「朱に交われば赤くなる」
「人の振り見て我が振り直せ」
と、子供の頃に母によく聞かされた言葉です。
また、
「友を選ばば 書を読みて 六分の侠気(*) 四分の熱(*)」も同様です。
*侠気=自分の損得を顧みず、弱いもののために力をかす気性。義侠心。
*熱=情熱
長崎市五島町の羅針塾 学習塾・幼児教室では、自ら諺や名言に触れる様指導しております。
さて、実語教の続きです。
<漢文(白文)並びに読み下し文>
見善者速行 見悪者忽避
善を見ては速(すみ)やかに行(をこな)へ。悪を見ては忽(たちま)ち避(さ)け。
好悪者招禍 譬如響応音
悪を好む者は禍(わざはひ)を招き、譬へば響きの音に応ずるが如し。
宛如随身影 修善者蒙福
宛(あたか)も身に影の随(したが)ふが如し。善を修する者は福を蒙(こうむ)る。
雖冨勿忘貧 或始冨終貧
冨めりと雖も貧しきを忘ることなかれ。或ひは始め冨みて終はり貧しく、
雖貴勿忘賤 或先貴後賤
貴(たつと)しと雖も賤(いや)しきを忘るゝことなかれ。或ひは先に貴く終(のち)に賤し。
<現代文>
(前の数章に於て人に対する道を説き、以下自己を修むるの道を教える)
○善きことを見ては、速やかに行いなさい(実践しなさい)。悪しきことを見ては、即刻(すぐに)避けなさい。
(人の善き行を見ては、我も速かにこれを行い、他の行の悪しきを見てはこれを避けて行はないように努めなければならない。)
○悪を好む者は禍を招く。譬えば響きの音に応ずるが如し。
(悪を好みてなすものは禍を招くことになる。たとえば響が音に応ずるが如くである。)
○善を修する者は福を蒙る。あたかも身に影の随うが如し。
(善い事をするものは福の報が来る。あたかも身に影の添ふが如くである。)
○富むと雖も貧しきを忘るることなかれ。或いは始めに富み終わりに貧しいとも。
(物には盛衰がある。たとえ富みたりとも貧しきことを忘れてはならない。たとえ富裕なりとて、その心が驕奢なればたちまちに貧困に陥ることがある。)
○貴し(*)と雖も賎しき(*)を忘るることなかれ。或いは先に貴く終わりに賎しくとも。
(貴きと雖も賎しき時を忘れてはいけない。或は先きには貴とくして後には賤しくなることがある。)
(貴きときにも賤しきことを忘れず、賤しきときにも貴きを羨まず、足ることを知ることが第一の楽みとせねばならぬ。)
*貴し=身分・品位などが高い。
*賎しき=身分の卑しいこと。