流れるようであったか。

 (5)にこやかに子供と目線を合わせて授業を展開していたか。

 

こういった内容がもっと大切にされなければならない。TOSSでは文部科学省の委託事業を受け「若手教員の授業力」について研究した。ぜひアクセスしていただきたい。(toss.gr.jp/kyoushiryoku/

 戦後、師範学校が廃止され、教員養成はリベラルアーツの学部として出発した。師範学校で教えていた授業技術や学級経営などの実務に優れていた教員たちは職を追われた。海外の教育思想は紹介されるようになったが、発問の仕方も、机間巡視の仕方も分からない素人同然の教員が大量生産された。

 日本の教師の長い年月をかけた努力をひきついでいくことをTOSSは自分に課している。

・・・熱意を持ち意欲のある先生方は沢山おられるはずです。ところが指導や訓練する「先生の先生」や「先生の先輩」を配置し、研修システムを充実しなければ、先生方の力量を上げていくことは出来ません。子供さんたちの学力の低下は、先生方の教育力・指導力の低下がもたらしていると言っても過言ではありません。意欲ある先生方を応援していかなければ、未来ある子供達の学力を上げることは出来ません。

 

posted by at 18:56  | 塾長ブログ
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