美しい日本語をブラジルの子供たちに伝えて60年

平成31年4月10日、天皇皇后両陛下の御成婚60年の佳き日に、「天皇陛下御即位三十年奉祝感謝の集い」が開催されました。その祝辞の中に、宮崎真優さん(ブラジル国サンパウロ市エタバ高校3年生)は日本語について以下のように述べています(一部引用)。http://www.houshuku.org/houshuku/tsudoi.html

(天皇陛下御即位奉祝委員会H.Pより引用)

私はブラジル人です。ブラジルを愛しています。そして、日本も私の中でずっと生きています。私は日本が大好きです。そして今、ブラジル人であり、日本人であることを誇りに思っています。

日本語ってとっても難しいですね。きびしい先生のお叱りを受け、「日本語はいやだ。」と思うこともありました。でも両親は日本語を絶対に止めさせてくれませんでした。そして、最近、私は日本語の深さと美しさに気付き初めるようになりました。漢字は一字一字に意味があり、その漢字を組み合わせると更に深い意味の熟語が成り立つことが面白くなってきました。日本語をとおして私は思いやりの心、優しさを学ばせていただいています。素朴で優しい心を持った医者になり、たくさんの人を助けたいです。また、日本とブラジルの架け橋になりたいと思っています。

羅針塾でよく引用させて頂く「国際派日本人養成講座」は日本の素晴らしさを様々な切り口で国内外に紹介されています。その最新の記事に、「川村真倫子先生〜美しい日本語をブラジルの子供に伝えて60年」があります。その中の一文に、「真優さんはブラジルの公学校『大志万(おおしまん)学院』で日本語を学んだ。『日本語の深さと美しさ』を教えてくれた『きびしい先生』とは、創立者・川村真倫子先生のことだろうか?」とあります。http://blog.jog-net.jp/201907/article_2.html

川村真倫子先生(国際派日本人養成講座H,Pから引用)

■3.「あまてらすおおみかみさまだ!」

「日本語には、よき地球人として生きる智恵のすべてがある」とは、川村先生が学校教育の現場で、子どもたちと共に喜び、笑い、悩みながら到達した真実だという。

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 私どもの学校では、日本で使われている国語の教科書を使用しています。そこにあるのは、美しく、正しい本来の日本語の姿です。ページを繰ると、美しいリズムがあり、音の流れがきこえ、夢のある情緒豊かな言葉が並んでいます。どのページにも、驚きがあり、感動があります。
この日本語に触れ、慣れていくうちに、非日系の子どもたちまでが、少しずつ内面から変化していくのです。
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 具体例を見てみよう。1953年に最初の日本語学校「松柏(しょうはく)塾」を開いた時に、戦前の国語教科書を使い始めた。戦後の外国人のための日本語教科書は文法をことさらに意識したり、ぎこちない日本語が入っていたりして、川村先生の目指す「美しい日本語」から遠ざかっていたと思えたからだ。周囲からは古臭いと揶揄されたが、こんな一節があった。

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「あさのひかり、おはよう! おはよう! みんなともだち」

 日本語の教科書は、まるで一つの映像を映し出すように、人としての大切なことを、子どもたちに優しく語りかけてくれます。・・・

 言葉を覚えながら、太陽の輝きや木々のたたずまい、水の流れを感じ、その生命と交わす挨拶を覚え、人と仲良くすることを覚える。日本の国語の教科書は、人生の生命そのものなのです。
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 こういう国語教科書で学んだ生徒の一人が、日本研修の際に伊勢神宮で早朝参拝を行った時、御社の後ろから朝陽があがっているのを見て、突然、「あまてらすおおみかみさまだ!」と声をあげた。

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 これにも大変驚きました。太陽が天照大神様だと、誰かが教えたわけではありません。神話の中で、子どもたちはその存在は知っておりましたが、それが太陽と結びついたのは、ブラジル人である彼らの豊かな感受性によるものでした。

 日本では、古くから天照大神を日の神として祀っています。日本人は太陽のことを、親しみを込めて「お天道様」と呼んできました。昔の子どもは、何か悪さをすると、「お天道様が見ているよ」と、叱られたものです。そこには、大自然をつかさどる天への敬意が込められています。その話をどこかで聞いたわけでもないのに、子どもたちは自らそれを感じたのです。
 伊勢神宮を包む、非常に静かな、美しい自然が語りかける言葉がこどもたちの心に届いたのだと思います。

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■4.「日本の神様は大宇宙なんだ。そして、日本人はすっぽり恵みの中に入っている」

 また別の年の研修旅行では、早朝参拝の帰り道に、鬱蒼と茂る杉の間から、霧の間を通って光の筋が差し込んできた。まさに天から降りてきた光の筋だった。子どもたちもその光に驚いた。その晩の反省会で、一人の生徒がこう言った。

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「今日、分かったよ。日本人の神様は大自然なんだね。日本の神様は大宇宙なんだ。そして、日本人はすっぽり恵みの中に入っている。日本の神様はすごい神様なんだ」
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 川村先生はこの発言に驚いた。彼らは一神教であるカトリックを信仰しているが、もの言わない自然が自分たちに語りかけてくる言葉を聞き取ったのである。

 川村先生は「どんな物にも、どんな道具にも、神様が宿っているから大切に」と教えていたが、カトリックで神様は一人と教わってきた彼らには意味が分からなかった。それが、この時の経験から「自然すべてが神様なのだ」と感じることができたという。

 サンマリノの駐日大使マンリオ・カデロ氏は日本滞在40年以上の間に多くの神社を参拝し、御自身はカトリック教徒だが、母国でヨーロッパ最初の神社を建てた。そこでは日本流のお祭りも開かれ、「神道が自然崇拝の営みであって、宗教と両立するものだ」という事が住民の間でも受け入れられつつあるという。

 それと同じ事を、ブラジルの高校生たちも感じとったのである。「あさのひかり、おはよう! おはよう! みんなともだち」とか、「お天道様」などという日本語を学んでいると、自然とこういう感性が育っていくのではないか。

・・・美しい日本語は、現在の日本語の教科書には見当たらない、といえば言い過ぎかもしれませんが。それほど、日本語の素晴らしさを伝える工夫がなされていないと感じるのは筆者だけでしょうか。

1953(昭和28)年、川村先生は実家の居間で日本語教育を始めた。その時、ひとつ心に決めていたことがあった。日本語の奥に秘められた優しさ、和やかさ、繊細さ、そういった美しい日本の心を伝えていきたい。したがって、堅苦しい日本語の文法は後回しにしてでも、日本語に触れる感動や喜びに満ち満ちた授業にしようと、決意していた。

 川村先生の日本語塾は、ブラジルや日本の多くの人々に支えられて、成長していった。この学校で「日本語の深さと美しさ」を学んだ生徒たちの代表が、冒頭に紹介した宮崎真優さんなのであった。

 

 

・・・国語教育の中で、「漢字は一字一字に意味があり、その漢字を組み合わせると更に深い意味の熟語が成り立つことが面白くなってきました。」と、塾生に言わしめることが出来るか、は私達の最初の関門です。

 

posted by at 17:00  |  国語力について, 塾長blog

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