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美しい日本語をブラジルの子供たちに伝えて60年

平成31年4月10日、天皇皇后両陛下の御成婚60年の佳き日に、「天皇陛下御即位三十年奉祝感謝の集い」が開催されました。その祝辞の中に、宮崎真優さん(ブラジル国サンパウロ市エタバ高校3年生)は日本語について以下のように述べています(一部引用)。http://www.houshuku.org/houshuku/tsudoi.html

(天皇陛下御即位奉祝委員会H.Pより引用)

私はブラジル人です。ブラジルを愛しています。そして、日本も私の中でずっと生きています。私は日本が大好きです。そして今、ブラジル人であり、日本人であることを誇りに思っています。

日本語ってとっても難しいですね。きびしい先生のお叱りを受け、「日本語はいやだ。」と思うこともありました。でも両親は日本語を絶対に止めさせてくれませんでした。そして、最近、私は日本語の深さと美しさに気付き初めるようになりました。漢字は一字一字に意味があり、その漢字を組み合わせると更に深い意味の熟語が成り立つことが面白くなってきました。日本語をとおして私は思いやりの心、優しさを学ばせていただいています。素朴で優しい心を持った医者になり、たくさんの人を助けたいです。また、日本とブラジルの架け橋になりたいと思っています。

羅針塾でよく引用させて頂く「国際派日本人養成講座」は日本の素晴らしさを様々な切り口で国内外に紹介されています。その最新の記事に、「川村真倫子先生〜美しい日本語をブラジルの子供に伝えて60年」があります。その中の一文に、「真優さんはブラジルの公学校『大志万(おおしまん)学院』で日本語を学んだ。『日本語の深さと美しさ』を教えてくれた『きびしい先生』とは、創立者・川村真倫子先生のことだろうか?」とあります。http://blog.jog-net.jp/201907/article_2.html

川村真倫子先生(国際派日本人養成講座H,Pから引用)

■3.「あまてらすおおみかみさまだ!」

「日本語には、よき地球人として生きる智恵のすべてがある」とは、川村先生が学校教育の現場で、子どもたちと共に喜び、笑い、悩みながら到達した真実だという。

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 私どもの学校では、日本で使われている国語の教科書を使用しています。そこにあるのは、美しく、正しい本来の日本語の姿です。ページを繰ると、美しいリズムがあり、音の流れがきこえ、夢のある情緒豊かな言葉が並んでいます。どのページにも、驚きがあり、感動があります。
この日本語に触れ、慣れていくうちに、非日系の子どもたちまでが、少しずつ内面から変化していくのです。
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 具体例を見てみよう。1953年に最初の日本語学校「松柏(しょうはく)塾」を開いた時に、戦前の国語教科書を使い始めた。戦後の外国人のための日本語教科書は文法をことさらに意識したり、ぎこちない日本語が入っていたりして、川村先生の目指す「美しい日本語」から遠ざかっていたと思えたからだ。周囲からは古臭いと揶揄されたが、こんな一節があった。

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「あさのひかり、おはよう! おはよう! みんなともだち」

 日本語の教科書は、まるで一つの映像を映し出すように、人としての大切なことを、子どもたちに優しく語りかけてくれます。・・・

 言葉を覚えながら、太陽の輝きや木々のたたずまい、水の流れを感じ、その生命と交わす挨拶を覚え、人と仲良くすることを覚える。日本の国語の教科書は、人生の生命そのものなのです。
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 こういう国語教科書で学んだ生徒の一人が、日本研修の際に伊勢神宮で早朝参拝を行った時、御社の後ろから朝陽があがっているのを見て、突然、「あまてらすおおみかみさまだ!」と声をあげた。

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 これにも大変驚きました。太陽が天照大神様だと、誰かが教えたわけではありません。神話の中で、子どもたちはその存在は知っておりましたが、それが太陽と結びついたのは、ブラジル人である彼らの豊かな感受性によるものでした。

 日本では、古くから天照大神を日の神として祀っています。日本人は太陽のことを、親しみを込めて「お天道様」と呼んできました。昔の子どもは、何か悪さをすると、「お天道様が見ているよ」と、叱られたものです。そこには、大自然をつかさどる天への敬意が込められています。その話をどこかで聞いたわけでもないのに、子どもたちは自らそれを感じたのです。
 伊勢神宮を包む、非常に静かな、美しい自然が語りかける言葉がこどもたちの心に届いたのだと思います。

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■4.「日本の神様は大宇宙なんだ。そして、日本人はすっぽり恵みの中に入っている」

 また別の年の研修旅行では、早朝参拝の帰り道に、鬱蒼と茂る杉の間から、霧の間を通って光の筋が差し込んできた。まさに天から降りてきた光の筋だった。子どもたちもその光に驚いた。その晩の反省会で、一人の生徒がこう言った。

__________
「今日、分かったよ。日本人の神様は大自然なんだね。日本の神様は大宇宙なんだ。そして、日本人はすっぽり恵みの中に入っている。日本の神様はすごい神様なんだ」
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 川村先生はこの発言に驚いた。彼らは一神教であるカトリックを信仰しているが、もの言わない自然が自分たちに語りかけてくる言葉を聞き取ったのである。

 川村先生は「どんな物にも、どんな道具にも、神様が宿っているから大切に」と教えていたが、カトリックで神様は一人と教わってきた彼らには意味が分からなかった。それが、この時の経験から「自然すべてが神様なのだ」と感じることができたという。

 サンマリノの駐日大使マンリオ・カデロ氏は日本滞在40年以上の間に多くの神社を参拝し、御自身はカトリック教徒だが、母国でヨーロッパ最初の神社を建てた。そこでは日本流のお祭りも開かれ、「神道が自然崇拝の営みであって、宗教と両立するものだ」という事が住民の間でも受け入れられつつあるという。

 それと同じ事を、ブラジルの高校生たちも感じとったのである。「あさのひかり、おはよう! おはよう! みんなともだち」とか、「お天道様」などという日本語を学んでいると、自然とこういう感性が育っていくのではないか。

・・・美しい日本語は、現在の日本語の教科書には見当たらない、といえば言い過ぎかもしれませんが。それほど、日本語の素晴らしさを伝える工夫がなされていないと感じるのは筆者だけでしょうか。

1953(昭和28)年、川村先生は実家の居間で日本語教育を始めた。その時、ひとつ心に決めていたことがあった。日本語の奥に秘められた優しさ、和やかさ、繊細さ、そういった美しい日本の心を伝えていきたい。したがって、堅苦しい日本語の文法は後回しにしてでも、日本語に触れる感動や喜びに満ち満ちた授業にしようと、決意していた。

 川村先生の日本語塾は、ブラジルや日本の多くの人々に支えられて、成長していった。この学校で「日本語の深さと美しさ」を学んだ生徒たちの代表が、冒頭に紹介した宮崎真優さんなのであった。

 

 

・・・国語教育の中で、「漢字は一字一字に意味があり、その漢字を組み合わせると更に深い意味の熟語が成り立つことが面白くなってきました。」と、塾生に言わしめることが出来るか、は私達の最初の関門です。

 

posted by at 17:00  | 塾長ブログ, 国語力ブログ

「世界最硬」ダイヤ

「地球物理学科」という学科があることに気づいたのは、筆者の学生時代。体育会に入部してきた後輩が、その学科に在籍していたことから、様々学科の内容について質問しました。それから、随分時を経て「理学部地球物理学科」という文字が新聞紙面に掲載されているのを見つけました。産経新聞(2019.7.12)からの引用です。https://www.sankei.com/premium/news/190712/prm1907120001-n1.html

世界一硬いとされる「ヒメダイヤ」(産経新聞)

世界最硬」ダイヤは愛媛で生まれた

「世界一硬い」とされるダイヤモンドが8月9日まで、文部科学省(東京)で展示されている。愛媛大地球深部ダイナミクス研究センター長の入舩徹男(いりふね・てつお)教授(65)が開発したナノ多結晶ダイヤモンド「ヒメダイヤ」だ。天然ダイヤをすりつぶす硬度を誇る。工業利用をはじめとする可能性の広がりに世界中から注目が集まっているが、“世界最硬”のダイヤモンドが生まれたのは偶然がきっかけだったという。

実験は失敗。だが…

 入舩教授は京都大学理学部地球物理学科卒。名古屋大で修士課程、北海道大で博士課程を修了し、1984年から3年間、オーストラリア国立大の地球科学研究所博士研究員として過ごした。

85年、海底に沈み込む物質・玄武岩が高温高圧下でどう変化するのかを調べていて、実験室の装置で15万気圧をかけて玄武岩の試料を熱した。目標は1500度。ところが一瞬のうちに温度が目標を上回り、試料は溶け、周囲の物質と反応してぐちゃぐちゃになってしまった。

実験は失敗。でも、そのときガラスのような光るものを見つけた。試料を包むカプセルにグラファイト(炭素の鉱物)を使っていたので、あれ?ダイヤモンドかなと思った」

 天然のダイヤモンドは地下150~250キロの場所でグラファイトに超高圧超高温が加わることでできる。一方、人工ダイヤモンドの合成ではグラファイトに5万~6万気圧をかけ、金属の触媒を使って再結晶させる。

 ダイヤモンドは直接の研究対象ではなかったため詳しく調べることはしなかった。だが、ずっと頭の片隅から離れなかったという。

愛媛ミカンの色合い

 89年、入舩教授は愛媛大学の助教授に着任。90年ごろからダイヤモンドの再現実験を始めた。ところがそう簡単にダイヤモンドはできなかった。

 しかし、1人でこつこつと実験を繰り返していたところ、5年後、ついにダイヤモンドを作ることに成功した。「予想より高い温度が必要で装置の限界の2500度まで上げた。25万気圧をかけ、やっとできた」

できたダイヤモンドはミカン色に近い。愛媛といえばミカンなので「ヒメダイヤ」と名付けた。特性は1粒が10ナノメートルの多結晶(多くの結晶の集まり)で、世界一硬いこと。「10ナノメートルは1ミリの10万分の1。それがぎっしり詰まっている。ナノ領域の多結晶は単結晶より硬くなるんです」

 世界一硬いのに、ヒメダイヤは特殊なレーザーを使うと加工が容易なことが分かった。表面をつるつるに研磨することもできる。

研究は2003年に英科学誌「ネイチャー」で発表。世界的に注目が高まり、現在は約30グループと研究を進めている。

ヒメダイヤを惑星研究などにも役立てたいと話す入舩徹男教授=6月(産経新聞)

地球外惑星の研究に活用

 松山市の愛媛大キャンパスにある地球深部ダイナミクス研究センターには、ヒメダイヤの実験・研究を可能とするための大型の実験装置がそろう。いずれも「ORANGE(オレンジ)-」や「BOTCHAN(ぼっちゃん)」など愛媛を意識した名前が付けられている。実験室の名前も文豪・夏目漱石をもじった「創石(そうせき)実験室」だ。

愛媛大地球深部ダイナミクス研究センターにある超高圧合成装置「BOTCHAN」=6月(産経新聞)

 こうした環境で技術開発した結果、1センチ大のヒメダイヤを生み出せるまでになった。切削工具として商品化されているほか、高圧下で原子の結合を見る実験などに活用できるという。

・・・日本人の科学者が、世界的な功績を上げることは、現在の若者を大いに啓発します。結果が出た研究だけでなく、将来につながる基礎研究などをしっかり国が後援することによって、若き研究者を育てることが肝要です。
posted by at 13:59  | 塾長ブログ

言葉の数が少ない子どもは知能が低い 3

霊長類(霊長類、霊長目の哺乳類の総称。動物界で最も進化の程度が高いもの)の中でも人が一番知能程度が高いのは、言葉を持つからです。人以外の霊長類で比較的知能が高いチンパンジーやオランウータンは、個体其々で何らかのコミュニケーションを取りますが、言葉と言えるものではありません。

「言葉は経験から得るもの」(「子供が賢くなる75の方法」久野泰可著 幻冬社P.16)からの引用ですが、子育てのヒントがありますのでご紹介します。

言葉は経験から得るもの

コミュニケーションの基本は、言うまでもなく「言葉」です。多くの大人は言葉に対して「いつの間にか、自然に覚えていくもの」と思っていて、「子供が言葉を獲得すること」についてあまり深く考えていないのはないでしょうか。

子供は一歳半くらいから急速に言葉を獲得し始めます。この時期の子供は、様々な経験を通じて言葉を覚え、少しずつ使いこなすようになります。

この時重要なのは、「子供がどんな経験をして、どんな言葉を獲得していくか」につきます。

今、子供の耳には様々な「言葉」が飛び込んできます。その多くは、残念ながら実際にその場にいる人が発するものではなく、テレビやDVDなどのメディアではないでしょうか。その結果、幼いのに大人びた言葉遣いをしたり、難しい言葉を知っている子供に会うことがあります。

しかし、例えば「川」という言葉も、実際に川に入って流れに足を取られないよう踏ん張った経験や、葉っぱなどを流してその早さに驚いたことがある子供と、川の実体験をしたことのない子供では、言葉から来るイメージに大きな違いがあります。

あるいは、親が早朝出勤や深夜帰宅などで、「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」をいう機会がない子供は、「お帰りなさい」と言いながら家に帰ってくるなど、言葉の使い方を間違えている例がよく見られます。

このように、「単に言葉を知っている」ことよりも、「どんなときに使うのか」「その言葉が表現しているのはどのようなことか」を、様々な体験を通して身に付け、使いこなせるようになることが、幼児期にはとても重要です。

その為には、日常生活で様々な場面を経験して言葉を使うだけではなく、できるだけ様々な場所に行き、普段では出来ない体験をさせることが、生き生きとした言葉を使いこなせるようになる為に欠かせないのです。

・・・時、相手、場面に応じて、言葉を使いこなせるようになるには、お母さんやお父さん、家族が子供さんに適切に助言する必要があります。成長の過程で、経験から学んだ言葉は、しっかりと子供の心に根付いていきます。

言葉の数が少ない子供さんには、目をしっかり見つめながら、一つ一つ言葉を聞いて、返すことの繰り返しから始めます。興味を持つことは何か、伝えたいことは何か等、子供さんとの意思疎通の切っ掛け探しも大事な点です。

 

さて、幼児期から就学年齢に差し掛かると、小学校受験など子供さんにとっては、大きな転換点となる試練が有ります。ある意味大人になっていく一つの階段ですが、語彙力のある子供さんとそうでない子供さんでは、試験に対する取り組み方も、ストレスも異なってきます。

就学年齢になる以前から、コツコツ語彙力を高めていくと、なだらかな階段を登るようなものですから、楽しみながら学ぶことができていきます。興味のあることや、楽しめることは、知能が高ければ、子供さんは自ら進んで取り組み始めます。

posted by at 15:12  | 塾長ブログ, 国語力ブログ

言葉の数が少ない子どもは知能が低い 2

「言葉の数が少ない子どもは知能が低い 1」(https://rashinjyuku.com/wp/post-1627/)でご紹介しましたフランスの例は、「フランスで生まれてフランスで育った黒人の子どもの知能 は、まったくフランス人の子どもと変わらなかった」ということから、「フランス語で使われている言葉は、ボキャブラリーが豊かです。フラ ンスで生まれた子どもたちは、豊かな言葉を耳にして育ちます。だから 知能が高いのだ」という結論です。

ボキャブラリー=語彙力が豊富であるということは、想像力を豊かにし、当然、表現力をつけることができます。

幼児期の子どもに言葉を教えるのは、まず母親でしょう。母親の言葉 を通して、子どもの能力が育っていくのですから、お母さんの役割は非 常に大切です。母親が言葉の教育に熱心に取り組むことが、子どもの 将来に響いてきます。

・・・この言葉は、当ブログが再三再四強調していることです。

近年、子育て中のお母さん方の周りには、子育て経験の豊かな年配の女性(祖母、近所のおばあさん等)と接触する機会がないのが現状です。年代を超えての「井戸端会議」が、かっての日本の若いお母さん方を啓蒙していたのではないでしょうか。そういう場がないことが、現在のお母さん方の子育てへの不安や迷いを生み出しています。

お母さんは、年齢や月齢に応じた成長が平均以上であれば安心し、そうでなければ不安がるのはいつの時代も変わりがありません。子供の成長を客観的に測る物差しがあれば一番良いのですが、様々な根拠に基づく物差しを試してみて、自分なりの結論を導くしかありません。

たまたま見かけた論文をご紹介します。「言葉の発達の遅れで受診した3歳児の縦断的検討」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn1969/24/1/24_1_3/_pdfという論文の「言語発達リスト」は、一つの物差しを提供してくれます。引用してご紹介します。

はじめに

言葉の遅れは、精 神遅滞や自閉症などの全汎性の 発達障害に伴 う場合 と成長 とともに正常化するといわれ る発達性言語遅滞などに分類 される。近 年、幼年期 には言葉の遅 れのみと考え られていた例 でも、後 に学習障害がみられたとの報告もあり、言 葉の発達の遅れのある小児の知能 ・行動発達の長期 予後を検討することは重要である。

ただ、発 達の個人差は幼少児であればあるほど顕 著であ り、環 境的な要因も小児の発達に大きく影響 を与えるため、発 達遅滞の分類や予後 を3歳 の時点 で推定することは容易ではない。また、言 葉の発 達の遅れがある小児の両親 も、い つ ・どこに相談すべきか分 らず小児科 を受診する場合が多い。

 

上記画像は見にくいので、以下にご紹介します。(月齢・対人関係・発声活動の三段に分けて記載しています)

◯月齢       

・対人関係       

・発声活動

◯出生時

・—

うぶ声

◯0:1(一ヶ月)

一点凝視・顔全体で微笑

アーオーウーの声を出す ・泣き声に変化が出てきて原因が区別できる

◯0:3(三ヶ月)

・快で笑い不快で泣く・180°追視・話し声の方へ顔を向ける

・あやすと声を出して笑う・声かけだけで泣き止む

◯0:5(五ヶ月)

・笑いかけてくる・抱かれることを喜ぶ・360°追視

・人がいなくなると泣く・外からの刺激に対して笑顔や泣いて反応する

◯0:6(六ヶ月)

・人見知り・見知らぬ人には無言で、見慣れた人には声を出す

・反覆喃語(*)の出現・自分から声を出して呼び掛ける

◯0:9(九ヶ月)

・バイバイに反応して手を振る・名前を呼ばれると振り向く

・食べ物を見るとマンマンマンと言いながら手を出す・喃語をしゃべり続けながら手に持ったもので物で遊ぶ

◯0:12(十二ヶ月)

・行動抑制が可能になる(メンメで手を引っ込める)・知らせる指さしがある・母の後追いが出てくる

・有意味語を喋る(マンマ、ブーブー、パパ)・知っている場所に来るとアーアーといって教える

注(*)喃語(なんご:幼児期の、まだ言語とは言えない意味のない音声)

◯年齢

・言語理解

・言語表出

◯1:6(一歳六ヶ月)

・「新聞持ってきて」など言葉だけの簡単な言いつけに従いますか・「おめめは」「おくちは」と聞くと正しく指さすことができますか・自分から絵本を持ってきて読んでもらいたがり聞いていますか・絵本を見て「ワンワンどれ」と聞くと聞かれたものを指さしますか

・話しかけると真似してそれに似た音を繰り返しますか・自分の欲しいものを言葉で要求しますか・お母さんに「ママ」等と」呼びかけますか・自分から手を振りながら「バイバイ」と言いますか

◯2:0(二歳)

・母親の要求に従って父親を食事入浴等にさそうことができますか・絵本をみて靴、コップなど身辺のものを正しく指さしますか・台を持ってきて高いところからものを取りますか

・お母さんの言葉の一部を模倣しますか・友達の名前が言えますか・二つの言葉をつないで話しますか・簡単な質問に言葉でこたえられますか(「パパは?」「カイシャ」)・自分のことを名前で言いますか ・ここ、あれ、これ等の代名詞を使いますか・単語の数が200くらいありますか

◯2:6(二歳六ヶ月)

・二つの動作を含む簡単な命令に従えますか・机の上下がわかりますか・色の名前を正しく二色以上指さしますか・欲しいものがあっても「あとで」と言い聞かせると少しの間我慢ができますか・物の用途がわかりますか(水を飲むのに使うのどれ→コップ)

・「これなあに」と聞きたがりますか・名前を呼ばれると「はい」と返事しますか・「いくつ」と聞かれると答えますか・「アツイ」「イタイ」「イッパイ」「モット」などのうち使えるものがありますか・遊びながら絶えず喋っていることがありますか・色の名前が一つ以上言えますか

◯3:0(三歳)

・お話を何回も話してもらいたがり、聞いていたお話が途切れると催促しますか・言葉で表現しきれないと、動作で表現しようとしますか。

・お名前はと聞かれると姓名が言えますか・男の子、女の子が言えますか・オハヨウ、さようならが正しいときに使えますか・3〜4語文繋げて話せますか(パパ カイシャ イッチャッタ)・助詞を使って話ができますか(が、に、を、は)・日常的な身の回りの単語はほとんど言えますか(単語数1,000)

◯4:0(四歳)

・魚、果物のような抽象名詞を理解できますか・10までわかりますか・一般的な反対語がわかりますか(お父さんは大きい、子供は?)・自分の名前を読めますか

・童謡が歌えますか・接続詞を使えますか(そして)・自分の経験したことや見聞きしたことを話しますか・絵本を見ながら各ページの状況に当てはまることを話しますか・カ行、タ行がはっきり言えますか・4〜5語文がありますか・なぜ、どうしてと聞きますか

◯5:0(五歳)

・子供カルタをほとんど取れますか・数字を拾い読みしますか・大中小がわかりますか・上中下、前後がわかりますか

・自分の家の住所を正しく言えますか・自分の名前が書けますか・しりとり遊びができますか・なぞなぞができますか・30までの数の復唱ができますか

◯6:0(六歳)

・曜日がわかりますか・本の内容が話せますか・やさしい本は読めますか・新しい言葉を聞くと「なあに」とその意味を尋ねますか

・電話で役に立つ会話ができますか・幼児語をほとんど使いませんか・サ行、ラ行をはっきり言いますか

山田美佐子, 鈴木 榮. 小児科の言語外来の現況.小児科臨床1982; 35: 943-50.より引用)

 

 

・・・37年前の資料ですが、現在も役に立つ一つの物差しです。「言語理解」「言語表出」は、「正しく聞いて内容を理解すること」「正しい言葉で表現すること」です。

「一を聞いて十を知る」(*)とまではいかなくとも、「十を聞いて十を知る」ことができるよう、子供さんにはしっかりと力をつけて欲しいものです。

(*)(論語 公治長)(物事の一端を聞いただけで、その全体を理解するほど、聡明であること)

 

posted by at 18:12  | 塾長ブログ, 国語力ブログ

「やり方」だけ暗記の算数・数学学習

「暗記だけで済ます算数では理解は進まない」と、警鐘を鳴らす芳沢光雄桜美林大学リベラルアーツ学群教授のお話は、笑って済ませることが出来ない教育の現実を示しています。「数学が苦手な人が陥る『平均計算』の落とし穴」(https://toyokeizai.net/articles/-/284080)を引用してご紹介します。

いきなりですが、以下の問題を解いてみて下さい。

問題1 ある企業の売上高が2016年に対し2017年は10%成長し、2017年に対し2018年は20%成長したものは、2016年に対し2018年は何%成長したことになるか。

 

問題2 AB間、BC間、CD間のどの距離も120kmの一本道があって、AB間は時速30km、BC間は時速40km、CD間は時速60kmで走る車がある。AD間における車の平均速度を求めよ。

 

問題3 縮尺1万分の1の大きな地図上で、たてが0.2m、横が0.35mの土地がある。その土地の実際の面積は何平方メートルであるか求めよ。

 

問題4  偶数に奇数を足すと必ず奇数になることを証明せよ。

 

・・・懐かしいなぁ、と思いながら解いてみるお父さんやお母さんは、さて何%ぐらいいらっしゃるでしょうか。また、子供さんと一緒に解いてみる方はどれ位いらっしゃるでしょうか。

詳しい解説と解答は、上記ホームページ(https://toyokeizai.net/articles/-/284080)にありますのでご参照ください。

更に、幼児期からしっかり国語力及び読解力をつけておかなければならないと痛感させる論述力に対する問題提起が以下のお話です。

大学生の論述力に危険信号

実は、2011年に日本数学会は日本の大学生約6000人に対し、「大学生数学基本調査」を実施した。問題4はその調査で用いられたもので、結果は2012年2月に発表された。

中学2年レベルの問題であるが、正答または準正答とされたのは、入試で記述式テストを実施している国公立の最難関大クラスでは76.9%だったものの、入試では主にマークシート形式問題の私立大学の最難関大クラスでは27.8%だった。

調査における誤答では、上で示した隣同士の整数の和として考えるものが目立ったのである。大学生の論述力に、危険信号が点滅していると言える問題である。

同調査とは無関係の余談であるが、「逆は必ずしも真ならず」ということわざを知っている大学生が、この10年間で急減した実感がある。

実例を挙げれば、「正方形ならば長方形である」という命題は真であるが、「長方形ならば正方形である」という、逆(の命題)は真ではない。

学校教育での国語や数学の授業における論理的な文の扱いが、心配になっている今日この頃である。

・・・「問題4  偶数に奇数を足すと必ず奇数になることを証明せよ。」は、中学生の数学の基本的な証明問題です。「学校教育での国語や数学の授業における論理的な文の扱い」とは、教科書の内容をどれほど授業の中で、先生方が周知徹底させることが出来ているか、に尽きます。算数・数学の用語の意義をしっかり暗記するまで徹底させておられると、自然に問題の理解と解答に誤りがなくなります。字義・定義を疎かにしては、成績向上は望めません。

 

 

また、筆者のみならず、教育界や実業界の指導的立場にある方々は、これからの日本を背負うべき若者や少年少女の学力低下に危機感を募らせているはずです。

では、どうするべきか。

それを正す術を持っているのは、基本的には親御さん方です。

子供さんにとって、どのような教育が力を伸ばすことができるのか。自立、自律できる一個の人とする為には何が必要か。

学校の先生方を信頼していても、学校での出来事や友人関係などは、子供さんが語る言葉からしか推測できません。結局、親子での意思の疎通が非常に重要になってきます。

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