長崎市江戸町にある難関大学・医学部を目指す幼児教室・学習塾 羅針塾では、将来の日本を支える人になる為に、志を持って自ら学んで行く塾生を育てていきたいと考えています。
昨今では、教育現場で盛んにICT教育推進の風潮がありますが、真の学力向上に結びつくのか、と疑義が生じています。
産経新聞「主張(社説)」025/9/27に、「デジタル教科書 学力低下の懸念拭えない」から、引用してご紹介します。
<主張>デジタル教科書 学力低下の懸念拭えない
子供の学力低下につながらないか、不安を拭えない。
中央教育審議会の作業部会が、デジタル教科書を正式な教科書と位置付ける案を了承した。令和12年度から学校の授業で使用される見通しという。
パソコンやタブレット端末で表示するデジタル教科書は、紙の教科書に比べて集中力が落ち、記憶に残りにくいという指摘がある。海外では、デジタル教材の推進国が学力低下などを理由に、紙の教材に回帰する動きも出ている。
教科書は学びの中心だ。デジタル化により基礎基本の読解力などが低下したら本末転倒である。文部科学省は正式な教科書にする前に、学力に及ぼす影響を厳密に検証すべきだ。不安を抱えたまま、デジタル化を急ぐことには反対である。
中教審の作業部会が了承した案は、教科書の形態を、①現行の紙②デジタル③紙とデジタルの組み合わせ(ハイブリッド)の3種類とし、教育委員会が選択できるようにする―というものだ。これを受け、文科省は来年の通常国会で関連法案の改正を目指すという。
少し前のめりになっているのではないか。
デジタル教科書には英会話を音声で繰り返し聞けたり、算数などで図形を動かせたりして学習意欲を高めるメリットがあるとされる。一方、画面が動くために集中力が途切れたり、視力が低下したりする懸念もある。こうしたデメリットについて、作業部会が十分に検証したとはいいがたい。少なくとも小学校の低学年から導入すべきではないだろう。
スウェーデンでは、2010年から教育のデジタル化を積極的に推進してきたが、近年の国際学力調査で成績が低下したことなどを受け、22年から紙の教材を重視する政策に転換した。フィンランドでも一部地域で、デジタル教材を紙に戻す動きがみられる。
文科省は関連法を改正する前に、こうした海外の状況も分析し、子供の発達段階をふまえた制度にしてもらいたい。
紙とデジタルのバランスも重要だ。全国学力テストを基にした文科省の調査では、家庭の蔵書量が少ないほど成績が低下する傾向があることも分かった。紙で読み書きすることの大切さを忘れてはならない。
・・・社説の筆者は「紙の教科書」と「デジタル教科書」を比較しながら、懸念される点を指摘しています。
小・中学校の義務教育は、とても大事な教育で「人」の人格形成や知的発達の根幹です。この大事な時期に「デジタル教科書」を導入すると、一部の「できる」子と、多くの「できない」子の格差が開くのが目に見えるようです。
現在小学校の現場でパソコンやタブレット端末で行われている「デジタル教育」と称されるものは、正直な印象では「紙の教材」との優劣が明らかです。
確かに、パソコンやタブレット端末に入力されている情報量は、紙の教材と比べると圧倒的な差があります。しかし、必要な情報を取り出すためには、電源を入れてから、アクセスするまでに時間が掛かります。子供達がそのプロセスに通暁するまでには、一定の時間と経験が必要です。
「紙の教科書」はそれに比べると、義務教育レベルでは、簡にして要を得た内容ですから、音読したり、筆写すれば、有意義に学べます。
ただでさえ子供達の「読解力」が落ちてきていると言われているのに、教科書をデジタル化すれば、これに拍車をかけることになると考えます。