和食の心がわかる「忌箸」

長崎市五島町にある難関大学・医学部を目指す幼児教育・学習塾 羅針塾では、これからの日本を支える子供達にしっかりと学ぶ力をつけていって欲しいと考えます。

世の中には約束事や常識があり、日本の社会ではそれらを知ることによって円滑な社会活動を行えます。子供が長じるに従って、それらの知識を両親や祖父母などの身内の方に教えられ学ぶことになります。食事の作法や心持ちも、それぞれの家庭で代々伝えられていきます。

「日本の礼儀作法」〜宮家のおしえ〜 竹田恒泰著(マガジンハウス)に、「食事の作法」についての論考がありますので、引き続き引用してご紹介します。

「忌箸(いみばし)」を知れば和食の心がわかる

箸には多くの禁忌(タブー)があり、それらは「忌箸」もしくは「嫌い箸」と呼ばれている。例えば、ご飯に箸を立てるのは「立て箸」もしくは「仏箸(ほとけばし)」といって、死者の枕元にご飯を供えるときの作法であって、日常では忌み嫌われていることはよく知られている。また、食べ物を箸から箸に受け渡すのも「拾い箸」といって、火葬場でお骨を拾う作法なので、やはり日常では禁忌とされている。もしお見合いの席でこれらの禁忌を犯してしまうと、たったそれだけのことで、縁談は壊れるだろう。この二例は有名だが、それ以外にも、上品に食事しているつもりでも、知らず知らずのうちに犯してしまう忌箸は多い。

・・・知っているつもりでも以外に失念していることがあるのが作法です。またその意味合いまでは知らないことがあります。少し長くなりますが、併せてご紹介します。

指し箸

箸で人や物を指し示す行為。食事している相手を箸で指すのはさすがに不作法と誰もが知るところだが、「その皿を取ってくれ」と箸で刺してしまうのは、うっかりやってしまう人も多い。特定のものや人を指さずとも「そう、それそれ」などと言いながら、箸を振って宙を指し示すのも指し箸になる。そのような使い方は箸を踊らせることから、「踊り箸」ともいわれる。

渡し箸

箸休めの時に、箸を横にして器の上に載せること。箸は、箸置きがあればそこに置き、またお膳か折敷(おしき)で供されればその縁に掛けるように置くもの。それを使わずに、箸を皿の上に置くのは禁忌とされる。ただし、箸置き・お膳・折敷のいずれもない場合は、そもそも作法の外なので、作法の外となる渡し橋も許容される。箸袋を折って箸置きを作るのも差し支えないが、これはあくまで作法の外の話。また、茶懐石での八寸などでは、菜箸が渡し箸で供されることがある。これは、八寸が酒の肴であるということであり、作法の外の作法を、作法に組み入れたものである。

寄せ箸

遠くにある食器を、箸を使って引き寄せること。箸は食物をつまんで口に運ぶ道具であることから、それ以外の目的に使用すること自体が作法に反する。 

迷い箸(「惑い箸」とも) 何を食べようかと、料理の上で迷いながら箸を動かすこと。取り分け用の大皿に限らず、銘々の小皿でも迷い箸は禁忌とされる。また、汁椀の底や飾り物の下などに食物が残っていないか、箸で探る行為も「探り箸」という禁忌である。

刺し箸(「突き箸」とも) 

料理に箸を突き刺すこと。楊枝や串といった料理を刺す道具は他にある。突き刺すこと自体が箸の役割を越える。やはり箸をその目的以外に使うことは慎まなければならない。料理人が火の通り具合を調べるために串を用いることがあるが、刺し箸は火の通り具合を疑うかのような行為でもある。ところで、一本の箸を突き刺して、もう一本の箸を添えて食べる人もいるが、それも避けるべきである。また、箸を左右に一本ずつ持って、ナイフとフォークを使うように、食物をちぎる行為は「ちぎり箸」といって、禁忌とされる。箸を楊枝のように使い、歯の間の食物をとる動作も「楊枝箸」として嫌われている。これらの所作も箸の目的外使用にあたる。 

握り箸

箸を鷲掴みに持つのは「握り箸」といわれ、禁忌の一つである。まだ正しく箸を持てない幼児の持ち方であると同時に、相手を攻撃する動作とされる。大人になっても握り箸で食事をする人がいるが、見るに堪えない。

舐り箸(ねぶりばし)

箸を舐める行為。また「捥(も)ぎ箸」といって、箸に付いた米粒などを口でもぎ取るのもいけない。箸を噛む「噛み箸」、箸を咥(くわ)える「咥え箸」も禁忌とされる。

涙箸(なみだばし)

汁が垂れやすい料理を食べる時に、箸から汁をポトポトと垂らしながら運ぶこと。そういった料理を取り皿から取るときは、汁気をしっかりと切ってから運ぶべきである。また、取り皿からそういった料理を頂くときは、上半身を少し前に出して、皿の上で頂けば、机などに汁を垂らさずに済む。また、最も優雅なのは懐紙を用いること。最悪なのは「手皿」という、箸で食物を運ぶ時に左手を受け皿のようにする所作。残念なことに手皿が正しい作法だと思っている人が多く、テレビのグルメ・リポーターなども積極的に手皿をしている。だがよく考えて欲しい。箸からポトポトとした汁を、左手で受けている様子が美しいか美しくないか。これはとてもはしたない行為であるが、習慣になってしまい、無意識の内に手皿をしてしまう人は実に多い。身に覚えのある人は即刻止めるべきである。

諸起こし(もろおこし)

箸と器を同時に持ち上げる行為。ご飯茶碗や汁椀を手にするときは、まず両手で器を持ち上げてから、箸を取るのが正しい作法である。同時にこれを行うのは、早く料理を口にするための、食い意地の悪さの表れとされる。

・・・最後の「諸起こし」は、ついしてしまいがちな動作です。しかし、正しくない作法です。改めて、記している筆者も冷や汗が出た場面を思い起こします。やはり、家庭の中で日々正しい作法で食事をし続けなければ、思わぬところで恥をかきかねません。

 

 

posted by at 16:37  |  塾長ブログ, 国語力ブログ

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